旧京津線三条駅にあるZEN庭園

2011-07-17 14:59:01 | その他

 世にバブル景気と呼ばれた平成初期、京津線三条駅跡地(6400平方メートル)に京阪百貨店の建設を中心とした再開発計画が発表され話題になったが、バブルが崩壊して具体化できず、しばらく駅舎が放置されていた。平成15(2000)年になって2010年までの暫定処置として複合商業施設「KYOUEN」がオープンし現在に至っている。今回は施設の中央に存在する「ZEN庭園」について紹介する。
 地下鉄京阪三条駅を下車して地上にでるとバス停が並んでいるが、その東側に細長い2階建ての建屋があり、料理店を選ぶことができる。この建屋の中庭がZEN庭園であり、自由に出入りすることができる。外側の北西部に有名な高山彦九郎座像が存在する。
 この庭園は、現代的感覚で庭園を設計することで有名な菅宏文さんの作品である。鍵となる石造物に、旧三条大橋の架台に用いられた石柱(加工品?)が2本使用されている。
  
      2011-07-12-4371 ZEN庭園の北部にある石柱            2011-07-12-4373 ZEN庭園の南部にある石柱   

 この2本の石柱は、頂部や側面の加工デザインから見て明らかに旧三条大橋の石柱を摸している。菅宏文さんの作品は、写真などでよく拝見するが、中でもZEN庭園はトップクラスの出来栄えと感ずる。旧三条駅にちなんで三条大橋の石柱を据えたと思うが、この2本の石柱が、矩形に広がる石庭をピタリと引き締めている。どの角度からみても、落ち着いた形を保っている。しかし、この庭園に足を踏み入れる人影も少なく、広告宣伝もされていないように思う。私の仲間でも訪ねたことがない人が意外に多い。
 周辺を囲む建物は仮建築のように見えるが、場所は京都の中でも一等地であり、この庭園を生かした周辺の再開発を所有者である京阪電車グループに期待したい。


日本領海の海底に世界的規模で存在する「燃える氷」の話題

2011-07-11 17:59:24 | その他

 本ブログ226号で、「微細藻類で日本を産油国にする」と題した記事を紹介したが、今回は「日本領海内の海底に大量に存在するメタンハイドレート(MHと略称)で、日本を天然ガス(メタン)資源国にする」という類似した話題である。
 MHが永久凍土の中に存在することは1960年代に確認されており、1970年代には深海の海底に大量に存在していることが予測され、MHの研究は世界各地で進められてきた。
 MHの定義をWikipediaより引用すると、
   メタンを中心に周囲を水分子で囲んだ形になっている固体結晶である。
   低温と高圧の条件下で、水分子は立体の網状構造を作り、内部の隙間にメタン分子が入り込み、氷状の結晶をつくる。(火をつけると燃えるので、“燃える氷”と呼ばれている。
 平成に入ってから、MHの研究はさらに進み、平成12(2000)年には、日本の太平洋岸の南海トラフで存在が確認され、日本近海には日本の天然ガス消費量の100年分に相当するMHが存在することも確認された。
 そして平成13(2001)年に、官民学共同の「資源開発研究コンソーシアム(通称MH21)」が組織された。本日紹介するのはMH21の推進リーダーとなった東京大学大学院の増田昌敬准教授(53歳)で、7月3日のTBS放送「夢の扉+」に登場して大きい話題となった人物である。
   私の記事責任で要点を紹介すると、増田氏は卒業後、新潟沖の天然ガス採掘の現場責任者として活躍していたが、宿直の夜、警報ブザーで天然ガスがパイプの中で氷となって詰まるというMHとの出会いがあり、30歳で大学研究室に戻り、20年を超えるMHの研究に取り組んだ学者である。深海にパイプを打ち込んで採掘するという研究には巨額な研究投資を必要するため、増田准教授は、弟子の研究員・今野義治氏と組んで、「減圧法」という技術でMHを回収するプロセスのシミュレーションを4年あけて実施し、この結果にもとづく大型実験施設を北極圏に建設し、分離回収したメタンガスが煙突から炎をあげて燃えたという成功物語が「夢の扉+」のストーリーである。

