インタビュー ジョン・フォード 全生涯・全作品 著者: ピーター・ボグダノヴィッチ 訳者: 高橋千尋 九藝出版
2月になっての最初の日曜日に古本屋さん廻りをした。今回はちょっと遠出をして六本松地区まで行ってみた。天神からそちら方面に伸びた地下鉄に乗るのは初めてだけれど何だかひとサイズ小さな地下鉄電車のようで窮屈だなあ・・・・・という印象。 六本松で降りて特に目的の本屋さんがあるわけでもなくただブラブラと歩いてみる。九州大学の教養部がある地区にしては古本屋さんが少ないな・・・・・と思いながらある古本屋さんに入ってみた。そこで この本ともう1冊「 西部劇入門 」という本にめぐり逢い両方とも1000円という値段で買ったのでした。この2冊は僕にとってはとっても驚きの収穫だった・・・・・長い間捜し求めていた本に同時に2冊もめぐり逢うなんて、こんなこともあるんだ・・・・と(驚)。そして散々歩き回った疲れも吹き飛んでしまったのでした。
ところで、この本は1966( 昭和41 )年に映画批評家時代のピーター・ボグダノビィッチ(1939年~現在 ニューヨーク生まれ。後年映画監督として「 ラスト・ショウ( The Last Picture Show )」 などを作った )がジョン・フォード監督( 1895~1973年メイン州出身 )に直接インタビューをした時の事柄を中心にして、フォード監督の映画作品についても言及した内容になっています。 日本では昭和53年に出版されたようですが、私は全く知らなくて知った時には既に絶版になっていたのでした。 ジョン・フォード監督の西部劇が好きで、他の作品やフォード監督についても知りたいと思っていたのでいつの日か読んでみたいと思い続けた本でした。
訳者の高橋千尋さんのエピローグ( あとがき ) によるとインタビュー当時のピーターは26歳、フォード71歳で フォードは孫に向って昔話をするような心境であったろう・・・・・と書いておられます。 インタビューとかが嫌いだったフォード監督でしたので今となってはフォード監督の生の声を知ることが出来るという意味で貴重なものかもしれません。これ以降に出された色々な映画の本でもフォード監督に関することではしばしばここから引用されることも多いようです。読んでみてやはり監督へのインタビューのところが一番面白かったです。
<目次>
1. 私はジョン・フォード、西部劇を作る男だ( My Name's John Ford. I Make Westerns )
・・・・・・・フォードの最後の西部劇「 シャイアン(1964)」 の撮影現場に赴いての撮影状況やエピソード、関係者のフォードに関するコメントなどが載っているもの。フォードが俳優に指示しながら楽しみながら撮影をしていく状況が具体的に解って楽しい
2. 詩人、そしてコメディアン( Poet And Comedian )
・・・・・これも有名な監督だったオーソン・ウェルズが言った言葉だそうで「 ジョン・フォードは、詩人で、その上、コメディアンでもある 」と。 フォード自身ユーモアは自分の18番とするところだと認めているそうで、ただそれはピーター・ボグダノビッチに言わせるとコメディアンの面はある種の場当たりを狙った芸人精神を意味しているように見える・・・・と、云っています。 読んでいてなるほどなあと思ったところは ”フォードのすべての作品が個々に他の作品からの反射光を浴びて輝き、一本だけを残りの作品から切り離して眺めると、光が消えたも同然になるのもフォード映画である ” という点。 フォードの作品をたくさん見ていくとそれは感じられますね
3.仕事としての作品( A Job Of Work )
・・・・・・この章は、1966( 昭和41 )年の夏も過ぎようとする、秋風の立ち始めた頃、7日間にわたって、ベル・エアーのジョン・フォード宅にテープレコーダーを抱えて訪問し、インタビューを行なって得た一問一答をまとめたものである・・・・と書いてあります。
ピーターの質問事項の例と一つだけ答えを挙げるだけにしておきます
「 あなたの御両親はアイルランドで知り合ったのですか? 」
「 あなたと、あなたのお兄さんのフランシスはなぜフォードという名をつけたのですか? 」
「 何本か二巻ものの作品で主役をおやりになったそうですが本当ですか? 」
「 監督に転身したきっかけは何でしたか? 」
「 ハリー・ケリーと組んだ初期の西部劇はどんなものだったのでしょうか? 」
「 どうして映画の世界に入られたのですか? 」
「 モニュメント・ヴァレーという場所を発見したのはどういうきっかけで? 」
「 ジョン・ウェインをスターに仕立てるため彼にあまりものをしゃべらせなかったという人がいますが、当たっていますか? 」
「 騎兵隊3部作の中で最も満足なさっているのはどれですか? 」・・・・・「 ”黄色いリボン ”が好きだ。あの映画ではフレデリック・レミントンの画風をフィルムでコピーしようとしたんだ・・・・・」
他多数。
4.フォード全作品 ーフィルモグラフィーー(Ford's Career 、Filmography)
・・・・・・・1914年から1966年までの作品について簡単な<あらすじ>と製作関係者および主演からほんの端役に至るまでの俳優名が載っている詳しいリスト集。
古本でしか手に入らないのが残念ですがジョン・フォード監督の映画に興味がある人にはとても有意義な本だと思います。
< 2014(平成26)年冬になっての感想 >
この本は最近になって新装再発売されました。表紙は違っていますが内容はほとんど一緒。映画監督ジョン・フォードに興味のある人には必読の本です。 博多の六本松地区は再開発でいまでは九州大学教養部はなくなってしまいました。
