環境どっとこむ2012

小言炸裂!環境問題をわかりやすく解説します!

名著に出会う『福島に生きる』

2012-01-10 19:29:40 | 名著に出会う
おかげさまで年末年始はたっぷり休養を取ることができ、たまっていた本、韓ドラを一気見しました(汗

年明け一本目にご紹介するのは、ドラマじゃなくて、本です。

震災後、被災地を支援する活動が活発化しています。それで現地の皆さんが少しでも、よりよい暮らしを送るために役立てられるのであればいいのですが、中にはお金儲けのためにNPOや団体を結成して、会員から集められた善意の募金は使い道がはっきりしないと、そういう団体が存在するのも確かで、今年はそのあたりがクローズアップされるのではないでしょうか。

本当に被災者が必要とする支援とは何か。復興とは何かをあらためて考えるきっかけとなったのが、玄侑宗久さんの著『福島に生きる』 (双葉新書)です。

(本の紹介文)

原発から西45キロに位置する福島県三春町の寺に住む作家は、そのとき何を感じ、何に祈ったのか。福島に住み続けるとはどういうことか。放射能にどう向き合うべきか。日本人に警鐘を打ち鳴らす渾身の一冊

(新書なので表紙は殺風景ですね)


昨年4月、著者は復興構想委員会に名を連ね、会議でどんなやりとりが行われていたのかを紹介しています。マスコミでは報じられていない歴史の一ページといいましょうか。復興構想委員会が被災地の思いとかけ離れているのがよく伝わりました。

この会議では五百旗頭真議長が冒頭に基本計画を提示したそうです。
その中で「何をどうするのか」具体的なプランが何もないまま、唐突に「復興税」が出てきました。しかも、原発問題は話し合わないというので、「原発問題を話し合わないというのであれば、私は何のために来たんだ」と佐藤福島県知事は叫び、会場がざわついた。その時、最高顧問の哲学者・梅原猛さんが机をドン!と叩き、「文明論の問題として原発問題は避けて通ることができません」と、怒りをにじませながら語った部分がとても印象的に残りましたね。

この本の序盤のハイライトは、なんとしても今の与党のうちに、増税に踏み切りたいという財務省官僚の姿が五百旗頭議長を通して見えてくるところでしょう。
森びとも被災地での植樹や炭まきを実施すべく議論を重ねるでしょうが、被災地ではどんなことが起こっているのか。マスコミでは報じられない真実を知るのに、良い機会になると思います。


名著に出会う『までいの力』

2011-10-15 14:44:08 | 名著に出会う
南相馬・飯舘、会津とここ数週間でいろいろと出かけ、その間締め切りで缶詰@@になっていましたが久々の休息です。サウナに入った後、水風呂の滝に打たれて瞑想すると、妙案(?)が次々と浮かんでくるので、不思議なもんです。

マスコミや同業者は宮城を取材活動の拠点にしている人が多いのですが、私は福島です。
南相馬市・飯舘村を中心に今後、自分のライフワークの一環(森づくり・炭まき)として復興に関わっていきたいと思います。(←滝に打たれて決意した)もし、取材している内容が書籍化したら、全額各自治体に寄付するつもりでいますんで出版社の皆様ご協力お願いします^^;

さて、飯舘村のスローライフな活動「までいライフ」が一冊になりました。


『までいの力』(株式会社SAGA DESIGN SEEDS、税込2500円)。

http://www.saga-d.co.jp/publishing.html


帯には5月5日付け天声人語にかかれた文章が掲載されています。
「ここには2011年3月11日午後2時46分以前の美しい飯舘村の姿があります。
中表紙に急きょ刷られた一文に怒りと悲しみがこもる。
地に足をつけてきた人々が地を追われると無念を思う。
とことん考えることでせめて悲痛に寄り添いたい。
原発の受益者は都会人なのほ忘れることなく」

長い時間をかけて取材して出版目前のところ、福島第一原発事故が襲いました。
「本を出すどころではない」と一時は出版の断念を考えたそうですが、困難を余儀なくされる住民の励みになればと決意。菅野村長は急きょ、巻頭に「までいの心が、必ずや新しい日本を再生する基礎になる」とメッセージを寄せました。

本の収益は全額、村の復興費用に充てられますのでぜひご一読を。


名著に出会う『すべてを明日の糧として』

2011-10-05 19:57:53 | 名著に出会う
今週は締め切りが多くて@@缶詰になっていますが、そんなときに限って、パソコンを開いてネットでどうでもいいことを検索したり脱線しまくっています^^;

