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東京発世界行

written by Ken
 



ピアニスト、ビル・エヴァンスが、天才ハーモニカ奏者、トゥーツ・シールマンスと共演した企画盤。(1978年録音)

ビル・エヴァンスの作品はシリアスなものが多く、緊張感が強すぎて、BGM には向かないものが大半なのだが、ときどき "Quintessence" や本作のようにリラックスして聴ける佳作がある。

メンバーは、ビル・エヴァンス(p, el-p)、トゥーツ・シールマンス(harmonica) に新加入のマーク・ジョンソン(b)、前年にトリオから脱退後、一時的に戻ってきたエリオット・ジグムンド(ds)、さらにラリー・シュナイダー(ts, ss, fl) が数曲参加している。
全面的にピアノとハーモニカをフューチャーした構成になっていて、特にエコーの深くかかったハーモニカのサウンドが素晴らしい出来である。(逆に他のメンバーは伴奏レベルに留まっている。)
アルバム後半で、エヴァンスはエレクトリック・ピアノを弾いているのだが、エヴァンスのエレピは音色の美しさはあるものの、フレーズやハーモニーの点であまり特徴を出し切っていないように思う。


Affinity
Bill Evans
Warner Bros.


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1曲目、"I Do It For Your Love" はシンガー・ソングライター、ポール・サイモンのカバー。原曲はコード進行が複雑な割に、メロディの起伏が乏しく、つまらない曲だと思っていたのだが、ここではエヴァンスのアレンジによって、きわめてドラマチックなバラードとして見事に蘇っている。

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1977年8月に録音された後期ビル・エヴァンス・トリオの最高傑作。

正直に言うと、70年代後半のエヴァンスはトリオの新作を発表しておらず、当時の人気は下降線、ジャズ界では過去の人という扱いになりつつあったのだ。
前作、"I Will Say Goodbye" (77年録音、80年発表)にも同じことがいえるのだが、本作が発表されたのは彼の死後、1981年のことである。
エヴァンスは "You Must Believe In Spring" を遺し、そして伝説となった。

"I Will Say Goodbye" から3ヶ月後、同じメンバーによる演奏とあって、同様のコンセプトで作られたアルバムだと思われるのだが、かなり印象が異なる作品になっている。
メロディアスな楽曲が揃っているというのもあるし、短調の曲が多いのもある。
しかし、それ以上に、エヴァンスのピアノの全ての音が、痛いくらいシリアスに響くのである。
また、エディ・ゴメスも素晴らしい。本作における彼の役割はオブリガートを奏することに徹している。ベースが唄っているのだ。


You Must Believe in Spring
Bill Evans
Rhino/Warner Bros.


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『ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング』
タイトルは、ミシェル・ルグラン作曲のミュージカル映画、『ロシュフォールの恋人たち』 の挿入歌から。
春の到来を信じよ! というエヴァンスからの力強いメッセージ・ソングである。

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1977年、ビル・エヴァンスは、Fantasy レーベルから Warner Bros. へ移籍する。
同年5月に録音された "I Will Say Goodbye" は、エヴァンスが Fantasy に残した最後のレコーディングである。
しかし、本作が発売されたのは1980年1月のことだ。ピアノ・トリオは(少なくともアメリカでは)売れない。そういう時代だったのである。

ビル・エヴァンスのレギュラー・トリオにとって、70年代になってから初めてのスタジオ録音作品ということで、非常に力の入った内容である。音質もそれ以前のものに比べ、格段に向上している。
また何よりもエヴァンスのピアノが充実していて、彼の指先は鍵盤の端から端まで縦横無尽に動き回る。
一方、エディ・ゴメスのベースは、どういうわけかイコライザーで低域をカットしており、全くベースらしからぬ変な音を鳴らしている。もっともこれは本作に限った話ではなく、同時期に録音されたチック・コリアやマッコイ・タイナーとの共演盤でも、ゴメスはしょぼい音を出しているのだが。
そんなわけで、トリオのサウンドとしてはかなりアンバランスな出来ではあるが、その分、ピアノが活躍し、不足を補って余りある作品となっているのだ。
特に傑出しているのは、ハービー・ハンコック作曲の (2) "Dolphin Dance"。長調と短調が複雑に交錯する曲だが、こんなに美しく演奏されるとは驚くほかない。


