「歴史戦争への我が一撃 我が国の明るい歴史を取り戻す」~閉ざされた言語空間のなかにあって 西村眞悟

2013-07-08 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

『正論』8月号(2013年)

    

p90~
 歴史戦争への我が一撃 いかにして我が国の明るい歴史を取り戻すのか。その方策を示そう 
 衆議院議員 (にしむらしんご) 西村眞悟

攻撃されているのは日本精神と文明だ
 我が国民を、生きながら汚名をかぶせて子々孫々まで腐らせようとする謀略が功を奏しつつある。いわゆる慰安婦問題とは何か。これは我が国に対するこの国際的謀略である。しかし、我が国は、未だに、この問題の本質に相応しい有効な対応ができないまま、国際社会の中で呆然と佇立してきたのではないか。その果てに気がつけば、東アジアにおける文明の衝突と国家間の相克のなかで、この慰安婦問題が我が国に対する最も有力な武器として機能している。そして現在、「日本に対し米中韓の三カ国が手を組んで非を鳴らす構図」が姿を現している(田久保忠衛、平成25年5月24日付産経新聞「正論」)
 これに対して、我が国は未だ戦後体制による自虐史観の「閉ざされた言語空間」のなかにあって、この国外の構図に呼応するかの如く国内の反日勢力が揚げ足をとるなかで、河野洋平官房長官談話や村山富市総理大臣談話に縛られて自由闊達で有効な対処ができない。従って、我が国を攻撃する側は、たやすく成果を獲得してきた。その彼らの目的は、日本は20万人の妙齢の女性を慰安婦=性奴隷として朝鮮半島から強制連行したという捏造・ウソが、真実の如く日本民族の歴史を塗りつぶして、拭っても祓えない汚れとして定着することである。
p91~
 国民の歴史から国民の精神が生まれる。歴史は精神である。それ故、今進行しつつある事態は、我が民族と国家に、劣等民族と劣等国家であるという汚名を刷り込んで、我々の子孫の精神をゆがめる。精神をゆがめられた我らの子孫は、自分達にもその汚れた日本人の血が流れていると嫌悪する。そうなれば、もはや我が国は存続できない。地球から永遠に我らの日本という国と精神そして文明は消え去る。
 こう思えば、我々が今受けている攻撃は、まさに最も痛烈な「国難」である。我らの精神に対する攻撃としての国難である。かつて歴史上、これほど卑劣な攻撃を受けた国があろうか。従って、慰安婦問題は、かつて支那の文明圏がもっていた「腐刑」のようにおぞましい。生きながら腐らすからである。これはもはや、国防上の問題であり、さらに国家存立の問題である。
 かつて我が国が在米資産全面凍結に続いて石油を全面禁輸され(昭和16年8月)、「こと既に此所に至る」と、米英諸国を相手に大東亜戦争に突入するに際し、海軍軍令部の永野修身総長がつぶやいた言葉である。その言葉こそ、その時に生まれ合わせた世代の宿命として戦場に赴いた我々の父そして祖父の思いを代弁するものであり、この世代の共感によって今に伝わっている。永野修身軍令部総長は開戦の前、次のように言った。
 「戦わざれば亡国と政府は判断されたが、戦うもまた亡国につながるやもしれぬ。しかし、戦わずして国滅びた場合は、魂まで失った亡国である。しかして、最後の一兵まで戦うことによってのみ、死中に活を見出しうるであろう。戦ってよしんば勝たずとも、護国に徹した日本精神さえ残れば、我らの子孫は再三再起するであろう。そして、一旦戦争と決定せられた場合は、我ら軍人は、ただただ大命一下、戦いに赴くのみである」
 我が国が、捏造の慰安婦問題を受け入れることは、祖父母の世代が命にかえて守ろうとした「魂、日本精神」を失うことだ。そうなれば、日本はもはや、再起できない。
 本論は、現在の政治状況とその中の私の体験を踏まえて、この慰安婦問題の本質と如何にして我が国の明るい歴史を取り戻すのかという方策を述べるものである。