   数十年にわたり、夢のプロジェクトといわれてきたMHも、いよいよ実用を目指した開発段階に入った。地震発生の仕組みを解明するために建造された「地球深部探査船・ちきゅう」を用いて海洋実験も予定されており、2021年商業化という目標も夢ではなくなった。
   実用化には難しい課題が残っているが、何とか頑張って成功を期待したい。


山科疏水の散歩道の「ナラ枯れ」対策

2011-07-06 06:04:17 | 琵琶湖疏水

 私は平成15(2003)年ごろから、東山の景観に関する記事の蒐集を始めているが、ちょうどその頃林野庁の出先機関が、東山の常緑樹(シイ)の拡大を防ぎ落葉樹(カエデ,桜など)を増やさないと、美しい景観維持ができなくなると植樹計画を発表している。
 私は毎年4月末から5月初めにかけての「蹴上浄水場」の公開を楽しみにしている。その目的は季節の花「ツツジ」の見学にあるが、もう一つの目的は遠望できる東山連峰の景色である。ちょうど同時期に黄色に開花する「シイ」の木が東山一帯を黄色の斑点で示される。約6年間の観察で、黄色の斑点は確実に増加している。
 「シイ」の増加の主原因は、松枯れ・ナラ枯れなど常緑樹の減少であるが、ここでは、「ナラ枯れ」に焦点をあてて解説する。「ナラ枯れ」の原因は、体長5mmくらいの「カシノナガキクイムシ」(略称カシナガ)が夏に繁殖のため幹に穴を開けて侵入し、カビの一種である糸状の病原菌が持ち込まれ、菌が増殖すると木が水分を吸い上げるのを妨げられ、短期間に枯死する。京都新聞の特集号(2010-09-14)によると、「カシナガ」は枯死木の中に止まって大繁殖し、翌年の攻撃に備える。そのため、被害本数が少ない初期段階で枯死木を徹底的に伐採して薬剤処理をし、「カシナガ」を駆除してしまうことが重要と述べている。
 最近山科疏水の散歩道で、この駆除状況を観察した。
  
   2011-07-04-4354 切断した幹部の殺菌処理                     2011-07-04-4355 接断した地下系部分も殺菌処理

  その他の駆除方式としては、樹木の下部2mくらいをビニールで巻いて、侵入防止を図ったり、「カシナガ」の発生する誘引フエロモンや好む木の香りを注入し、殺菌剤処理した「オトリ木」を用いて大量捕獲を目指したり、木の幹にある侵入穴に爪楊枝を差し込んで封じ込めたり、発生場所の予測手法の開発など駆除努力が継続されている。助成金による支援の強化も必要と考えている。


平成23年7月度ホームページ投稿項目

2011-07-01 09:43:05 | 琵琶湖疏水

 ホームページ http://www.geocities.jp/biwako_sosui/ の7月分として、次の4件を投稿しましたのでご覧ください。

第448話   分類:雑件・その他・35項(G-02-35,2011-05-26)
       
題目:比叡山麓の曼殊院と詩仙堂で新緑を楽しむ
       内容:東山山麓の北部にある両史跡を初めて訪問、歴史背景を楽しむ

第449話  分類:散歩道・山科疏水・49項(B-20-49,2011-06-02)
       
題目:山科地区にあった番組小学校の校外学舎‐3「醒泉小学校」(1)
       内容:山科安祥寺町の疏水べりにあった醒泉校外学舎跡を特定した

第450話  分類:散歩道・蹴上周辺・18項(B-03-18,2011‐06‐18)
       
題目:蹴上かいわいの話題について(2011年初夏)
       内容:疏水工事で水路を変更した河川を中心に歩いた散策記

第451話  分類:全般・歴史的背景・10項(A-01-10,2011‐06‐24)
      
 題目:岩倉使節団の再評価の動き(3)
       内容:岩倉使節団に参加した田辺太一と甥の田辺朔郎について考察