2月になっての最初の日曜日に古本屋さん廻りをした。今回はちょっと遠出をして六本松地区まで行ってみた。天神からそちら方面に伸びた地下鉄に乗るのは初めてだけれど何だかひとサイズ小さな地下鉄電車のようで窮屈だなあ・・・・・という印象。 六本松で降りて特に目的の本屋さんがあるわけでもなくただブラブラと歩いてみる。九州大学の教養部がある地区にしては古本屋さんが少ないな・・・・・と思いながらある古本屋さんに入ってみた。そこで この本ともう1冊「 西部劇入門 」という本にめぐり逢い両方とも1000円という値段で買ったのでした。この2冊は僕にとってはとっても驚きの収穫だった・・・・・長い間捜し求めていた本に同時に2冊もめぐり逢うなんて、こんなこともあるんだ・・・・と(驚)。そして散々歩き回った疲れも吹き飛んでしまったのでした。
ところで、この本は1966( 昭和41 )年に映画批評家時代のピーター・ボグダノビィッチ(1939年~現在 ニューヨーク生まれ。後年映画監督として「 ラスト・ショウ( The Last Picture Show )」 などを作った )がジョン・フォード監督( 1895~1973年メイン州出身 )に直接インタビューをした時の事柄を中心にして、フォード監督の映画作品についても言及した内容になっています。 日本では昭和53年に出版されたようですが、私は全く知らなくて知った時には既に絶版になっていたのでした。 ジョン・フォード監督の西部劇が好きで、他の作品やフォード監督についても知りたいと思っていたのでいつの日か読んでみたいと思い続けた本でした。
訳者の高橋千尋さんのエピローグ( あとがき ) によるとインタビュー当時のピーターは26歳、フォード71歳で フォードは孫に向って昔話をするような心境であったろう・・・・・と書いておられます。 インタビューとかが嫌いだったフォード監督でしたので今となってはフォード監督の生の声を知ることが出来るという意味で貴重なものかもしれません。これ以降に出された色々な映画の本でもフォード監督に関することではしばしばここから引用されることも多いようです。読んでみてやはり監督へのインタビューのところが一番面白かったです。
<目次>
1. 私はジョン・フォード、西部劇を作る男だ( My Name's John Ford. I Make Westerns )
・・・・・・・フォードの最後の西部劇「 シャイアン(1964)」 の撮影現場に赴いての撮影状況やエピソード、関係者のフォードに関するコメントなどが載っているもの。フォードが俳優に指示しながら楽しみながら撮影をしていく状況が具体的に解って楽しい
2. 詩人、そしてコメディアン( Poet And Comedian )
・・・・・これも有名な監督だったオーソン・ウェルズが言った言葉だそうで「 ジョン・フォードは、詩人で、その上、コメディアンでもある 」と。 フォード自身ユーモアは自分の18番とするところだと認めているそうで、ただそれはピーター・ボグダノビッチに言わせるとコメディアンの面はある種の場当たりを狙った芸人精神を意味しているように見える・・・・と、云っています。 読んでいてなるほどなあと思ったところは ”フォードのすべての作品が個々に他の作品からの反射光を浴びて輝き、一本だけを残りの作品から切り離して眺めると、光が消えたも同然になるのもフォード映画である ” という点。 フォードの作品をたくさん見ていくとそれは感じられますね
3.仕事としての作品( A Job Of Work )
・・・・・・この章は、1966( 昭和41 )年の夏も過ぎようとする、秋風の立ち始めた頃、7日間にわたって、ベル・エアーのジョン・フォード宅にテープレコーダーを抱えて訪問し、インタビューを行なって得た一問一答をまとめたものである・・・・と書いてあります。
ピーターの質問事項の例と一つだけ答えを挙げるだけにしておきます
「 あなたの御両親はアイルランドで知り合ったのですか? 」
「 あなたと、あなたのお兄さんのフランシスはなぜフォードという名をつけたのですか? 」
「 何本か二巻ものの作品で主役をおやりになったそうですが本当ですか? 」
「 監督に転身したきっかけは何でしたか? 」
「 ハリー・ケリーと組んだ初期の西部劇はどんなものだったのでしょうか? 」
「 どうして映画の世界に入られたのですか? 」
「 モニュメント・ヴァレーという場所を発見したのはどういうきっかけで? 」
「 ジョン・ウェインをスターに仕立てるため彼にあまりものをしゃべらせなかったという人がいますが、当たっていますか? 」
「 騎兵隊3部作の中で最も満足なさっているのはどれですか? 」・・・・・「 ”黄色いリボン ”が好きだ。あの映画ではフレデリック・レミントンの画風をフィルムでコピーしようとしたんだ・・・・・」
他多数。
4.フォード全作品 ーフィルモグラフィーー(Ford's Career 、Filmography)
・・・・・・・1914年から1966年までの作品について簡単な<あらすじ>と製作関係者および主演からほんの端役に至るまでの俳優名が載っている詳しいリスト集。
古本でしか手に入らないのが残念ですがジョン・フォード監督の映画に興味がある人にはとても有意義な本だと思います。
< 2014(平成26)年冬になっての感想 >
この本は最近になって新装再発売されました。表紙は違っていますが内容はほとんど一緒。映画監督ジョン・フォードに興味のある人には必読の本です。 博多の六本松地区は再開発でいまでは九州大学教養部はなくなってしまいました。