さわやか易(別館)

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

チャーチルを語る。(2) チャーチルの大誤算

2017-06-16 11:48:34 | 世界史談義

親分、それでは「ヤルタ会談」までのチャーチルにいきましょうか。

そうだな、ドイツが攻撃先をソ連に替えたんで、取り敢えずチャーチルは命拾いをした。そこまで行ったんだな。

ロンメル将軍(1891~1944)

そうです。ただドイツとの戦争は終わった訳ではなく、エジプトやギリシャの地中海方面に移るんですね。北アフリカ戦線ではドイツの名将軍ロンメルに散々敗北し、苦労するんですがどうにかエジプトだけは守ったんです。

地中海ルートのエジプトはイギリスの生命線だからな。そうしてるうちに独ソ戦が始まるんだよな。

そうです。ドイツの敵はイギリスの味方ですから、チャーチルはスターリンに協力を約束するんですね。でも心ではソ連を敵と思っているんで、形ばかりで実際は動かないんです。ソ連の大使から「フランスに軍隊を出して西から攻めてくれ。」とスターリンの意向を伝えるんですが、アフリカが重要でその余裕がないと言って断っているんです。その後アメリカのルーズベルトからも言われるんですが、44年のノルマンディー上陸作戦までは断っているんです。

チャーチルとルーズベルトの考えは違っていたんだな。

そうです。実はチャーチルはルーズベルトの本心を知ってびっくりしたことがあるんです。

ほう、それはどういうことなんだ?

イメージ 2
F・ルーズベルト(1882~1945)

チャーチルは共産主義の脅威を最も恐れていましたよね。当然アメリカのルーズベルトも同じだと思っていたんです。ところが独ソ戦が始まって、ルーズベルトとカナダに停泊中の艦船プリンス・オブ・ウェールズで会見した時にルーズベルトが恐ろしくソ連寄りで共産主義を讃美しているんです。これはチャーチルにとっては大誤算だったんです。

成る程なあ、考えられるのは1929年の大恐慌だな。あの大恐慌でアメリカは大失業者時代というか、建国以来の混乱を味わったんだ。その時、ソ連だけが資本主義の圏外だった為に無傷だったんだな。だからルーズベルトに限らず政治家は皆共産主義を資本主義より一歩進んだ政治体制だと考えたんだ。当然ルーズベルトもそこから学んだんだろう、ニューディール政策なんかはそこから学んだのかも知れないな。

そうですかね。兎に角、期待していたアメリカがソ連寄りなんで、それからの交渉が大変だったみたいです。それにチャーチルは大英帝国のプライドを持っていましたので、ルーズベルトはもっと敬意を示すだろうと思っていたところ、ルーズベルトはまるで親分のような態度だったんです。戦争中は軍事力がある方が交渉でも優位に立つんですね。

そうか、百戦錬磨のチャーチルにはたいていの奴はひれ伏すと思うのだが、そうはいかなかったんだ。

アメリカに参戦してもらいたいチャーチルは始めから足元を見られていたんでしょう。でも日本への経済封鎖だけは同意を取り付けました。しかし日本への参戦はチャーチルより前にスターリンからの要請があったみたいでルーズベルトは始めからその気になっていたんだと思います。

成る程なあ、スターリンの謀略は着々と進んでいたということだな。そう言えばルーズベルトの側近にも共産党員がいたというじゃないか。

そうなんですよ、ルーズベルト大統領在任中の12年間に何と300人以上の共産党員が政府内に入っていたというのです。日本への最後通告であるハル・ノートの作成にも関わったとされるハリー・ホワイトは共産党員でソ連のスパイだったんです。

じゃあ、ルーズベルトは完全にスターリンの手のひらにいたようなもんだ。

ヤルタ会談の三巨頭

ようやくテヘラン会談とヤルタ会談の話になりますが、チャーチルはいつもスターリンとルーズベルトの二人に話を押し切られてしまったようです。大英帝国もソ連とアメリカの前には没落した小国に感じたそうです。会談後に私書にもらした言葉に、「我が国が小国に堕ちたことを思い知らされた。会談にはロシアの大熊、アメリカの大牛、そしてその間にイギリスの哀れなロバが座っていた」とあるんです。

チャーチルがドイツと戦うためにアメリカに頼ったのは大きな誤算だったということなんだな。ドイツには勝ったがイギリスは全てを失ってしまったからなあ。なんのための戦争だったのかチャーチルも悔いが残っただろうな。

戦後、チャーチルは第二次世界大戦は必要なかったと何度も言っています。そのために世界中で何千万人が犠牲になっているんです。必要のない戦争に何で人類は飛び込んでいくのでしょうね。
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