碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

「本音と建前」で笑える、日清カップヌードルのCM

2014年11月25日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム



日経MJ(流通新聞)に連載している「CM裏表」。

今回は、ダチョウ倶楽部が出演している、日清カップヌードルのCMについて書きました。


日清カップヌードル「本音と建前編」

日本人の「不可解」 笑い生む再発見

「Youは何しに日本へ?」(テレビ東京系)という番組がある。成田空港で見つけた外国人に密着取材するドキュメント・バラエティ。

特色は彼らにとっての「NIPPON発見」が、視聴者にとっての「日本再発見」になることだ。日清カップヌードルのCM「本音と建前編」の面白さも、まさにそこにある。

ゴルフで池ポチャの場合も、「ナイスショット!」と声を掛けるオジサンたち。明らかにサイズの合わない服を着た友人を、「ピッタリ!」とホメる女子。外国人が見たら、この言動は不可解だろう。

ましてや熱湯風呂に飛び込む気満々でいるくせに、「絶対押すなよ!」と叫ぶ上島竜兵さんの真意など想定外だ。

日本人なら習慣的に了解している本音と建前の違い。女性の声によるクールなナレーションが、「これは逆の意味です」とダメ押しすることで笑いが生まれる。

上島さんとダチョウ倶楽部の面々による体当たり芸は無形文化財に指定してもいい。

(日経MJ 2014.11.24)

産経新聞で、矢口真理「復帰」について解説

2014年11月25日 | メディアでのコメント・論評



産経新聞で、矢口真理さんの「復帰」が記事になりました。

この中で解説しています。


不倫「矢口真里」超肉食系タレントに「復活」の目はあるか
…「ひどい」「取扱注意物件」「キャラ変更すれば」視聴者はこう見る

不倫騒動で芸能活動を休止していた元モーニング娘。のタレント、矢口真里さん(31)が10月、情報番組に生出演し、約1年ぶりに活動を再開した。カメラの前で謝罪を繰り返し、「新しい人生の第一歩」と再起の誓いを立てた矢口さんだが、復帰については視聴者の中でも厳しい見方が多いようだ。バッシングが続く“肉食系女子”に、復活の目はあるのか。

■「男好きイメージ残る」

矢口さんは昨年5月、週刊誌で不倫疑惑が報じられレギュラー番組を降板。同年10月に無期限活動休止を発表した。それから約1年となる今年10月23日に「情報ライブ ミヤネ屋」に生出演して芸能界に復帰。番組では「私事でお騒がせして申し訳ございませんでした」と謝罪した。

しかし不倫騒動については前夫との約束として多くは語らず、離婚は「すべて私が悪い」とだけ説明。不倫相手とされる元モデルの男性との交際を認める発言もあった。

当時の報道によると、矢口さんは元モデルの男性を自宅に連れ込み、その現場を前夫が目撃したとされる。この騒動を契機に、矢口さんの男性関係をめぐる噂も噴出。ネット上では矢口さんを女性タレントの“男性化”の象徴としてとらえる向きもある。

一連の騒動は注目を集め、芸能界やインターネット上でも物議を醸した。テレビの視聴者には、どんな反応があったのか。

東京都江東区の主婦(50)は「ひどいことをした」と不倫を批判。矢口さんが番組で、活動休止中に批判を受けるなどして「人間不信に陥った」と発言したことにも触れ、「それはあなたが原因でしょうと思った」と違和感を口にした。

千葉県船橋市の男性会社員(50)は、「これまでのような清楚(せいそ)系の仕事は無理でしょ」と断言。「自分から引退表明するのが一番よかったんじゃないか」=女性(75)=との声もあった。

モー娘。世代で千葉県白井市の男性会社員(27)も、「男好きというイメージは拭えない」とバッサリ。番組については、「周囲に迷惑をかけたというのを強調していたが、自分を犠牲にして謝罪する感じが、芸能界に戻りたいという思惑に見えた。もっと『私は何をしました』というのを潔く認めるべきだった」と語る。モー娘。での全盛期を知っているからといって「ひいき目にみることはない」と冷ややかだ。

