週刊朝日:橋下徹市長記事「ハシシタ 奴の本性」~「子どもにどれだけの影響があるか」橋下氏がツイート

2012-10-20 | メディア/ジャーナリズム/インターネット

「子どもにどれだけの影響があるか」橋下氏がツイート
産経ニュース2012.10.20 00:30
記者団の取材に応じる日本維新の会代表の橋下徹大阪市長=19日午後、大阪市役所
 朝日新聞出版が19日、日本維新の会代表の橋下徹大阪市長の出自を題材にした「週刊朝日」の連載を打ち切ると発表、親会社の朝日新聞社も謝罪コメントを出したことについて、橋下氏は同日、「これでノーサイドだが、その前に言わせてもらう。僕の子どもにどれだけの影響があるか、じっくり想像しろ」とツイッターに投稿した。
 記事は、ノンフィクション作家、佐野眞一氏と取材班が今週発売の10月26日号から始めた「ハシシタ 奴の本性」。「橋下徹という人間そのものを解明するため、そのルーツを詳しく調べあげないといけない」などとして橋下氏の父親の出身地を特定して報じた。
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石原知事、出自の記事「卑劣」と批判
産経ニュース2012.10.19 18:27
 東京都の石原慎太郎知事は19日の定例会見で、橋下徹・大阪市長の出自をめぐる週刊朝日の連載記事について、「出自や親族の職業をあげつらい、それがDNAとして受け継がれて危険だというのは、中傷誹謗(ひぼう)の域を出ない卑劣な作業だ」と厳しく批判した。
 石原知事は会見冒頭、「友人だから腹に据えかねて申し上げる」と前置きして批判を展開。「橋下さんにも子供がおり、その子供にまで影響する。文筆を借りて、他人の家族までおとしめるという物書きは許せない」と語った。
 記事を執筆したノンフィクション作家の佐野眞一氏については「や被差別の問題について強い偏見を持っている」と指摘。「私も被害者の一人。父親の本籍地に出かけ、石原一族は、ではないか、と誘導尋問をしていたと報告があり、あきれた」と語った。
 また、佐野氏の作品には作家の深田祐介氏や山根一眞氏らの作品からの盗用があるとして事例を列挙。「卑しい。卑劣だ」と述べた。
 朝日側が朝日新聞と週刊朝日は別会社で編集権も別、と説明している点については、「ただのエクスキューズ(言い訳)だ」と述べた。
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石原都知事(差別発言・黒いシール事件)と、命を絶った(殺された?)新井将敬 2010-04-24 | 社会
 差別のつもりないと都知事 「帰化」発言で釈明
 石原慎太郎東京都知事が、17日の永住外国人への地方選挙権付与に反対する集会で「与党幹部には帰化した子孫が多い」などと発言した問題で、知事は23日の定例会見で「私はその人たちを差別するつもりはない」と釈明した。
 知事は、選挙権付与に前向きな民主党を批判して、自らは反対の立場であることを強調。しかし、発言の根拠について「情報を明かせと言われたら、多すぎていつ誰が言ったか、さっぱり分かりませんな」と語った。
 発言については、社民党の福島瑞穂党首が「人種差別ではないか」と批判している。2010/04/23 17:48【共同通信】
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特集 地軸2010年04月21日(水)付 愛媛新聞
先祖は同じ
 いつもの放言癖では済まされない。石原慎太郎東京都知事が、永住外国人への地方選挙権付与などに反対する集会で放った「与党の幹部に帰化した(人の)子孫が多い」という趣旨の発言だ▲石原知事といえば、かつて「三国人」発言で物議を醸した。ちょうど10年前だ。なぜ、いつも不用意に人を傷つけるのか。日本の首都を預かるトップとしては、人権感覚が欠如しているというしかない▲「帰化」は中華思想的発想の言葉、というのを何かで読んだ記憶がある。つまり帰化は支配下に入ることをも意味する。知事は差別的発言を繰り返してきた。思うに知事の中では、日本や日本人中心の独自の世界観が形成されているのだろう▲が、日本や日本人の成り立ちは単純ではない。古来から現在の中国や朝鮮半島から多くの影響を受けている。人の移動も含めてだ。集団での渡来もあった。政治や産業に深く関与した人も多い。東アジアは長らく一体だったのだ▲それが崩れる契機の一つは、明治維新だろう。日本は「脱亜入欧」をスローガンに文明化をめざした。が、一方で中国や朝鮮半島の人々を蔑視(べっし)し、虐げてきた。この意味でも、知事発言は許されない▲東アジア共同体といわれる。知事の言葉を逆手にとれば、域内の先祖は同じであろう。国や国籍を超えて、手を携える方策を考えることこそが政治家の務めだ。
