さわやか易(別館)

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

スターリンを語る。(5) スパイ大作戦

2017-07-06 17:00:59 | 世界史談義

親分、スターリンというと、陰謀とか謀略とかのイメージが強いですよね。ソ連のスパイは世界中にいたんでしょう。その経費も莫大になると思うんですが、よく出来たものですね。

スターリンは確かにスパイを重視して、スパイたちは相当の金も使って工作活動をやっている。俺はあの戦争を制したソ連は情報戦に勝ったからだと思っているよ。

それにしても不思議に思うのは、日本にしてもアメリカにしても、政府の中枢によくもスパイが潜り込めましたね。どうしてでしょうか?

それはなあ、それだけマルクス理論というか、共産革命理論というものが、当時のエリートたちには魅力があったんだよ。何しろ東大法学部と言えば今でもそうだが、戦前だってエリートの卵たちが集まった所だよ。そのエリートたちが必死に取り組んだのが社会主義なんだな。俺の友達なんかも散々やっていた連中は沢山いるよ。

何がそんなに面白いんですか?

馬鹿なお前には解らないだろうな。そもそも頭のいい奴は伝統とか既成の権威というのが嫌いなんだな。何でも科学的に考えるのが好きなんだよ。例えば宗教とか天皇制とか日本精神とか、お前の好きそうなものは嫌いなんだ。合理的とか科学的に考えると、やはりマルクス主義は面白いんだと思うよ。

そうですか、だからエリートたちは日本人ではなくなっちゃうんですね。

とにかくソ連のスパイが入り込む前に共産主義に賛同するエリートたちが日本中に沢山いたんだよ。それはアメリカも同じなんだよ。だからソ連のスパイが入り込む下地は既にあったとも言えるんだ。

日本に来たスパイではゾルゲが有名ですね。確かゾルゲは近衛内閣の機密情報まで入手したんですよね。

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リヒャルト・ゾルゲ(1895~1944)

そうだよ。近衛内閣のブレーンの中に尾崎秀実(ほつみ)という共産党員がいたんだよ。この尾崎は東大法卒で朝日新聞出身だ。こういうエリートたちが内閣の中枢にいたことが問題なんだよ。おそらく日本に共産革命が起れば、尾崎のようなエリートが支配層に名を連ねたことだろうな。

ゾルゲの情報によって、スターリンは日本の南進作戦を知り、日本軍に備えていた軍隊を独ソ戦に回したということですよね。

そうらしいね。でも実際のスターリンはその情報を信じないで、まさかドイツ軍が攻めてくるとは考えなかったらしいよ。でもいざ始まって、ようやく信じたんだろう。確かに軍隊を移動させている。

アメリカのルーズベルト政権でも共産党員がいたんですよね。

WhiteandKeynes.jpg
ハリー・ホワイト左(1892~1948)

いたどころか、ルーズベルト本人も共産党員とは言わないが共産主義の共感者だったんだから始末が悪いよ。だから政府内に共産主義者が300人位いたらしいよ。中でもハリー・ホワイトはモーゲンソー財務長官のもとで財務次官補だったらしいね。かなりの高官だな。こいつがハル・ノートの作成に関わったということだ。

そんなに共産主義者が大統領の周りにいたんじゃ溜まりませんね。結局、スターリンがスパイ工作をやったというより、日本でもアメリカでも内側に既に反乱分子がいたってことですよね。それじゃあ、スパイも活躍出来ますよね。まったくエリートって危険ですね。そうかと言って馬鹿ばかりじゃ国はもたないし、難しいですね。やっぱり健全な教育が何より必要なんですね。

ところでな、ゾルゲなんだが、女にはモテたらしいぞ。

そう言えば、ゾルゲは二枚目ですよね。二枚目のスパイか。何だか007みたいですね。

そうなんだ。007も顔負けする位モテたんだぞ。それも情報活動に必要だったのかも知れないんだがな。解っているのは日本に来る前に上海で日本入りの準備をするんだが、アメリカ人女性ジャーナリストのアグネス・スメドレーといい仲になっているんだ。毛沢東とも親しい大物ジャーナリストなんだな彼女は。

面白いですね。他にもあるんですか?

すっかり日本通に成って日本に来るんだ。日本では日独防共協定を結んだ後だから、ナチス党員と偽ってドイツ特命大使のオイゲン・オットに近づき信頼を得るんだ。オイゲン・オットは日本のことを良く知らなかったものだから、ゾルゲをすっかり信用して頼っていたんだな。機密情報もどんどん喋ってしまうんだ。そんな関係だったけど、何とゾルゲはオット夫人とも仲良くなっちゃうんだな。

中々やりますね。

関係を持った女性は数知れずというんだ。しかもデートは帝国ホテルなんだぞ。金はあるし、洗練された物腰で教養も豊か、長身で二枚目だよ。女性はイチコロだろう。日本人妻もいたし、女性には不自由はなかったみたいだな。うらやましいか?

羨ましいです。恰好いいですね。でも危険な職業ですよね。スパイって。やっぱり僕には無理です。結局、警察に捕まって、処刑されるんですよね。

そうなんだが、最後まで信じて疑わなかったのが、オット大使だったというんだ。「今直ぐ釈放しろ。」と政府に掛け合ったそうだ。

完全に信じていたんですね。ゾルゲはスパイとしては超一流だったんですね。
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