碓井広義ブログ

<上智大学教授のメディア時評> 見たり、読んだり、書いたり、話したり、時々考えてみたり・・・

読売新聞で、「中日新聞」記事ねつ造問題についてコメント

2016年10月14日 | メディアでのコメント・論評



中日新聞 記事に捏造
記者「想像して書いた」 
連載「新貧乏物語」

中日新聞は12日、5月に掲載した連載記事2本に誤りがあったとして、同日付朝刊社会面で「おわび」を掲載し、記事や見出し、写真を削除すると明らかにした。

架空のエピソードを盛り込んだ記者の取材メモをもとに記事が書かれたことが原因としている。今後、この記者や編集幹部を処分し、同じ記者が書いた連載以外の記事についても調査する方針。

誤りがあったのは、5月17日付と19日付の朝刊社会面に掲載された連載「新貧乏物語 第4部 子どもたちのSOS」。

おわびでは、19日付の記事について、「教材費や部活の合宿代も払えない、などとした三か所の記述が事実でないことを確認した」としている。病気の父を持つ中学3年の少女が、「教材費も払えない」「バスケ部の合宿代一万円が払えず」などと記述した部分を指すとみられる。

また、17日付の記事には、10歳の少年がパンを売るために「知らない人が住むマンションを訪ね歩く」などとした説明を添えた写真が掲載されたが、この写真は実際の販売現場ではなく、少年の関係者の自宅前で撮影したものだったという。

同紙によると、8月末に少女の家族からの指摘を受けて調査した結果、取材班の記者1人が架空の取材メモを作成し、写真も記者がカメラマンに指示して撮影していたことが判明した。記者は「原稿を良くするために想像して書いてしまった」と話しているという。取材班のキャップやデスクらは、記者が書いた記事をチェックしたものの、メモは記事掲載時点で誰も見ていなかったという。

臼田信行・名古屋本社編集局長は、おわびの中で、「記者が事実と異なることを自ら知りながら書いたことは到底許されません。深くおわび申し上げます」と謝罪した。この連載が6月に掲載された中日新聞社発行の東京新聞などでも当該の記事を削除する。

ただ、おわびでは、19日付の記事で誤りがあったという「三か所の記述」が明示されていない。平田浩二・編集局次長は読売新聞の取材に対し、「関係者に迷惑がかかるので、これ以上は明らかにできない。デスクなど上司による圧力などがあったとは認識していない」と話した。問題の記者の所属や年次なども明らかにしなかった。

連載は1月に始まり、第6部まで掲載。中日新聞は、今年度の新聞協会賞の編集部門にこの連載を応募していた。同紙は、ほかの記事に問題はないとし、連載を継続する方針。

碓井広義・上智大学教授(メディア論)の話
「子供の貧困問題に斬り込む連載の趣旨に沿って悲惨さを強調しようとしたのだろう。 記者のメモの虚偽を見抜くのは難しいが、デスクを含めた取材チーム全体でメモや原稿を入念にチェックし、表現や事実関係の妥当性を検討すべきだったのではないか。 新聞全体の信頼を損なう深刻な捏造行為といえる。『おわび』で、事実でない記述を明示していない点も、読者の混乱を招くことになり、不適切だ」




(読売新聞 2016.10.12)
『社会』 ジャンルのランキング
この記事についてブログを書く
« ノーベル文学賞は、ちょっと... | トップ | 【気まぐれ写真館】 秋曇り... »
最近の画像もっと見る

あわせて読む