忙しいときこそ、本を読む。ということで、今回は宇梶静江さんの新刊『すべて明日の糧として』(清流出版刊、1700円税別)です。
 宇梶さんが足尾の森づくりにいらっしゃって、直接購入させていただきました。



生い立ちから人生を語り口調のままで振り返っています。

帯にはこんな言葉がつづられています。
「あなたがあなたの役割を持って生まれてきたように、
私には私の役割があって、アイヌに生まれた。
それは、古布絵を通してアイヌの文化を多くの人に知ってもらうこと。
そして、いじめや差別で傷ついた心に
『大丈夫。あなたはあなたのままでいい。生きている、
そのことだけで人生は素晴らしい』と伝えること。」

強いメッセージがこめられていますが
それほど押し付けがましく感じないのは、
宇梶さんの語り口調が、そのまま字になっているからでしょうね。

パワーをもらって、締め切り@@を乗り切りたいと思います。







名著に出会う『土に書いた言葉』

2011-09-19 00:09:19 | 名著に出会う
おかげさまでじっくり本を読む時間ができたため、いい作品に出会う喜びに浸っています。
2009年3月に初版が出てから、2010年1月には3刷、おそらく私のように震災後に、この本の奥深さを知り、「読みたい」と思った人はもっと多いでしょうから、さらに重版になっていると思います。

『土に書いた言葉 吉野せいアンソロジー』(未知谷/山下多恵子編・解説)


『洟をたらした神』1984年刊(文春文庫/吉野せい)※たぶん絶版


吉野せいさんとはこんな人です。

1899年福島県生まれ。少女時代は小説家になるのが夢だったが、詩人の三野混沌と結婚後、菊竹山での開墾生活に入った。夫の死後、草野心平らの励ましを受けて執筆活動を開始。その後、串田孫一編集の雑誌『アルプ』などに発表した作品を集めた短篇集『洟をたらした神』(1975年)で大宅壮一ノンフィクション大賞、田村俊子賞を受賞。1977年、78歳で死去。

※  ※  ※
福島県のいわき市に生まれた吉野せいさんは、阿武隈山ろくの厳しい自然の中で、詩人の夫とともに開拓農民として戦前から戦後の貧困とたたかい、たくましく生き抜いてきました。自らを「農婦」と呼び、夫が死んだ71歳から彼女の書きたい気持ちを見抜いた草野心平氏の勧めで筆を取りました。堰を切ったように作品は生み出され、短編集『洟をたらした神』で第6回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した時は、76歳。わずか8年足らずの執筆期間で、秀逸な作品を残されました。「もう一度、吉野せいの作品と出会いたい」との声が寄せられたことが出版につながったそうです。開墾生活の理想と現実、家族とは何か、生きるとは何か、いくつもの問いと答えがこめられています。
 私は『洟をたらした神』も中古本をネットで購入しました。何度も読み返しても味わい深い文体が飽きさせません。
 この本を読んで、福島に取材に行くと、また感じ方が違ってくると思います。


丸の内オアゾ丸善本店「21世紀図書館」

2011-01-26 15:55:44 | 名著に出会う
昨日、丸の内オアゾの「丸善」で、本の立ち読みをしていたところ、3階の上下エスカレーターのあたりでブックフェア「21世紀図書館」が実施されています。




「社会・時事」コーナーで本を物色していたら、な・なんと、『おひとりさま介護』が棚に並んでありました



介護をテーマに多くの本が刊行されていますが、介護本はこの本だけでした。

書店のご担当者様、ありがとうございました。

ブックフェアは2月6日まで開催されています。
お近くにお越しの際には、ぜひお立ち寄りください〜!!

『日本の「水」がなくなる日』

2011-01-07 13:08:43 | 名著に出会う
日本の森が危機にひんしているという話は、昨年あたりからメディアでも報じられるようになりました。「外資に森林が狙われている」だけでなく、保水力を失い大雨がひとたび降れば大災害が起きる状態です。森びとでは、炭をまいて肥沃な土地にすることで衰弱していた木を蘇らせる。さらには森の「保水力」を高めるための活動・研究を進めています。