I Will Say Goodbye

Original Jazz Classics


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『アイ・ウィル・セイ・グッバイ』 (1977年録音)
ビル・エヴァンス(p)、エディ・ゴメス(b)、エリオット・ジグムンド(ds)。
アルバム・タイトルは、ミシェル・ルグラン作曲の収録曲から。本作は、同曲の異なるバージョンが2種類収録されており、Fantasy への決別を暗示しているといわれている。
しかし、本作を発表後、80年9月にエヴァンスは急死。
まさか、こんな形で本当の別れが来ようとは誰が予測しえただろうか。

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ケニー・ドリューの廉価盤が発売されたので、買ってみた。

ケニー・ドリュー(1928-1993)は、ニューヨーク生まれの黒人ジャズ・ピアニスト。1950年代に数枚のリーダー・アルバムを発表しているが、当時はB級扱いでしかなかった。57年録音のハード・バップの名盤、ジョン・コルトレーンの 『ブルー・トレイン』 で、初期のケニーの演奏を聴くことができる。
60年代に、彼はヨーロッパへ移住。デンマーク、コペンハーゲンを活動の拠点とし、70年代以降、ニールス・ペデルセン(b)とともに活躍する。80年代には、日本のレコード会社ビクターが「初心者向けのジャズ・ピアノ」と呼ぶべきアルバムを多数、企画・制作し、主に日本で人気を博した。(女性ファンは増えたようだが、ジャズ愛好者には嫌われてしまったようである。)


ダーク・ビューティ
ケニー・ドリュー, ニールス・ペデルセン, アルバート・ヒース
ビデオアーツ・ミュージック


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Kenny Drew Trio "Dark Beauty" (1974年録音)
ケニー・ドリューが「初心者向け」に堕する以前に発表した大傑作。
ノリノリのケニー。がんがん弾きまくるペデルセン。低めにチューニングされたドラムを叩くアルバート・ヒースの3人が、圧倒的な演奏を繰り広げている。
初めて本作を聴いたとき、僕はロック少年だったのだけれど、心底ぶったまげたものである。

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ビル・エヴァンスが、ベテラン・ジャズ・ミュージシャン達を迎えて作り上げた意欲作。

ビル・エヴァンス(p)、ハロルド・ランド(ts)、ケニー・バレル(g)、レイ・ブラウン(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)という5人編成による演奏だが、いわゆるオールスター・セッション的なものではなく、大半の曲において、綿密にアレンジされた楽曲がプレイされている。しかも、当時のエヴァンス・トリオの緊張感と違い、非常にリラックスした雰囲気が漂っているのが特徴といえよう。
(3) "Second time Around" は、ブラウン、ジョーンズとのトリオによる佳曲で、僕は個人的に70年代のトリオ演奏の中で一番好きな演奏だ。なんといっても、レイ・ブラウンのベースがいい。低音が腹に鳴り響くのである。エヴァンスのピアノもお洒落だと思う。どうして、こんな名演奏がわずか3分45秒でフェイドアウトしてしまうのか。全く理解できないのである。
(6) "Nobody Else But Me" は、オリジナル LP に収録されなかったボーナス・トラック。ベースとギターのデュオから始まり、ジャム・セッション風の演奏になっているが、アレンジされた演奏を重視したエヴァンスは、このトラックをボツにしてしまった。この曲があるとないとでは、かなりアルバムの雰囲気が違うと思うのだが。


Quintessence
Bill Evans
Original Jazz Classics


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『クインテセンス』 (1976年録音)
幻想的な風景写真のカヴァーが美しい名盤である。

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