という記事を日本語化しました。原文はこちら。
ちなみに吾輩は、今春からLuna Sandal(Venado)で走り始めました。気持ち良さ優先です。
ただ、Luna Sandalでスピード練習は難しそうなので、それ用のシューズも物色します。Luna SandalはJog〜ロング走用かな、と。
シューズ選択についての一考
by Alex Hutchinson’s (Special to The Globe and Mail )
2010年、ランニングシューズ界は混乱?に陥った
この年勃発した、いわゆる「裸足ランニング/ミニマリスト」ブームに伴い、それ迄ランニングシューズに盛り込まれた殆ど全てのテクノロジー(ロールバー、ヒールリフト、クッション材等)が厳しく再評価されたのだった。そのようなテクノロジーが故障発生率を下げるとする根拠が、一転して実質的には無いとされた。
ただ、ミニマルシューズメーカー側の大胆な主張も、逆にクッション材をふんだんに盛り込んだ”マキシマリスト”シューズについても、その根拠は同じ程度に乏しかった。なので、徹底的/公正な調査が必要という点については、誰もが同意した。
時間はかかったものの、興味深い結果が得られた。結論から言えば、最高のシューズとは?という問いに対する普遍的な解は得られなかったものの、何らかの役に立ちそうな様々な興味深いアイデアが示された。
そのような調査の一つは、Laurent Malisoux(Sports Medicine Reserch Labo at the Luxembourg Institute of Health)らが行ったものである。他の多くの調査は、様々なタイプのシューズを比較するものであったが、Malisouxらのグループは、比較したい項目以外は同条件とした特製のシューズを用いて調査を行った。
最近”American Journal of Sports Medicine”誌で公表された調査結果では、ドロップ量(=ソールの形状で決定される、つま先と踵の高低差)の影響を比較している。一般的な市販のランニングシューズでは、このドロップ量は比較的大きい(10mm以上)一方、ミニマルシューズではほぼ0mmである。この点についてミニマルシューズメーカーは、ドロップ量≒0mmがより自然で故障し難いランニングフォームを生むと主張している。
フランスのスポーツ用品メーカーであるDecathlon社の協力を得て、Malisouxらはドロップ量が0/6/10mmのランニングシューズを作成し、553名の被験者に6ヶ月間履かせた。
結果は、普遍的な法則は得られなかった。1/4の被験者は何らかの故障を報告したが、ドロップ量の違いとの関連は無かった。
データを仔細に見ると、以下の傾向が見られる。
結果①:ランニング頻度が少ない&ドロップ量が小さいシューズを履いたグループでは、故障は殆ど発生しなかった
結果②:そこそこランニングをするランナーの場合、ドロップ量を小さくすると故障発生率が上昇した
この結果②は、ドロップ量を大きく変えるのは危険だという一般的な見方を支持するものであった。
この結果②に関連して、Malisouxらが以前に行った調査では、異なるタイプのシューズを定期的にとっかえひっかえ履き替えるランナーでは、故障発生率が約40%低いことが明らかになっている。この理由としては、足が被る衝撃/負荷が、シューズ(のタイプ)によって僅かに異なることが考えられる。
またMalisouxらは、ランニングシューズの衝撃吸収能に関連するソールの硬さや、いわゆる”モーションコントロール”機能についても報告している。
長年の間、いわゆる”プロネーション”のタイプ(オーバー/ニュートラル/アンダー)に沿ってシューズを選択することが推奨されてきた。例えば、オーバープロネーション(=着地時に足が内側に倒れこむ)のランナーは、プロネーションを制限する目的でインソールに硬いプラスティックを含んだ”モーションコントロール”タイプのシューズを履くのが望ましいとされた。しかし、いわゆるナチュラル・ランニングの考え方を支持する側から、シューズに様々な機能を盛り込むことに対し疑問が呈された。そして、シューズに盛り込まれた機能が故障を減らすという考え方を裏付ける、信頼に足る証拠は無いように思われた。