昨年2月下旬に群馬県桐生市「林照寺」での炭まきの話が掲載されている本を見つけました。

『日本の「水」がなくなる日』(主婦の友社)橋本淳司著

帯からーー良質な水は森から生まれてくる。国土の7割が森の日本は、水大国と呼ばれてきた。しかしそれはもはや過去のことなのかもしれない。日本の水源を巡って繰り広げられる外国・日本企業の争奪戦、森の無秩序な売買と乱用、そして荒廃。“日本の水がなくなる日”は確実に近づいている。

※  ※  ※  ※

以前、取材でお世話になったことがあるジャーナリストさんの最新刊です。土砂災害の現場ルポから外資に買われる現場、森と水を守る法律、迷走する林業行政、そして森と水を守る市民の取り組みが網羅されています。
 一年前の炭蒔きの話は29ページ、第一章「炭まきで土壌を復活させる」の中でくわしく紹介されています。自分が手掛けたことが本に載るということもけっこう嬉しいですね。


宮脇昭著『4千万本の木を植えた男が残す言葉』

2010-07-15 13:26:27 | 名著に出会う
参議院選挙の当日から翌日にかけて、また完徹(完全徹夜)で、
そのまま休むことなく締め切りを迎えています@@;

永田町では与党が大敗したので、いろんな駆け引きがあるようですが
「頼むから衆議院は解散しないで!!」
と、のたまってしまいました。当分、完徹は勘弁です^^;

さて、宮脇昭先生の著書『4千万本の木を植えた男が残す言葉』(河出書房新社)
を拝読しました。

これまで先生のご著書は、森づくりを手掛けられた足跡に沿って、
ノウハウをつづったものが多いと思いましたが、
この本は足跡にそって「メッセージ」が込められています。

第三章「人にも木にも、自分を活かす場所がある」

「森は主木ばかりでは育たない」、など学術的な解説の中に、
「すべての人が成長する潜在能力を持っている」、
「あなたが必要とされている場所と時間が、きっとある」と、
閉塞感の中で不安を抱える人たちへ呼びかける言葉があります。

私も先生のふるさとの森づくりに参加したきっかけは、
取材でしたが、このような森づくりの中に込められた生き方のようなものが
琴線に触れて、10年も一緒に参加できたのだと思いました。

楽しいだけの若い頃と違い、人生いろんな出来事がありますから(笑)
今こうして、充実感を得ながら仕事ができるのも、
先生と森づくりを行ってきたからだと思っているのです。

先日出かけたある街の本屋さんでは「河出書房新社」のコーナーに並べられ、
先生の本の隣にわたくしの本もありました^^;

これからの10年もまた先生のもとでがんばりたいですね。





●好評発売中、新刊『おひとりさま介護』河出書房新社●

http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309019895

●医療介護ブログ「おひとりさま介護の部屋」●

http://ameblo.jp/ohitorisama-kaigo

名著に出会う『原始の神社を求めて』

2010-05-10 14:27:50 | 名著に出会う
ゴールデンウィークは好天にも恵まれて絶好の読書日和でした(爆)
ひとごみの中に出かけるのは苦手なものですから、
借りていたDVD(韓国ドラマ)、買った本を一気に見ます。

帯に書かれている文字が目にとまり
思わず手に取ったのがこの一冊。


岡谷公二著『原始の神社を求めて 日本・琉球・済州島』(平凡社新書)

鎮守の森とは“どんな森”を指すのか。
人工的に作られた建物の周りに植えられたのではなく、
そこに住む人たちの守り神となっている「木」があり、
年に一度の祭事に人が集う意外は、近づいてはいけないという
「森」があるんだそうです。

沖縄にはどの島にも村には必ずひとつの「御嶽」と称する聖地があります。
韓国の済州島にも御嶽に似た「堂」と呼ばれる森が点在し、
著者はその「堂」、「御嶽」を訪ね歩いたのがこの書です。

「神木の前に祭壇を作り、石垣を囲んで置くのが一般的。
しかも祭をするのは、主として女性たちであるという」
と、本文に書かれているように、祭事の在り方までもが似ています。

著者は東大文学部卒。跡見学園女子大学教授を務め、現在は名誉教授。
フランス文学・美術の研究者なのですが、それがどうして
沖縄・済州島に結びついたのか。というところも面白いですね。
「神の森 森の神」(東京書籍、1987年)、柳田国男さんに関する著書も多く
ほかの本も読んでみたいですね。

最近、本の最後、「参考文献」からまた書物にたどってみることもあり、
この本の参考文献も「読みたい本」がいっぱい!