■復帰応援の声も

エンターテインメント中心のオンラインニュース配信会社「ジェイ・キャスト」(東京都千代田区)は、矢口さんの復帰をインターネット上で報じた上で、「矢口真里さんの今後の活動、どうなると思う?」と題したアンケートを実施。アンケートでは、11月11日時点で「このまま消える」との回答が88・1%にのぼった。

続いて「『いじられ役』に徹して笑いをとる」が3・6%▽「今までのように明るいキャラクターで活躍」が2・9%▽「不倫騒動を逆手にとって小悪魔キャラに転身」が2・8%-などとなった。世間の予想は厳しい。

ただ、復帰後どうなると思うかは別としても、復帰そのものを応援する声もある。「いい印象はない」という一方で、「生活もあるし復帰しないと仕方ないのでは」と祖母目線で語ったのは兵庫県明石市の無職の女性(73)。「こういう問題は、男性がするのに比べて女性がしたときの方が風当たりが強い。そういう意味では少しかわいそうかも」とも話した。

さいたま市のパート従業員の女性(50)も、「問題は個人的には良くないと思うけど、復帰するならあたたかく見守る。今を乗り越えて大人になってほしい」と期待した。

■ハロプロファンは親身に

ちなみにアイドル好きな男性陣はどうみるのか。東京・秋葉原で聞いてみた。

文京区からAKBグループのグッズ専門店に来ていた男性(24)は、復帰の是非は「どちらでもいい」と一言。同じくAKBファンの埼玉県の男性(41)も、「矢口さんのファンじゃないからあまりどちらとも思わない。アイドルに彼氏がいるならそれはそれで…」。夢と現実は割り切るらしい。そして矢口さんも元アイドルとはいえ、グループが違えば関心は低いようだ。

一方、モーニング娘。同様、つんく♂さんがプローデュースするハロー!プロジェクトの「℃‐ute」(キュート)ファンで、新宿区に住む男性会社員(45)は、自分のことのように感想を述べる。「学生時代から芸能活動に打ち込んでいるから、きっと就職も難しいと思う。賛否両論あると思うけど、離れる人は離れるし、ついて行く人はついていくと割り切って活動するしかない」。

不倫には否定的だが、アイドルの恋愛については「女性の一番いいときに恋愛をしないのも不健全。矢口さんもどこかで『元モー娘。』という立場に線引きしたかったのかもしれない」と思いやる。ただ番組については「何が言いたいかよくわからなかった」と不満げだ。元モデルとの同性宣言に触れ、「結局か、という感じ。矢口さんは女性ファンも多い。あまり幸せだと女性人気は落ちるのでは」と推測した。

■テレビ的には「取扱注意物件」

専門家の分析はどうか。元テレビプロデューサーで上智大の碓井広義教授(メディア論)は、復帰時について「質問が予測できない普通の会見ではなく、番組に出演して話をするという、守られながらの露出だった」と指摘。「本来説明が必要な不倫騒動の真相は話さないのに、都合のいいことだけを話す。そのことに対する疑問符は残った。人間不信という発言も、それは前夫が言うことで、自分の立場がわかっていないと視聴者には映ったはずだ」と解説する。

今後の活動についても厳しい分析。「彼女は『取扱注意物件』になった。企業は特に主婦層に与えるイメージを大事にする。女性が受け入れにくい騒動を起こした矢口さんを、あえて自社がスポンサーの番組やCMに出てほしいとは思わないだろう」。

碓井教授は、ほとぼりが冷めてもこれまでのキャラクターで活動するのは難しいとの見方。「矢口さんは、欲望に忠実であるという面で肉食女子を体現している。ただ今回の不倫騒動は世間の肉食女子からしても、『ああいう風にはなりたくないよね』といわれてしまうような事例。これまでの路線を捨て、ちょっと汚れ系の肉食女子というキャラ設定であれば、深夜帯などで需要はあるかもしれない」と話している。


(産経新聞 2014.11.24)