Malisouxらは、372名の被験者を対象に、モーションコントロール機能の有無による影響を調査した。”British Journal of Sports Medicine”誌で発表された調査結果は明確だった。モーションコントロール機能が有るシューズを履いたランナーでは、故障発生率が45%程度低下した。
この傾向は、オーバープロネーションと判定されたランナーではより明確(=故障発生率が66%低下した)であった。
この結果は、シューズに盛り込まれた機能に関する論争に終止符を打つものであった。しかしそれでもなお、Runner's World誌の総合監修者であるAmby Burfoot氏によると、ランニング界ではこの事実が余り認識されていないと指摘する。
彼は、「いわゆる”裸足ランニングブーム”が終息した後に於いても、多くのランナーは、ランニングシューズに盛り込まれた機能によって故障が予防されるという”奇跡”は期待出来ないと考えている」と語る。
シューズメーカー側も、ランニングシューズに盛り込まれた機能によって故障が予防されるということを喧伝することについては用心深くなっている。Burfoot氏によると、2014年にVibram USA社は、同社の製品であるファイブフィンガーズが故障を減らすという宣伝文句に対して提起された訴訟について、375万ドルを支払うことで和解した。
Malisouxらの調査結果からは、幾つかの示唆が得られる。具体的には、
①クッションタイプのシューズを履くのであれば、ある程度のモーションコントロール機能が付与された物を選ぶ
のが望ましい
②現在履いているシューズで満足しているのであれば、変える必要は無い
③可能であれば、異なる2タイプのシューズを交互に履くのが望ましい
というものである。
最も重要なのは、”シューズの伝道師”Benno Nigg氏(カルガリー大学)のアドバイスである。彼は、足が最も快適と感じるシューズを選ぶべき、と主張している。知覚によるフィードバックは、恐らく最も繊細な評価指標であると考えられている。この点についてMalisouxは、「シューズが足に合っていないと感じるのであれば、そのシューズは絶対に役に立たない」と語っている。
ちなみに吾輩は、今春からLuna Sandal(Venado)で走り始めました。気持ち良さ優先です。
ただ、Luna Sandalでスピード練習は難しそうなので、それ用のシューズも物色します。Luna SandalはJog〜ロング走用かな、と。
シューズ選択についての一考
by Alex Hutchinson’s (Special to The Globe and Mail )
2010年、ランニングシューズ界は混乱?に陥った
この年勃発した、いわゆる「裸足ランニング/ミニマリスト」ブームに伴い、それ迄ランニングシューズに盛り込まれた殆ど全てのテクノロジー(ロールバー、ヒールリフト、クッション材等)が厳しく再評価されたのだった。そのようなテクノロジーが故障発生率を下げるとする根拠が、一転して実質的には無いとされた。
ただ、ミニマルシューズメーカー側の大胆な主張も、逆にクッション材をふんだんに盛り込んだ”マキシマリスト”シューズについても、その根拠は同じ程度に乏しかった。なので、徹底的/公正な調査が必要という点については、誰もが同意した。
時間はかかったものの、興味深い結果が得られた。結論から言えば、最高のシューズとは?という問いに対する普遍的な解は得られなかったものの、何らかの役に立ちそうな様々な興味深いアイデアが示された。
そのような調査の一つは、Laurent Malisoux(Sports Medicine Reserch Labo at the Luxembourg Institute of Health)らが行ったものである。他の多くの調査は、様々なタイプのシューズを比較するものであったが、Malisouxらのグループは、比較したい項目以外は同条件とした特製のシューズを用いて調査を行った。
最近”American Journal of Sports Medicine”誌で公表された調査結果では、ドロップ量(=ソールの形状で決定される、つま先と踵の高低差)の影響を比較している。一般的な市販のランニングシューズでは、このドロップ量は比較的大きい(10mm以上)一方、ミニマルシューズではほぼ0mmである。この点についてミニマルシューズメーカーは、ドロップ量≒0mmがより自然で故障し難いランニングフォームを生むと主張している。
