検察の力の源泉は任意捜査にある ライブドア事件堀江貴文氏 村上ファンド事件 ロッキード事件

2010-01-26 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア

マル激トーク・オン・ディマンド 第458回(2010年01月23日)
検察の捜査について、これだけは言っておきたい
ゲスト:堀江貴文氏(株式会社ライブドア元代表取締役CEO)

 「検察の暴走だ」、「小沢も説明責任を果たしていない」などとやりあっている間に、民主党小沢幹事長の土地購入をめぐる資金疑惑が、ついに検察による政権与党幹事長の事情聴取にまで至った。ご多分に漏れずマスメディアでは当初から検察寄りの報道が目につくが、今週に入りどこからともなく「検察は本気らしい」との観測が流れ始めると、物言えば唇寂しの空気が日本全体を覆い始めている感すらする。
 ところがそうした中にあって意気軒昂、舌鋒鋭く検察批判を繰り返す男がいる。自身も検察との徹底抗戦を掲げ、法廷闘争を続けているホリエモンこと元ライブドアCEOの堀江貴文氏だ。
 堀江氏は自分自身が検察の手によって不当に犯罪者に仕立て上げられたとの立場から、検察とメディアがタッグを組んで事件を作り上げていく(堀江氏)手法の怖さと危うさを繰り返し訴える。
 また、現在問題にされている捜査の可視化や弁護士の立ち会いなどは必要だが、それだけでは不十分だと堀江氏は指摘し、自身の経験では、検察の力の源泉は任意捜査にあると言う。堀江氏によると、ライブドア事件を立件するために、検察は周囲に広く捜査の手を広げ、堀江氏に不利な供述をした人は罪に問わなかったり、罪を軽減するなど、事実上の司法取引が行われている。それが検察の最大の武器だと堀江氏は言う。事件に巻き込まれる恐怖から、本人が言ってもいないことを聞いたとか、やってもいないことを見たと証言する人が出てくるからだ。
 それにしても、なぜ小沢氏や堀江氏は検察のターゲットとなったのか。堀江氏はその答えとして、自分と小沢氏の間のある共通点をあげる。それは、両者とも自分たちを「嫌いな人間が一定数存在する」こと。小沢氏も堀江氏も既存の秩序の破壊者であり、一定の数の人々の強烈な反発を買うタイプであることは確かかも知れない。検察としては善人面した人よりもそういうタイプを立件した方が、はるかに一罰百戒効果があるというのだ。
 今回の事件で検察が執拗に小沢氏を狙う理由について堀江氏は、はっきりと「民主党が進めようとしている司法制度改革を何としても阻止したいから」と言い切る。それは堀江氏の経験では、民主党の司法制度改革が実現してしまうと、自身に対して行われたような捜査や立件は難しくなるからだ。
 94日間に及ぶ勾留や激しいバッシングを経て至った今日の心情も含め、堀江氏と「小沢対検察」に見る検察問題を議論した。
マル激トーク・オン・ディマンド 第458回(2010年01月23日)
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検察を支配する「悪魔」 田原総一朗+田中森一(元特捜検事・弁護士)
村上ファンドには政界のアングラマネーが---田中
 ライブドア事件や村上世彰(よしあき)事件に関しては、僕は田原さんとちょっと違う見方なのです。
 確かにホリエモンの粉飾決算は、たいした罪じゃない。少なくともあれほど大袈裟に逮捕するほどの罪を犯しているとは思えない。
 そこから、マスコミは「カネ儲けするためなら、なんでもやっていいという風潮を正すために、ホリエモンを生贄にした」なんていう論調でしたが、検察がそんな迂遠な動機で、立件するとは考えられません。
 ニッポン放送の乗っ取り、ひいてはフジテレビへの影響力を行使しようとした。あれが検察にやる気を出させたのです。放送局は体制の一翼を担っている。ホリエモンのようなうろんな輩に天下の放送局を渡すわけにはいかないと、検察の上層部は判断したのでしょう。
 結局、表には出てこなかったけれど、ホリエモンや村上が裏社会とのつながりがあったことも否定できない。ホリエモンの側近であった野口英昭が沖縄で怪死したこともあって、一時、裏社会との関係が取りざたされた。野口の死は自殺だと思いますが、だからといって、ライブドアが裏社会とは関係なかったというわけではありません。
 ライブドアの幹部たちが、ある組織の現役幹部と接点を持っていたことを僕は知っている。怪情報が流れるだけの根拠はちゃんとあった。