p92~
「戦後の脱却」なくして「慰安婦」克服は成らず
 第一に、いわゆる慰安婦問題とは、大東亜戦争の最中に、日本軍もしくは日本政府が、朝鮮半島から妙齢の女子を強制的に連行して兵隊相手に売春を強要したとして日本がいつまでたっても非難され謝罪と補償を要求される問題である。では現実に、その「強制連行」があったのか否か。これは、事実認定の問題である。つまり、その事実が、「あった」のか「なかった」のか。これを明確にしなければならない。
 実は、「慰安婦」という言葉自体が、比較的新しいのである。この言葉ができたのは、歴史問題を持ち出せば日本が政治的に屈服するという「教訓」を中国韓国の近隣諸国が得た時期ころ、即ち、昭和の50年代半ばではなかろうか。さらに、いつの間にか、誰が言い始めたのか「従軍」が引っ付いて「従軍慰安婦」という言葉になっていた。そして、この言葉によって、軍とともに行動する従軍看護婦や従軍記者と同様に「従軍慰安婦」も制度として軍と行動をともにしていたかの如く理解されるようになった。
 しかし、この「従軍慰安婦」という言葉をつくったのは、実際の軍隊を体験していない世代の人間だろう。何故なら、「従軍」とは「軍属」のことであり、兵隊向けの業務を行った対価としての料金を個々の兵隊からもらう「軍属」などないからである。例えば、従軍看護婦の身分は軍属であり、軍医と同様に負傷した兵隊を治療するがその治療費を兵隊から取らない。従軍僧侶も同様である。ところが、慰安婦は兵隊から料金を取る。これは軍属ではなく軍隊を相手に商売をしているのである。こういう人を「従軍」とは呼ばない。このことを、本年98歳の軍隊経験者の方から教えられた。「従軍慰安婦」という言葉自体が、あたかも帝国陸軍が「慰安婦部門」という制度をもっていて軍属としての慰安婦を引き連れながら戦争をしていたように思わせるための謀略用語なのである。 
 さて、「強制連行」の事実認定であるが、これは歴史家や研究者の間で、平成4~5年頃、「なかった」と決着が付いている(秦郁彦、25年5月23日付産経新聞「正論]/西岡力『よくわかる慰安婦問題』草思社)。また、本年3月8日の衆議院予算委員会における中山成彬議員は、「強制連行」があったとされる当時の朝鮮では、道議会議員の8割が朝鮮人、知事も朝鮮人、警察の幹部も朝鮮人であった事実を指摘して、このような朝鮮で政府や軍が20万人もの若い朝鮮の娘さんを強制的に拉致連行できないと論証している。まことにその通りではないか。若い娘20万人には40万人の両親がおり、さらに多くの祖父母兄妹親戚がいる。当時の朝鮮の人口は2千万人もいない。このなかで言われるような強制連行などできるはずがない。強制連行は、ない。これが決着である。
p93~
 では何故、強制連行などありもしないのに、従軍慰安婦問題が、冒頭に述べたように、我が国に対する有力な国際謀略となりうるのか。実は、これこそが問題の本質であり我が国が克服すべき課題そのものなのだ。しかも、結論から先に指摘するが、この課題の克服は、我が国が「戦後体制」から脱却し、国際社会をしてそれを納得せしめることによって完成する。従って、従軍慰安婦という国際謀略に立ち向かうことは「戦後からの脱却」への道である。
 そもそも我が国の「戦後体制」とは、近隣諸国が歴史問題を持ち出せば、我が国はそれに屈服するという体制である。そして、それを近隣諸国に教えたのは我が国自身なのだ。
 振り返れば、鈴木善幸内閣の時に、我が国の歴史教科書の検定で、「河北への侵略」を「河北への進出」に書き直させたと全マスコミが誤報した教科書検定事件が起こる(昭和57年)。これに激昂してみせた中国韓国に、当時の宮澤喜一官房長官は何度も謝罪し、近隣諸国に配慮して歴史教科書を作成するといういわゆる「近隣諸国条項」を受け入れた。つまり、我が国の歴史教科書への中国韓国の内政干渉を許容したのだ。これは特筆すべき驚くべき屈服であった。さらに次の中曽根康弘首相は、近隣諸国に配慮して靖国神社への参拝を取り止めた。この一連の事例によって、中国と韓国は、歴史問題が我が国から譲歩を引き出す為の有力な武器であることを学んだ。
