都議選、参院選と重要選挙を控えていますが、有権者の皆さんに是非考えていただきたいのです。原発のない世界を実現するために・・・。
1.原子力「ムラ」の弊害
福島第一原発事故から2年余りが過ぎました。しかし事態はいまだに収束していません。最近も鼠が原因で冷却システムがダウンしました。放射性物質は毎日放出され続けています。国民は多かれ少なかれ放射線被曝を受け、今後も更に受け続けます。やがて被曝に伴うさまざまな健康被害が現れてくることでしょう。そして原発周辺は今後数十年にわたって人の住めない地域になるのです。
いったいなぜこんな酷い事になったのでしょうか。これは長い年月をかけて自民党政権が築いてきた原子力「ムラ」による人災です。「ムラ」は正しい発言をする人々を排除し、結果としてイエスマンによって固められた「無能集団」となってしまいました。その挙句は不都合な事象の「想定外」化、安全軽視、そして事故発生だったのです。
この構図は何かに似ていませんか。そうです。先の大戦の構図です。反戦を唱える人々は「非国民」の罵声を浴び、治安維持法で排除されました。政府も軍部もイエスマンによって固められた「無能集団」となって戦争への道を突き進みました。そして最後は終戦のタイミングすら逸して国内で300万人、アジアを中心に2000万人の犠牲者を出したのです。
「ムラ」がもっと民主的であったなら、原発の危険性が認識され、より早い段階で廃炉となっていたことでしょう。よしんば残って稼動していたとしても、十分な災害対策が施され、3.11の大震災でも大事に至らなかったことでしょう。
3年余りの野党暮らしを経て、更にこれだけの原発事故被害を目の当たりにしても自民党の思考パターンは変わりません。政権復帰した自民党は民主党政権の脱原発政策を破棄し、再稼動・輸出推進方針を鮮明にしました。これにより「ムラ」は勢いづいています。資源エネルギー庁は本年度の太陽光発電の電力固定買取価格を昨年度より値下げしました。東京電力は事業者が提出した自然エネルギー電力買取申請書を数ヶ月放置しているそうです。これらは自然エネルギーの拡大を阻止し、原発再稼動を正当化しようとする「ムラ」の本能に合致しているのです。
更に最近の報道では経産省が原発推進派の民間提言の下書きをし、規制委員会をも批判し始めました。いよいよ政権を挙げて「ムラビト」になり、なりふり構わず早期再稼動を目指しています。
2.原発輸出問題
現在原発は日本を含めて世界で400基余りが稼動しています。地震、津波、操作ミス、更には9.11のようなハイジャックによるテロまで含めれば、これら全ての原発が、福島第一原発のような、更にはチェルノブイリ原発のような重大な事故を引き起こす危険性を持っています。あたかも世界中に原子爆弾の地雷が敷設されているかのように・・・。
今後も原発輸出を推進するということは日本国民のみならず原発輸出先の国民、ひいては世界中の人々の命を軽視し、今の我国の経済を優先することに他なりません。「死の商人」ならぬ「死の灰の商人」とも呼ぶべき所業です。
3.高濃度放射性廃棄物問題
一方原発の問題点は事故だけではありません。高濃度放射性廃棄物の問題があります。私たちの子孫は数万年間に渡って私たちが原発で燃やして残った使用済み核燃料を管理しなければなりません。勿論その管理には毎年莫大なコストがかかります。気の遠くなるような長い年月の間にこの危険物がどんな危害を子孫に与えるか測り知れません。果たして私たちは今の生活を享受するためにこんな危険極まりない負の遺産を遺していって良いのでしょうか。そんな身勝手が許されるはずもありません。私たちは今こそ原発ときっぱり縁を切って大車輪で自然エネルギーを立ち上げて行くべきではないでしょうか。
4.脱原発の輪を拡げよう
有権者の皆さん、近く都議選と参院選がありますが、護憲と併せて「脱原発」をキーワードとして候補者を選び、投票しましょう。
脱原発の行く手に米国の意向が立ちふさがるかもしれません。それはTPPのISD条項という形を取る可能性もあります。しかし核兵器と同様に「人類と原発は共存できない」という強い意思を国民が示せば、米国も引き下がらざるを得ないでしょう。既に脱原発を明確にしたドイツの例のように・・・。
この二つの選挙の後に、「護憲と脱原発」の勢力が結集し、自民党などの「改憲と原発推進」の勢力を凌ぐように育つことを願ってやみません。
どうか脱原発の輪を拡げてください。