碓井広義ブログ

<上智大学教授のメディア時評> 見たり、読んだり、書いたり、話したり、時々考えてみたり・・・

天海祐希主演「緊急取調室」は、チーム力の勝利が快感!?

2017年05月17日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、天海祐希主演「緊急取調室」について書きました。


テレビ朝日系「緊急取調室」
ヒロイン1人ではなく、チーム力による勝利

天海祐希主演「緊急取調室」は、いわば刑事ドラマの“変化球”だ。通常、刑事ドラマは犯人を追いかけ、逮捕するまでを描く。それに対して、このドラマは容疑者との勝負がテーマだ。いかにして容疑者に犯行を認めさせるかという取調室での心理戦である。

容疑者と取調官が密室の中で向き合う。動きも少なく退屈するかと思いきや、一気に見てしまう牽引力がある。それは事件の背後に隠された、金や欲や見栄など人間の業のようなものが炙り出されていくからで、井上由美子の脚本の冴えだ。

夫を憎む妻(酒井美紀)が、夫婦で犯した犯罪を隠蔽するために夫と協力し合う皮肉。また犯罪者の娘として生きてきた女性教師(矢田亜希子)が抱える社会への恨み。そんな容疑者たちに対し、天海祐希をはじめ大杉蓮、でんでん、小日向文世といったメンバーが様々なアプローチで揺さぶりをかけるのだ。昔ながらの「北風と太陽」作戦はもちろん、突然「敵が味方になる」ことで容疑者をかく乱したりもする。

また3年前の第1シーズンにあった、天海演じる真壁有希子刑事の私生活にまつわるエピソード(刑事だった夫の殉職など)を今回は省いたことも功を奏している。目の前の事案により集中できるからだ。ヒロイン1人の力ではなく、あくまでもチーム力による勝利。その快感も大きい。

(日刊ゲンダイ 2017.05.17)
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