碓井広義ブログ

<上智大学教授のメディア時評> 見たり、読んだり、書いたり、話したり、時々考えてみたり・・・

確か今夜は隅田川。花火大会の夜に起きた殺人事件『罪火』

2017年07月29日 | 本・新聞・雑誌・活字


確か、今夜は隅田川の花火大会。

雨は大丈夫なんだろうか。

「花火大会の夜」に殺人事件が起きるのは、大門剛明:著『罪火(ざいか)』(角川書店)です。 

この作品、『雪冤』で横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をダブル受賞した著者の受賞第1作でした。

殺人事件を犯人の側から描く「倒叙ミステリー」に挑戦しています。

事件が起きたのは「伊勢神宮花火大会」の夜でした。犯人は35歳の元派遣社員・若宮忍。被害者は恩師である町村理絵の娘で中学生の花歩です。

若宮には、少年時代に過失で人を殺してしまった過去があります。一人で暮らす彼を、何かと支えてくれたのが町村母娘でした。では、なぜ花歩を殺したのか。

町村理絵と若宮が知り合ったのは、「修復的司法」と呼ばれる、事件の加害者と被害者の関係を調整する活動を通じてでした。

若宮を援助し、その更生を信じてきた理絵。一方、人生を諦め、荒んだ心のままに生きてきた若宮。二人の対比が鮮やかです。

緻密に描かれる、犯人の心理や犯行のプロセスも、「倒叙物」ならではの緊張感に満ちています。
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