 この近隣諸国との一連の軋轢と並行して、昭和58年に、国内において日韓関係を大きく歪めることになる『私の戦争犯罪 朝鮮人強制連行』(吉田清治、三一書房)という本が出版された。この本は、吉田が、昭和17年から20年までの3年間にわたって、山口県労務報告会動員部長として朝鮮内で兵隊を使って多くの若い娘を「ドレイ狩り」し、兵隊達の慰安婦にしたという自らの体験を、「日本人が『文明人』となるための反省の資料にしてもらいたい」(まえがき)ために書いたという。しかし、この本の内容は後に「ウソ」であることが判明する。国家の名誉に関することに関して、体験談と称してウソを書くとはとんでもないことであるが、この本は出版されるや朝日新聞などの大手マスコミが検証もせずに大々的に取り上げ、日韓に大きな衝撃を与え、結果において慰安婦強制連行のデマを本当のように人々の心に浸透せしめた。また吉田がこの本で挺身隊の名で慰安婦狩りをしたように書いたので挺身隊イコール慰安婦というデマも信じられたのである。
 その後、この本がウソであると判明してからも、朝日新聞がこの本の内容に沿う元朝鮮人従軍慰安婦と名乗る老婦人の「証言」を大見出しで掲載したり、日本人研究者が、軍が悪質な女衒(売春婦を集める業者)に注意を喚起するためにだした文書を、反対に軍が「慰安婦強制連行」に関与した証拠であると発表したりした。これらの動きもデマの定着に「貢献」したのである。
p94~
アメリカに真実を言い続けよ
 さらに我が国内の一番重要なポイントは、慰安婦の強制連行を認めたとも受け取られる平成4年の河野洋平伊官房長官談話と、侵略を認め謝罪と犯罪を表明した平成7年の村山富市総理大臣談話の発出であろう。これにより、我が国は対外的に「従軍慰安婦強制連行」のデマに対してそれを否定するための反論ができなくなったのである。
 我が国の国内では、心ある多くの国民がいるので、慰安婦強制連行は虚偽でウソであるとする有力な反論が直ちに出される。しかし、海外、主にアメリカでは国民の目は届かない。しかも、日本の在外公館は河野談話に縛られてデマに有効な反論ができない。彼ら外交官は、例えば、「日本は20万の若い朝鮮人女性を強制連行した」というデマに対し、「いや20万人とは多すぎます」というようなレベルの反論しかしてこなかった。また、アメリカ人も韓国人が言う日本軍の「慰安婦強制連行」の宣伝を、日本政府自身が河野談話で強制連行を認めているのでその通りだろうと真実として受け入れる。このように、河野談話は、我が国の名誉に関わる虚偽を真実のように国際社会に浸透させる機能を果たしてきたのだ。そして、この河野談話による防御不能の空隙をついて、韓国は、国家予算を投入して、日本軍の強制連行のデマをアメリカ国内で真実のように広める活動を展開した。
 そして、平成19年のアメリカ下院に、「戦中、日本が朝鮮人をはじめとするアジア女性を性奴隷として強制動員したことを謝罪せよ」という決議案が提出され可決される事態に至った。遂に「従軍慰安婦」のデマ・捏造が、アメリカに定着し世論を「反日」に動かしたのだ。これは、我が国内外に広がる反日ネットワークの仕業である。
 昭和12年に日華事変が勃発してから、破壊された駅の構内に放り出された赤ん坊が泣いている写真がアメリカのライフ誌に大きく掲載された。この写真は、後に捏造写真であることが判明するのであるが、ライフ誌でこの捏造写真を見たアメリカの世論は、日本の残虐性を怒り中国に同情して反日親中に急転換する。これが国際的な日本包囲網のはじまりである。つまりこれは日本の運命に重大な影響を与えた捏造写真となった。