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【コラム】 筆洗
東京新聞2010年4月20日
 若手の論客として知られた新井将敬という政治家がいた。東大卒、旧大蔵省のキャリア官僚出身のエリートだったが、株取引での利益供与を要求した証券取引法違反容疑が浮上し、衆院が逮捕許諾の議決をする直前に自らの命を絶った▼在日韓国人として生まれ、十六歳の時に日本国籍を取得した新井氏は一九八三年に旧衆院東京2区から初出馬、落選した際に悪質な選挙妨害を受けた。選挙ポスターに「元北朝鮮人」などと書いた黒いシールを大量に張られたのだ▼それを思い出したのは、永住外国人への地方参政権付与に反対する集会で、石原慎太郎東京都知事が「(帰化した人や子孫が)国会はずいぶん多い」などと発言したからだ▼選挙区内の新井氏のポスターにせっせとシールを張って歩いたのは、同じ選挙区の現職だった石原知事の公設第一秘書らだった。「それ(帰化)で決して差別はしませんよ」と集会で知事は語ったが、彼の取り巻きが過去にしでかしたことを思い起こせば、そんな発言を誰が信じよう▼与党幹部には帰化した子孫が多いという発言の根拠はインターネットだという。そりゃあ、石原さん、いくらなんでもちょっと無責任すぎるよと言いたくなる▼あからさまな差別的発言を大きく報道したメディアは本紙だけだった。「またいつもの放言だ」と取材側がまひしているならかなり深刻だ。
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『差別と日本人』(野中広務・辛淑玉)角川oneテーマ21
p127~
●新井将敬の死は何をいみするのか?
 1998(平成10)年2月に、新井将敬が亡くなりました。私は彼と仕事先で何回か顔を合わせています。あの時の、新井将敬を取り巻く自民党の中の状況はどうだったのかを教えてほしいんです。
野中 僕は新井将敬に関わったほうなんですが、いまだに彼は自殺じゃないと思ってるんだ。
 それは、彼は死ぬような人ではなかったと?
野中 うん、客観的な状況の中で。ただ、彼は間違っていた。また自分がやってきたことは間違ってないんだ、という思いが強すぎた。僕は彼に直接話したんだから。彼は「議会運営委員会に出て、自分がどんなに正しかったかということを発言します」と言うから、僕はいさめた。
 「やめとけ。おまえの周囲の壕は全部埋められているんだ。もう議会運営委員会で何を証言しようが、おまえが逮捕されることは目に見えてる。だから、いまさらこうだああだと言い訳するな。そんなことよりも、自分がこれからどうして生きるかということを考えろ。もうおまえの政治家としての生命は既に絶たれようとしている。おまえはお母さんとお父さんが苦労して大阪から出してくれて、能力があったから東大を出て大蔵省に入れた。このキャリアに恥ずかしくない生き方とはどういうものかを考えてみろ」
 それが亡くなる2日前かな。
 彼は何て言いましたか。
野中 「いや、私は正しいんだ。私は正しいことを正しく国会の議運で証言するんだ。そうしたら私の潔白はわかってもらえる」と。「そんな甘っちょろいところじゃないんだ。おまえは純粋過ぎる。いまさら、そんな恥ずかしいことするな」と僕は言ったんだけどね。
 で、その2日後かな、僕が本会議場で座っておったら、亀井静香が「おい、えらいこっちゃ」って言いに来た。「何だ?」と尋ねたら、「新井将敬が行方不明だ」と。亀井がホテルに飛んでいったら、部屋で新井が死んだ状態だった。しかしまだ高輪の警察も知らなかったと。昨夜から一緒にいたという第一発見者の奥さんがおらなかった。亀井が僕に言うには、「発見から警察がくるまでに2時間ぐらい間がある。その間に何があったのか、その謎が全然僕には掴めない。この事件はおかしい」と。
 殺されたと?