…済州島に行きたくなってきました(これが言いたい)


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「シングル介護のホントのところ」(中央法規出版「けあサポ」)
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名著に出会う『わが祖国』

2010-04-03 02:39:55 | 名著に出会う
最近は重厚なノンフィクションが読みたいと思い、
さまざまな本をむさぼり読んでいます。
インターネットの普及で「活字離れ」が指摘されますが、
こういう本があったのだと手に取ると、「やっぱり本っていいな」と思うのです。

電子機器の進化で、本はなくなる、と言われていますが、
ページをめくる「ドキドキ感」が本にある限り、
やはり紙媒体は続くと思います。

私は物語の“奥行の深さ”は書物でしか表現できないと思っています。

今をときめく某経済評論家女史は、電子書籍端末を手に取り
「書籍の文化はおしまい」などとメディアでのたまっていますが、
そもそも某経済評論家女史が世の中に出るきっかけとなったのは
「書籍」であることを忘れないでほしい。

出版社の努力で本がヒットし、ブレークのきっかけを生みだしたのです。

中国には「水を飲む時、井戸を掘った人を忘れない」という言葉があります。
一番最初に苦労をした人の恩を忘れるな、という意味です。
本当に某女史の“座右の銘”にしてもらいたいものです。

さて、酔った勢いの小言(爆)はこのへんにしておいて、
また名著に出会いました。
↓『わが祖国−禹博士の運命の種』(1990年12月、新潮社刊)


今年の1月1日に他界したノンフィクション作家・角田房子さん
(享年95)の名作です。
「閔妃暗殺事件」に巻きこまれたため日本へ亡命し、
祖国からの刺客に殺された軍人の息子が禹長春博士です。
日本人を母として生まれ、育種学者の道を歩んだ禹博士は、
52歳にして突然妻子を置いて渡韓、独立直後の父の国で
農業指導にまい進します。

禹博士のお嬢様には、京セラ稲盛会長の奥様がいらっしゃるのですね。
婚約者として博士の前に登場する、若き日の稲盛会長の描写も
とても感慨深いものがありました。

さて、角田房子さんは作家として筆を取ったのは、
毎日新聞記者の夫とパリで過ごしていた時で、すでに40歳を過ぎていたそうです。
自分が生きていた戦争の時代を、自分がいかに知らないか痛感し、
以来、昭和史を題材にしたノンフィクションの発表に尽力を注がれました。
とにかく徹底して調べる。この本も巻末には膨大な参考文献があり、
現地まで出向いてたんねんに調査されたということが
手に取るように伝わってきました。


最近の「ノンフィクション」の傾向としては、成功者の一代記、
ざっとインタビューをしてまとめあげたような作品が多く、
一気に読めてたしかにラクでいいんですが、重厚感が足りない、
と思うのは私だけでしょうか??

いずれにしても、もっと角田さんの作品が読みたいと思ってしまうような一冊です。

残念ですがすでに絶版なので、私はネットの中古販売で取り寄せました。

いい本がこうして手に入るのは、インターネットのおかげでもあるのですが……。


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名著に出会う『奪われる日本の森』

2010-03-23 11:57:18 | 名著に出会う
森びとキャンパスフォーラムでゲスト出演されたご存じ安田喜憲先生
(国際日本文化研究センター教授)と東京財団研究員平野秀樹先生の共著が出ました。



日本の森が外資に買われている状況と、国家資産を守るための法律がないことを
ズバリ指摘されております。
よく森びとのスタッフ会議(酒を飲んでいる席上)で話題に上るのは、跡継ぎがいない山林主が山を手放す、価格が暴落した山林の売買取引が活発化しているということです。
森びとでは「山が枯れる」ことで、日本の森が危ないと警鐘を鳴らしているのですが、
一方で、担い手がいないため、森を手放す所有者が多いということにも注目しています。
炭まきでご一緒させていただいた「熊森協会」の皆さんはトラスト運動で
森を守っています。

売買の背後には、今後の世界的な「水資源争奪戦」を見越しての水源林獲得という狙いがあります。森を守るための法律がない、森について国会の場で問題提起する議員がいないのが、問題でもあります。ニュースを見ても献金疑惑ばかりが取りざたされていますが、
もっと重要なことが目の前に、まったなしで起きているんです
こんな重要な問題を見過ごしていいんでしょうか

環境関連の本は最近「アンチエコ」がブームでしたが、久しぶりに重厚な世界を
体感できました。名著ですので、ぜひお勧めです。


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