碓井広義ブログ

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北海道新聞「2016年回顧 放送」で解説

2016年12月31日 | メディアでのコメント・論評



北海道新聞の特集記事「2016年回顧 放送」で、解説しました。


2016年回顧 放送
キャスター退任 報道の後退危惧

昨年来、政府や政治家から放送局への圧力とも取れる発言が続いている。2月に高市早苗総務相が、政治的に公平性を欠くと判断した放送局へ停波を命令す る可能性に言及し、民放の番組キャスター6人がこれに「表現の自由を保障する 憲法や放送法の精神に反する」と抗議する声明を出した。そんな中で3月、 NHKで23年間続いた国谷裕子キャスターの「クローズアップ現代」が終了。 TBS-HBC「NEWS23」から岸井成格アンカー、テレビ朝日-HTB 「報道ステーション」から古舘伊知郎キャスターが退任した。

いずれも鋭い批評で知られた3氏だけに、本紙に「放送時評」を寄せている上智大文学部新聞学科の碓井広義教授(メディア論)は「これでいいのか、と突っ込んで視聴者に考えさせるジャーナリズムが後退し、ニュース番組は政府が決めた結果を知らせるだけにならないか」と危惧する。「局のトップが口を出さなくても現場で『面倒が起きそうな報道はやめよう』と自主規制するようになれば、それは政権のメディアコントロール成功を意味する」と言い、放送が立ち位置を 固め直すことを期待する。

調査会社ビデオリサーチは関東地区で10月、リアルタイムの視聴率だけでなく録画した番組の再生も反映した「総合視聴率」の集計を始めた。また、NHKは地上波放送を2019年からネットで常時同時配信する方針を表明した。膨大なコンテンツを自由に見られる動画配信サービスが浸透する中で、出版界に電子書籍が登場したような変革の波が放送にも訪れている。

変革の姿勢を最も感じさせるチャンネルとして、碓井教授はNHKEテレを挙げる。障害者やマイノリティーのための情報バラエティー「バリバラ」では8月、民放のチャリティー特番に対し、障害者を使った〝感動ポルノ〟ではないかと疑問を提示。また、新トーク番組「ねほりんぱほりん」は痴漢冤罪経験者などさまざまな人たちの本音を人形劇の形で引き出すユニークな作りで注目された。「11年に教育テレビから呼称が変わり、総合でもBSでもない独特なポジションで挑戦的な番組を作ってきた努力が花開いている」と評価する。

ほか、話題を呼んだ番組では放送開始50周年の日本テレビ-STV「笑点」が司会を桂歌丸から春風亭昇太へ交代し、今後も番組が続くことを宣言した。NHKの大河ドラマ「真田丸」は史実に基づきながら大胆な省略やユーモアを交える三谷幸喜の脚本が光った一方、連続テレビ小説は「あさが来た」「とと姉ちゃん」「べっぴんさん」と実在人物がモデルの路線で人気を堅持。第4シリーズとなったテレビ朝日―HTB「ドクターX~外科医・大門未知子」は新たな登場人物を加えて高視聴率を保ち、TBS-HBC「逃げるは恥だが役に立つ」は、今どきの結婚観というテーマとエンディングの〝恋ダンス〟人気で社会現象化した。


道内局では、UHBが7月の参院選と今月の日ロ首脳会談に合わせ、テレビ番組と並行してネット独自の特番を制作して道外でも話題となった。ラジオでは、HBCとSTVが石狩管内とその近郊でワイドFM放送を開始。一方、地方ラジオ局の深夜番組では全国最長寿の45年半に及んだSTV「アタックヤング」と、韓流ブームに先駆けて韓国のポップスを15年間伝え続けたFMノースウェーブ「ビーツオブコリア」がともに3月で終了した。

テレビの黎明期から活躍した放送作家の永六輔さん、はかま満緒さん、名司会で知られた大橋巨泉さん、小川宏さんが亡くなった。(渡部 淳)

(北海道新聞 2016.12.28)


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