民主党代表選 どうする外交 日本はずっと外交不在の状態が続いてきた

2011-08-26 | 政治

民主党代表選 どうする外交 瀬戸際の自覚が乏しい
社説 毎日新聞 2011年8月26日
 東日本大震災以降の日本はずっと外交不在の状態が続いてきた。復興対応で手いっぱいの政権、首相退陣を巡り政争を繰り返す与野党--。そうした閉塞(へいそく)感に終止符を打ち、外交を正常な軌道に戻すことは、次期首相の重要な課題である。
 にもかかわらず、民主党代表選に出馬意欲を示す政治家の口から、外交や安全保障に関する発言がほとんど聞かれないのはどうしたことか。数合わせや小沢一郎元代表との距離感だけに焦点があたる、内向きの代表選であってはならない。
 周辺では、関係主要国が活発で巧妙な外交を展開している。
 例えば米中だ。バイデン米副大統領が中国や日本を歴訪して帰国したが、中国には6日間滞在し、次のリーダーである習近平国家副主席との親密な関係づくりに精力を注いだ。退陣直前の菅直人首相と儀礼的に会談し、正味2日間の滞在だった日本とは対照的だ。その中国は24日、尖閣諸島周辺で漁業監視船が日本領海に侵入するなど、民主党の対中姿勢を改めて試すかのような行動をみせている。一方では、極東地域の政治的経済的影響力を競う中露の確執もここにきて目立ってきた。
 来年は中国の共産党指導部交代をはじめロシア、米国、韓国で大統領選が行われる節目の年だ。各国が2012年を念頭に置く外交戦略を練る中で、政治の停滞が続く日本は、地域の新たな秩序構築や国益競争で大きく後れをとっている。
 次期首相の外交課題はいずれも待ったなしのものばかりだ。
 仕切り直しとなった日米安保共同宣言の後始末や、宙に浮く米軍普天間飛行場移設問題の打開。年内の宿題である新首相の訪中と、李明博(イミョンバク)韓国大統領の訪日。秋の東アジアサミット(EAS)やアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で顔を合わせる各国首脳たちの前で、いかに発言力と存在感を示すかも厳しく問われよう。それらを考え抜いたうえで、首相になる決意を固めているのかどうか。候補者は自らの覚悟を語るべきである。
 継続性を軽視し、地に足のつかない理念先行の外交で失敗したのが、民主党政権の2年間だった。官邸の戦略機能強化は実現せず、外交当局の情報とネットワークも活用できなかった。政権をとるため党内対立を封印し、「日米同盟と東アジア共同体」「第3の開国」「対中戦略」といった根幹の政策でコンセンサスづくりを怠ったことが、外交迷走の原因だ。
 その反省を踏まえ、日本が瀬戸際にあるとの自覚を持って、真剣な外交論戦を聞かせてほしい。
毎日新聞 2011年8月26日 2時31分
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