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一擧兩得(いっきょりょうとく) -- 二頭の虎

2009年11月23日 01時42分07秒 | Weblog

[漢字に関する書籍] [漢字源]
一擧兩得(いっきょりょうとく) -- 二頭の虎

 一つのことをして、一度に二つの利益をあげることを「一挙両得」という。

 同じ意味で、「一石二鳥」というのがあるが、これは漢文ではなく、英語の Kill two birds with one stone. (一つの石で二羽の鳥を殺す)の翻訳である。

 昔、弁荘子(ベンソウシ)という強い男が旅館に泊まっていた。虎が現れたというのを聞いたので、「よし、オレにまかせておけ!」とばかりに、退治に出かけようとした。

 その時、そばにいた男が彼を引き止めて、

 「そんなに急ぐことはありませんよ。まあまあ、お待ちなさい。二頭の虎が牛を食べようとしています。いまに、この二頭は牛の肉の奪い合いで喧嘩(けんか)を始めますよ。二頭の虎が大喧嘩をやれば、小さいほうの虎は負けて殺され、大きいほうの虎は勝っても、そうとう傷ついて弱るでしょう。その傷ついて弱っている大虎を刺し殺せば、一ぺんに二頭の虎を退治することになるでしょう、一挙両得ですよ」

 といった。

 弁荘子は「なるほど」と思って、そのとおりにした。彼はやすやすと傷ついて弱った虎を刺し殺し、一ぺんに二頭の虎を退治したという評判が高くなった。(── 春秋後語)。

 じつは、この物語は、王様を説得するための「枕」であった。

 中国の戦国時代(注1)に韓と魏(ギ)の二国が一年以上も戦いを続けていた。秦(シン)の恵王は、どちらかを救おうとして、家臣に相談したが、なかなか意見が一致しなかった。その時、陳軫(チンシン)という賢い家来が、この「一挙両得」の物語をしたので、恵王は、どっちかの一方を救うのをやめて、しばらく傍観、一方が負け、勝った方も弱ったところで、一ぺんに両方の国を亡ぼしてしまった。(── 戦国策・楚策)

 このように、『戦国策』は、「漁父之利」や「假威狐(の威をかる狐)」(次回)など、誰かが誰かの依頼を受けて、他の誰かを説得するというパターンが多い。いわば、「説得」のバイブルとなっている。


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(注1)
戦国時代:  紀元前403~221年、晋が韓・魏・趙に三分されてから、秦に統一されるまでの間の時代。(もどる)
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