フランスのスポーツ用品メーカーであるDecathlon社の協力を得て、Malisouxらはドロップ量が0/6/10mmのランニングシューズを作成し、553名の被験者に6ヶ月間履かせた。
結果は、普遍的な法則は得られなかった。1/4の被験者は何らかの故障を報告したが、ドロップ量の違いとの関連は無かった。
データを仔細に見ると、以下の傾向が見られる。
結果①:ランニング頻度が少ない&ドロップ量が小さいシューズを履いたグループでは、故障は殆ど発生しなかった
結果②:そこそこランニングをするランナーの場合、ドロップ量を小さくすると故障発生率が上昇した
この結果②は、ドロップ量を大きく変えるのは危険だという一般的な見方を支持するものであった。
この結果②に関連して、Malisouxらが以前に行った調査では、異なるタイプのシューズを定期的にとっかえひっかえ履き替えるランナーでは、故障発生率が約40%低いことが明らかになっている。この理由としては、足が被る衝撃/負荷が、シューズ(のタイプ)によって僅かに異なることが考えられる。
またMalisouxらは、ランニングシューズの衝撃吸収能に関連するソールの硬さや、いわゆる”モーションコントロール”機能についても報告している。
長年の間、いわゆる”プロネーション”のタイプ(オーバー/ニュートラル/アンダー)に沿ってシューズを選択することが推奨されてきた。例えば、オーバープロネーション(=着地時に足が内側に倒れこむ)のランナーは、プロネーションを制限する目的でインソールに硬いプラスティックを含んだ”モーションコントロール”タイプのシューズを履くのが望ましいとされた。しかし、いわゆるナチュラル・ランニングの考え方を支持する側から、シューズに様々な機能を盛り込むことに対し疑問が呈された。そして、シューズに盛り込まれた機能が故障を減らすという考え方を裏付ける、信頼に足る証拠は無いように思われた。
Malisouxらは、372名の被験者を対象に、モーションコントロール機能の有無による影響を調査した。”British Journal of Sports Medicine”誌で発表された調査結果は明確だった。モーションコントロール機能が有るシューズを履いたランナーでは、故障発生率が45%程度低下した。
この傾向は、オーバープロネーションと判定されたランナーではより明確(=故障発生率が66%低下した)であった。
この結果は、シューズに盛り込まれた機能に関する論争に終止符を打つものであった。しかしそれでもなお、Runner's World誌の総合監修者であるAmby Burfoot氏によると、ランニング界ではこの事実が余り認識されていないと指摘する。
彼は、「いわゆる”裸足ランニングブーム”が終息した後に於いても、多くのランナーは、ランニングシューズに盛り込まれた機能によって故障が予防されるという”奇跡”は期待出来ないと考えている」と語る。
シューズメーカー側も、ランニングシューズに盛り込まれた機能によって故障が予防されるということを喧伝することについては用心深くなっている。Burfoot氏によると、2014年にVibram USA社は、同社の製品であるファイブフィンガーズが故障を減らすという宣伝文句に対して提起された訴訟について、375万ドルを支払うことで和解した。
Malisouxらの調査結果からは、幾つかの示唆が得られる。具体的には、
①クッションタイプのシューズを履くのであれば、ある程度のモーションコントロール機能が付与された物を選ぶ
のが望ましい
②現在履いているシューズで満足しているのであれば、変える必要は無い
③可能であれば、異なる2タイプのシューズを交互に履くのが望ましい
というものである。
最も重要なのは、”シューズの伝道師”Benno Nigg氏(カルガリー大学)のアドバイスである。彼は、足が最も快適と感じるシューズを選ぶべき、と主張している。知覚によるフィードバックは、恐らく最も繊細な評価指標であると考えられている。この点についてMalisouxは、「シューズが足に合っていないと感じるのであれば、そのシューズは絶対に役に立たない」と語っている。