 同様に、吉田に端を発する「従軍慰安婦強制連行」のデマは、国際社会とりわけアメリカにかなり浸透していて、我が国の運命に影響を与えるまでに成長しているのである。
p95~
 そこで、本年のアメリカの状況はどうか。まず、6月1日付読売新聞で、リチャード・アーミテージ元米国務副長官が「歴史認識をめぐる国際摩擦は中国を利するとの懸念を表明した」と報じられている。つまり、よく日本を知るアーミテージ氏も、日本の政治家が慰安婦問題で反論すれば韓国が激昂して日韓関係が悪化するので我が国に自制を求めているのである。つまり彼も、河野談話でいいじゃないか、という訳だ。
 次に、長年、拉致問題解決のためのアメリカ世論喚起に努め、年に度々アメリカを訪れ議会筋などと議論を重ねてきた福井県立大学の島田洋一教授の報告を紹介したい。本年3月、島田教授が、アメリカの保守系シンクタンクで北朝鮮問題を議論したとき、参加者から安倍内閣に対する要望として、「日米韓の協力が必要なときに河野談話の見直しで韓国を怒らせないでほしい」という意見が出た。島田教授が、「日本は強制連行などしていない」と反論すると、相手は「日本もドイツのように明確に罪を認めて謝罪するのがよい」という頑なで型にはまった再反論が返ってきた。
 さらに島田教授は、在米韓国人活動家について報告している。教授が旧知のスザンヌ・ショルティ北朝鮮自由連合代表の主催する会合でスピーチをしたところ、韓国人女性が横に来て、自分はアメリカ下院が「慰安婦決議」をしたときの中心人物の一人だと言って、時と場所を弁えず「慰安婦問題についてどう思うか」と質問してきたという。教授が、「女性が娼婦(prostitutes)として働かねばならなかったのは哀しいことだ」と答えると、彼女は何を言うかという剣幕で「彼女たちは娼婦で花井。彼女たちは性奴隷(sex slaves)だ!」と反論した。
 この在米コリアン女性活動家の執拗な性奴隷宣伝努力とアメリカ人の実に単純な日本軍の慰安婦イコール性奴隷という捏造の受け入れは、彼らのトラウマから発するものとしか考えられない。即ち、彼らアメリカ人は本能のレベルで、広島長崎への原爆投下と東京や大阪をはじめとする主要都市への絨毯爆撃による非戦闘員の大量殺害を正当化する根拠を、韓国が提供する日本軍の慰安婦イコール性奴隷という捏造に求めている。つまり、アメリカ人は、日本は原爆投下や絨毯爆撃の対象にすべき邪悪な国家だったのだと思い込みたいのだ。
 そこで我々は、このアメリカ人に、強制連行=性奴隷の事実はないことと、日米連携が大切だと思うのなら、事実を事実として受け入れよと粘り強く断固として言い続け納得させねばならない。
p95~
反撃の烽火となることを願いて
 このようなときに、橋下徹大阪市長の慰安婦に関する発言があったのだ。私は、外部に発言した以上、ぶれずに頑張れと思って注視していた。そのなかで、彼が、歴史観において村山富市談話と同じことを言ったので、失望した。韓国側が、慰安婦を道具にして世界に定着させようとしているのは、まさに「日本は悪い侵略国家」という歴史認識であり、橋下氏は、その歴史認識を受け入れているからである。ところが、彼の発言がAP外電で如何に海外に流れているかを知り、さらに愕然とした。
 「橋下は、戦時中は、性奴隷が必要だ、と言った」と海外に報じられていたのだ。橋下氏は「慰安婦(comfort women)と言ったのであり「姓奴隷(sex slaves)」と言ったのではない。AP電は悪意の捏造報道だった。
 「橋下は、戦時中は姓奴隷が必要だと言った」という捏造報道は、日本軍の朝鮮女性強制連行は事実だとの誤解を決定的にしてしまう-。