野中 うん。だから新井は口封じをされたんだと。
 新井さんが国会で、「自分は朝鮮人だから、在日だから差別されてる」ってことをおっしゃっていたので、私は祖の次の日、ちょうど彼がホテルに入っている時だと思いますが、ラジオでインタビューを受けたんですよ。「新井さんがそういうふうに言ってるけど、辛さん、どう思いますか」って。
 私、新井さんの発言に正直申しあげてむかついたんです。だから私、かなり激しい口調で、「洋服を着たサルだ」って言ったんですね。彼は、政治家になっても、在日の問題は何一つやってこなかった。朝鮮人BC級戦犯のことも、在日の今のことも、戦後補償問題のことも・・・。なのに、自分が叩かれた時になって初めて在日ってことを持ち出すのはとんでもないって言ったんです。彼が経済人だったら許すけれども、政治家っていうのは弱者救済の役目を担っているわけですからね。
 そのラジオをとても多くの在日の先輩たちが聴いていて、「新井将敬を殺したのはお前だ」っていう言い方をされたんです。だけど、私は新井将敬を精神的に殺したのは石原慎太郎だと思っているんですね。最初の選挙の時に・・・。
野中 ああ、ビラを貼ってということか?
 そうそう、新井将敬のポスター三千枚に、真っ黒いシールで「北朝鮮から帰化」と書かれたものを貼った。同じ選挙区だったので驚異に感じたのでしょう。すさまじいまでの差別事件でした。確か、彼の秘書が捕まったけど、その後も石原さんは、日本人の血ではないものが国政に関わっていいのか、と執拗に言い続けていた。そんなこともあって、おそらく、新井将敬は「日本人に愛される政治家」になりたかったんだと思うんですね。よく、右翼の友だちが言うんですよ。「自民党の政治家は俺たちを裏で使っても表には出さないけど、新井将敬はいつも俺たちを表に出す」「いつでも右翼の俺たちを後援会の最初に紹介する」って。だから彼は、日本人に愛される日本人になろうと頑張ったんだろうなと、私は思ったんです。でもその彼が最後に在日だからって言った時に、私はどうしても美化できなかった。弱いものを裏切った男を、許せなかったのですよね。
 それと、野中さんと新井さんが会った前後だと思いますが、新井さんが在日の先輩のところに会いに行った話を聞いたんですよ。私が、「その時新井将敬はどうだったんですか」って聞いたら、先輩は新井議員に、「あんたはここ(在日の社会)を捨てて出てった人だろ。だから、今ここを凌げばまた次があるから、その世界で頑張れ」って。その後彼が自殺したっていう話があって、私はそれはどういうふうに自分の中で整理しようかと思ったんです。私は、はっきり言えば特権的なマイノリティなんですよね。こうやって人としゃべることもできるし、字も学ぶことができたし、それから発言するチャンスもある。そうしたらどこかで踏ん張らなきゃいけないってことが自分の中にもあるわけですね。そういう姿勢は野中さんの中にも見るんですね。
野中 いやあ、そんなもんじゃないけど。
 だから私にとって新井将敬っていう存在は、在日として超えなきゃいけない壁だと思っているんですが、彼は自民党の中では仲間がいなかったんでしょうか。
野中 そんなこともないと思いますけどね。僕らとも気安く話したし、僕は飲まんほうですから飲み食いしたりなんかするのはなかったけども、亀井静香らとも仲良かったし、ただ、彼はやっぱり「俺は東大を出て花の大蔵省に入ったんだ」という、そういうプライドが強くありすぎたんじゃないのかなあと。それが彼の甘えになってしまったんじゃないかなあと、そんな気がします。
 彼には、仮に捕まったとしても、法廷闘争をやって堂々と出てくる---そういう勇気をもってほしかった。選挙の時自分の名前を書いてもらって、成長する機会を与えてくれた人々に対して責任を持つべきだったなあと思いますけどね。
 私は、彼が朝鮮人であるということを一貫して否定し続けてきたところに人間の弱さがあるような気がしてならないんですね。
野中 そうかなあ。否定したかどうかは、僕は知らんね。
 最初は自分の存在を国際化の象徴というようなかたちで、表現していたんですけども、叩かれてからは確かにかわりましたね。私は、バランスを取るために東大とか大蔵官僚っていうものが彼にとっては必要だったんじゃないかなっていう気がします。
野中 ああ、そりゃあそうかもしれません。ああいう道を進んだのは彼の間違いだったと思うんだ。理論派で、堂々として論陣を張っておった。論客でしたよ。彼の中にも、日本社会の中で俺は人を見返してやるんだというものがあったと思うんですよ。
 私はあの時のお父さんとお母さんの激しい憤りの表情とか、すごく覚えていて。
野中 ああ、なんかね、僕も見ておれなかったですよ。(~p133)

p113~
●オウム真理教事件と破防法
