碓井広義ブログ

<上智大学教授のメディア時評> 見たり、読んだり、書いたり、話したり、時々考えてみたり・・・

女性セブンで、NHK Eテレ『きょうの健康』について解説

2017年04月21日 | メディアでのコメント・論評



Eテレ『きょうの健康』 
50年続いた要因は「シンプルさ」

現在、NHK Eテレで放送中の『きょうの健康』(月~木)が4月で放送開始50周年を迎えた。これまで数ある健康番組が登場しては消える中、なぜこの番組は今日まで続いてきたのか?

平日の20時30分──。「毎日の健康に役立つ確かな情報をお伝えするきょうの健康です」という司会の黒沢保裕アナの言葉から番組は始まる。番組放送中、出演者の口調は一貫してゆっくりしていて、難しい専門用語も聞きやすい。

毎回、放送時間は15分で、1つのテーマを4日間にわたり取り上げる。たとえば目の病気なら、月曜は白内障、火曜は緑内障、水曜は糖尿病網膜症、木曜は加齢黄斑変性について、病気の特徴から、最新の治療などをアナウンサーが質問し、専門医が丁寧に答える。

このスタイルは50年前からほぼ変わらないのだが、それこそが、長寿番組になった要因だと、上智大学教授(メディア文化論)の碓井広義さんは言う。

「ほかの健康情報番組では、エンターテインメント性を打ち出すため、あおったりして大げさな演出をすることがあります。でも、この番組に関しては余計なことはせず、正確な情報だけを出している。変に加工しないからこそ、安心して見ていられるのではないでしょうか」(碓井さん)


番組のスタイルはシンプルだが、放送されるまでには半年近くの制作期間をかけていると言うのは、チーフ・プロデューサーの阿久津哲雄さんだ。

「5か月前に企画を決めて、同時に解説をしていただく専門医を探します。

これが『きょうの健康』の生命線。たとえば腰痛なら、整形外科学会で専門医を紹介してもらうのですが、腰痛にも脊椎管狭窄症など種類があるので、その病気に精通した専門医にお願いするよう、徹底しています」

こうして専門医が決まったら、いよいよ取材開始。

「まずは2時間程度、その病気についての話を聞きます。こちらである程度、内容は決めていきますが、先生が何気なく言われた話から、最新医療の話に繋がることも多いですね」(阿久津さん)

1回目の取材が終わったら、番組の台本を作成し、その後、何度も専門医と推敲を重ね、台本の精度を上げていき、いよいよ収録となるのだ。

「番組のテキストが発売されているので、気になった病気のおさらいができるのもいいですね。わかりやすく伝えるための、緻密な準備と取材が根底にあることが番組とテキストの両方を見ると、よくわかります」(碓井さん)

さらに、視聴者が番組に関して疑問に思ったことは、ホームページを通じて質問でき、後日、専門医が質問に答えてくれることもあるのだが、そんな、かゆいところに手が届く仕組みも番組の大きな魅力だ。

(女性セブン2017年5月4日号)
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