 ホリエモンや村上のやり方を見ていると、バブル時代の仕手筋の手口とひとつも変わらない。とくに村上は。「兜町最強の仕手集団」と言われた誠備グループの加藤(あきら)や、「兜町の帝王」と呼ばれた小谷光浩の手法と、何から何まで一緒です。
 仕手戦をしかける場合、カリスマ相場師を中心とするグループが形成される。そのメンバーには世に知られる経済人や政治家も混じっている。各人が資金を出し合って、株価を吊り上げていくわけです。
 彼らが狙うのは、市場であまり知られていない、株価の安いボロ株。安定株主がいて、浮動株が少ない銘柄です。市場で出回っている株が少なければ、市場で取引されている株数が読めるし、オーナー企業なら会社を死守しようと、株を買い戻しにくる。オーナー企業のボロ株なら、どう転んでも儲かります。
 これがバブル期の仕手筋の典型的なやり方です。村上も同じですよ。
 しかし村上が動かしていたカネは、バブル時代の仕手筋よりはるかに巨大です。バブル時代の仕手グループの資金総額は、せいぜい300億~500億円と言われている。村上ファンドが動かしたのは、その約10倍にあたる4000億円を超える巨額とされている。
 まとまったカネを用立てられるのは、アングラマネーしかありません。政治家や裏社会のアングラマネーが、村上ファンドに流れこんでいたのは間違いない。
 氷山の一角として日銀の福井俊彦総裁の小遣い稼ぎが露呈したけれど、あんなものじゃない。アングラマネーを使って、比べものにならないくらい大もうけしている連中がいるわけです。でも、検察はそこまでは斬り込んでいない。
 引っ張って濡れ衣を着せるのも悪いけれど、肝心なやつは見逃す。検察の国策捜査の一番の問題点はやっぱりここにあると思います。
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検察を支配する「悪魔」 田原総一朗+田中森一(元特捜検事・弁護士)
 ロッキードほど簡単な事件はなかった---田中
 ロッキード事件に関わったわけではないので、詳しいことはわかりませんが、検察内部で先輩たちから聞くところによると、時の権力が全面的にバックアップしてくれたので、非常にやりやすかったそうです。
 主任検事だった吉永祐介あたりに言わせると、「あんな簡単でやりやすい事件はなかった」---。
 普通、大物政治家に絡む事件では、邪魔が入るものですが、それがないどころか、予算はふんだんにくれるわ、いろいろと便宜を図ってくれるわけです。三木武夫総理を筆頭に、政府が全面的に協力して、お膳立てしてくれた。
 ロッキード事件では超法規的な措置がいくつもある。
 アメリカに行って、贈賄側とされるロッキード社のコーチャン、クラッターから調書を取れた。相手はアメリカ人だから、法的な障害がたくさんある。裁判所だけでなく、外務省をはじめとする霞が関の官庁の協力が不可欠です。とりわけ、裁判所の助力がなくてはならない。
 政府が裁判所や霞ヶ関を動かし、最高裁が向うの調書を証拠価値、証拠能力があるとする主張を法律的に認めてくれたばかりが、コーチャン、クラッターが何を喋っても、日本としては罪に問わないという超法規的な措置まで講じてくれた。
 贈賄側はすべてカット。こんな例外措置は現在の法体制では考えられません。弁護人の立場から言えば、非常に疑問の多い裁判でもあった。「贈」が言っていることを検証しないで、前提とするわけだから。贈賄側が死んでいれば反対尋問はできないけれど、本来は、原則として仮に時効にかかろうが、贈賄側を一度、法廷に呼び出して供述が本当なのか検証するチャンスがある。
 ところが、ロッキードではなし。それで真実が出るのかどうか、疑わしい限りです。しかも、贈賄側は一切処罰されないと保証されて、喋っている。その証言が果たして正しいか。大いに疑問がある。
 それぐらい問題のある特別措置を当時の三木政権がやってくれるわけです。つまり、逮捕されたときの田中角栄は、既に権力の中枢にいなかったということなのでしょう。
検察を支配する「悪魔」
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>検察の力の源泉は任意捜査にある・・・堀江氏に不利な供述をした人は罪に問わなかったり、罪を軽減するなど、事実上の司法取引が行われている。それが検察の最大の武器だ堀江貴文氏
>時の権力が全面的にバックアップしてくれたので、非常にやりやすかったそうです。田中森一氏
>コーチャン、クラッターが何を喋っても、日本としては罪に問わないという超法規的な措置まで講じてくれた。田中森一氏


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