 両親が犯罪を犯したからと、子どもも犯罪者のように扱われ、小学校にも行けないというのは異常でした。住むことも、食べることも、働くことも、公衆浴場に行くことも、電気ガス水道の使用も拒否されるなんていうのは、すさまじい大衆の暴力です。
 朝鮮人が叩かれてる時もそうだけど、政治家は、それはいけないことだと言ってほしい。アメリカのあのブッシュでさえ、「9、11」の後、アメリカにいるイスラム教徒は別なんだっていう話をしたにもかかわらず、日本の場合は、たとえば北朝鮮関連で何らかの問題が起きたのをきっかけに在日がボコボコやられていても、決してそれに対してコメントを出さない。それと同じように、松本智津夫氏の子どもは犯罪者の子どもだということでボコボコにやられていても誰も助けない。つまり、叩いてもいい相手を決めて、集団でストレスの発散をする。
野中 困った民族だ。
p114~
 オウム真理教関係者によるさまざまな犯罪が明るみに出ると同時に、インターネットでは、教祖である麻原彰晃は「民だ」「朝鮮人だ」という言説がまことしやかに流れた。これは、何もオウム関連の事件に限ったことではない。凶悪犯罪が起きる度に、都市伝説のように流される。これは、マスコミが「犯人は外国人風」と報道するのと同じである。外国人とは一体何をさすのか。国籍なのか、肌の色なのか、言語なのか。私は“外国人風”に見えるだろうか。つまり、「日本人」以外の者がやったと言いたいのだ。日本人はいつも善良で、被害者だと思いたいのだ。そして、彼らが言う「日本人」には、民も、日本国籍を取得した人も、アイヌも、ウチナンチュも、ハンディのある人も、セクシャル・マイノリティも入っていない。
 どこまでも徹底して自分たちと他者とを分け、そして、あらゆる問題について、自分たちの社会の問題だということから逃げようとする。そのいけにえとしての民であり、朝鮮人なのだ。

外国人への参政権付与. 日韓併合. 石原都知事の発言「人種差別」
『差別と日本人』善良で被害者の自分たちと他者とを峻別。その生贄としての民・朝鮮人


2 コメント

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Unknown (rice_shower)
2012-10-20 11:50:57
甘粕正彦、里見甫、正力松太郎、中内功、東電OL、孫正義.....、佐野眞一の評伝は結構読んでいます。
ノンフィクション好きとしての同氏への評価は、山崎豊子とノンフィクションの間に立つ作家って感じでしょうか。 読み手のリテラシーが求められる。
対象のダークサイドに踏み込むことに躊躇が無い(“迷惑”を顧みない)。 思い入れ、思い込みが過剰。 これが成功すると、『巨魁伝』(正力伝)、『カリスマ』(中内伝)、『アンポン』(孫正義伝)などの傑作を産む。 “悪意”をも感じるネガティブ情報に満ちているのに、読後、そこに描かれた人物が“大好き”になる。 ところが外すと、著者の偏見(思い入れ、思い込み)への不快感が残る。
今回は後者であったようです。(要約しか読んでいませんが)
同和問題は、かつてのタブー感が薄れた今であるからこそ、その深層を語るには、余程の知識、洞察が求められるのですが、佐野氏は橋下さんのハレーションに中てられて、DNAに逃げ込む軽率、迷妄の愚を犯した。 
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Unknown (ゆうこ)
2012-10-21 23:25:25
rice_showerさん
 コメント、ありがとう。今回の騒動は、差別という人権に関わる沈痛な問題だと判断してエントリしましたが、朝日側が非を認めた後も橋下氏の攻撃は緩まないようで、これでは差別という問題の私物化のようにさえ見えてきます。
 エントリのなかで、石原慎太郎氏・野中広務氏・新井将敬氏の周辺についても考えてみました。石原氏は「私も被害者の一人。父親の本籍地に出かけ、石原一族は、ではないか、と誘導尋問をしていたと報告があり、あきれた」と語っていますが、新井将敬氏(ブラックシール)のことなど考え合わせますと、人間存在の複雑さが浮かび上がってきます。
>同和問題は、かつてのタブー感が薄れた
 決して薄れたとは、思えません。
 橋下氏は大きな声をあげられる所にいて発言しておられますが、片隅にあって、小さな声すらも発することが叶わない多くの無告の民がいるのです。差別をただ受忍させられて生きた、そういう人たちが気になります。そういう人たちの小さな声に聴きたいと思って、私は生きてきたように思います。
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