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サミットとアフリカ支援

2005-07-06 17:07:56 | マネー&ポリティックス
先週の「CBSドキュメント」(自分がTBS系列で見ているほぼ唯一の番組)で、1匹のヤギのおかげで
アメリカでの教育を受けることができた、あるアフリカ最貧国の少女の話を紹介していました。
からくりはこうです。アメリカ・アーカンソーのNGOがアフリカの本当に貧しい家にヤギを1匹ずつ与えて、
ヤギのミルクを売ることで生計を立てる。そのお金から授業料を工面してこの少女を学校に通わせる。
その少女は成績優秀なので奨学金でエリート高校に転学し、その後アメリカに渡るチャンスを得て、
アメリカの高校に通い始め、そしてアメリカの大学へ進学できた。こういう形です。

間もなくスコットランドでグレンイーグルスサミットが始まりますが、このサミットでの重要論点として、
環境問題と同列で語られようとしているのがアフリカ支援です。具体的にはアフリカの最貧国に対して、
債務免除を行うことだと思われます。これは例えばU2のボノがここ数年さかんに主張していることであり、
それにトニー・ブレアが乗った形でしょう。もともとアフリカの大部分を植民地とした旧宗主国の責務として、
イギリスがG8諸国の先頭に立ってアフリカ支援を唱えています。ブレアは、サミットで残り7カ国から
うまく同意を得られれば、例えばボーア戦争で勝ったセシル・ローズ同様に、アフリカ史の重要人物として
世界史の教科書に載ることになるのでしょう。

経済成長に乗ったアジアとは対照的にアフリカ諸国、特にサハラ以南諸国(Sub-Sahara)はここ10年で
経済成長の恩恵に授かっていないといわれています。その意味では何らかの支援も必要となるとは思います。
ただし債務免除はあくまでもその一歩であるべきであってこれでお終いとしてはいけないでしょう。
実際のところ、貧しいアフリカ諸国の国民が必要としているのは資金面の援助と同じくらいに、
クリーンな政府と自助可能な機会ではないかとヤギの話を見て感じたところです。

Live8や昨年末のBand Aidを通じてヨーロッパではアフリカへの関心が高まりつつある一方で、
未だにアフリカは自分たちでは何もできないというイメージ、一種の「暗黒大陸」のイメージがまだあるようです。
債務免除は既に織り込み済みの感がある中、今後はこうしたイメージといつまでも変わることがなかった
援助方法を改める必要があると思います。

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