◆「映画」は、文学、美術、音楽、演劇等からなる「総合芸術」◆
『10回でも20回でも観たくなる映画シリーズ』の「下-2:終章」(2011年10月18日)において、将来、「映画鑑賞」の最適教材として、オードリー・ヘップバーンとグレゴリー・ペック主演の『ローマの休日』を採り上げる旨「予告」していました。
ところが友人たちより、「対象映画」について6作品のリクエストが挙げられました。いずれも1990年以降に公開され、ともに何らかの「オスカー」を受賞した作品です。どれも優れたものであり、うち3つは《米映画協会(AFI)が選んだ米国映画ベスト100》にも入っています。
しかし、いずれもこれといった「決め手」に欠けていたような気がします。
そこで、他の友人たちの意見も参考にしました。「上記6点」に「新たに6点」を加えた「計12点」を「第1次審査」の対象とし、「第2次審査」において「4作品」に絞りました。もちろん私以下3人の審査員は、全員が「全12作品」を観ています。
そして「第3次の最終審査」において、私に最終決定権が与えられました。そこで私は、「自分が何度も観たい作品」」を選びました。「何度も観たい」と思わなければ「原稿」など書けないでしょうし、何よりも「みなさん」に薦めることもできないでしょう。
「第2次審査」に残った「4作品」は以下のとおりです(「公開年月」は「日本」)。
1.『カッコーの巣の上で』
1976年4月公開。監督/ミロシュ・フォアマン、主演/ジャック・ニコルソン、ルイーズ・フレッチャー。アカデミー賞主要5部門受賞(作品、監督両賞、主演男優・女優両賞、脚色賞)。他4部門にノミネート。
2.『愛と青春の旅立ち』
1982年12月公開。監督/ティラー・ハックフォード、主演/リチャード・ギア、デブラ・ウインガー。アカデミー賞2部門での受賞。他4部門にノミネート。
3.『ショーシャンクの空に』
1995年6月公開。監督/フランク・ダラボン、主演/ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン。アカデミー賞7部門にノミネート。
4.『アニーホール』
1978年1月公開。監督・主演/ウッディ・アレン、主演/ダイアン・キートン。
アカデミー賞4部門での受賞。他1部門にノミネート。
◆ 『愛と青春の旅立ち』を第1回作品に◆
今回私が選んだのは、『愛と青春の旅立ち』(An Officer and a Gentleman:1982年日本公開)でした。
この作品を通して、「映画の魅力」を語ってみたいと思います。
ここでは、単なる「ストーリー」の展開や「俳優」の演技の評価にとどまらず、「総合芸術」としての「技術的な側面」にもスポットを当て、それがどれだけ「映画」の魅力となっているかを解き明かしたいと思います。
結局「映画」は、「人間とは何か」を描く芸術であり、そのために“生や死”、“愛や性”、“喜びや哀しみ”、“家族や国家“、さらには“平和や戦争”といったテーマを扱うものです。
そして、ストーリーの展開や台詞(せりふ)だけでは表現しえない「人間の意識や感情、思想や行動」を、カットやシーンの巧みな積み重ねや画面背景、セット構成、照明、音楽等を駆使して表現するものです。
そのため、監督や脚本家、それにカメラマンや編集者が伝えようとする「テーマ」や「視点」にも触れてみたいと思います。
そこで今回のシリーズ「タイトル」は「映画鑑賞」ではなく、「映画を読み解く」としました。
なぜなら「映画」とは、文学、美術、音楽、演劇等を総合的に駆使した芸術であり、単なる「鑑賞」といった受身の姿勢では、その真の理解は難しいと感じたからです。
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◆映画を7倍楽しむために◆
それではさっそく「本論」に入りましょう。いかにして、『映画を7倍楽しむ』かということですが、どんな「作品」(DVDやブルーレイ)を観る場合でも、次のことを念頭におきましょう。
1.「映画」のよりよい理解のためにも、最低「3回」は観る。
2.「特典付」を選ぶ。
3.外国映画の場合、「音声」は極力「英語」にして観る。
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「特典」で特に注目すべきは、当該映画の「監督」や「脚本家」が、その映画の進行に合わせて「解説」しているものがあります。特定のカットやシーンについての必要性や狙い、演出や俳優の裏話など、その「映画」そのものを理解するうえでも大変有意義です。
何でもない小さな1カット、1シーンであっても、その映画のテーマそのものに関わる重要なものもあります。
「外国映画」の場合、「音声」は「英語版」、ケースによって「日本語吹替版」があります。「字幕」は「英語」「日本語」「吹替用日本語」というのが一般的のようです。
しかし、1回目は「音声」を「英語」(「フランス語」「ドイツ語」というものもあります)、「字幕」は「日本語」で観ましょう。
そして2、3回目以降に、「ここぞと思う部分」だけでも「音声」と「字幕」を「英語」にして、「英文や英単語」を確認するのがよいと思います。
俳優の「声の質」が、「配役」の雰囲気や人物の性格、人間性といったものを表現していることが多々あります。声が太いとか細いとか、甲高いとかハスキーといったことは、「キャスティング(配役設定)」においても重要な選定要因となっています。
「ゴッドファーザー」でのマーロンブランドは、ほっぺに綿のようなものを入れて頬を少したるませていました。そのため「声」に「くぐもった感じの凄み」がありましたね。そういう「生の声」やその雰囲気を感じることも大切です。
また「日本語」では絶対に表現できない、「英文・英単語」だからこその「言葉のリズムや抑揚」そして「韻」などを楽しむことができます。
それでは、次回より『愛と青春の旅立ち』をともに読み解いてみたいと思います。 (続く)