 よって私は、5月17日の日本維新の会代議士会で、「この捏造報道を阻止しよう」と発言した。そして、このテーマに付随して、我が国の繁華街の現在の状況を見れば、70年前の状況も良く分かると思い、現在の夜の大阪「ミナミ」の繁華街の状況を説明した。すると、党役員のごく一部がパニックのように動転して私は党を離れることになり、これによって、私の発言は広く世に知られることとなった。
 以後、本稿を書いている現在(6月11日)まで、この私の「粗にして野な発言」を国民は如何に受けとめてくれているのか肌で感じる日々を過ごした。その結果、私は思う。これでよかったのだ、と。誰かがこれを指摘せねばならなかった。もちろん、何も言わなかったら波風は立たない。しかし、波風は立った。そして我が国が戦争中に、妙齢の朝鮮女性20万人を強制的に連行して軍隊の性奴隷として戦場に臨んでいたという我が民族の子々孫々にいたるまで消えないおぞましい汚名定着を目指す国際的反日プロパガンダに対して、国民的関心が高まった。それは、汚名払拭のための最大の一歩となる。
 韓国政府自身が、韓国人売春婦は日本、アメリカそしてオーストラリアに「進出」し、現在、日本に5万人、アメリカに3万人いると発表している。この韓国政府が把握している人数より実数は遙かに多いはずだ。現在、大阪のミナミをはじめ東京の繁華街にも韓国から来たそのような人たちは実に多い。豊かになった韓国からもこれだけ多くの人が日本に稼ぎに来る。もちろん、これらの人を日本政府が強制連行したのではない。
 では、70年前はどうであろうか。貧しかった朝鮮半島から、多くの人が、一般人であれ軍人であれ日本人相手に稼ごうとしたであろう。そして女性にこのような醜業をさせてしこたま儲けようとする朝鮮人女衒が跋扈したと思う。現在もこれらの女性を日本政府が強制連行したのではないように、かつても強制連行などしていない。これは、現在の状況を目の当たりに見ている我々の実感から来る結論である。
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アメリカよ、ヤルタ密約の不道徳を思い出せ 
 さて、先に慰安婦問題克服は、「戦後からの脱却」によって為されると述べた。よって、アメリカのおける「慰安婦=性奴隷強制連行」捏造の払拭をなすにあたり、まず我が国は、集団的自衛権を行使するアメリカの同盟国に相応しい国家体制に転換しなければならない。
 その上で、アジア太平洋地域の安定のために、地理的条件、規模、経済力そして防衛力の総てにおいて日本以外にその任務を果たせる国はないことに自信をもつべきである。
 アメリカの懸念は、我が国の河野談話廃棄論に象徴される歴史回復の動きが、韓国と中国の共通の反発を招き、韓国を中国に接近させて日米韓の連携が潰れるということだ。 
 そこでアメリカは知らねばならない。歴史観において中国に従属する日本は、中国のさらなる軍事的巨大化を招来しアジアの安定要因にならない。真の歴史を取り戻した「強い日本」こそアジア太平洋の安定を目指す同盟国ならば、我が国に対する汚名の歴史是正にアメリカが協力すべきである。
 ブッシュJr大統領は、F・ルーズベルト大統領のヤルタ密約の「欧州における欺瞞性」を指摘した。アジア・太平洋出身のオバマ大統領は、同密約の「アジアにおける欺瞞性」を指摘すべきである。連合国軍総司令官として我が国と戦ったダグラス・マッカーサー元帥は昭和26(1951)年、アメリカ上院で、「日本の戦争は自衛のためだった」と証言した。朝鮮戦争を戦ってみて、朝鮮の安定のために満州の安定を欲した日本の行動を理解したのである。共産主義=全体主義独裁国家の膨張の脅威と戦った日本の真意を知ったのである。つまりアメリカ自身が、アジアにおける歴史是正に着手すべきなのだ。最後に、支那と韓国・朝鮮に対しては、彼らがウソを100回言うならば、我は正々堂々と真実を100回言えばいい。
 最後に、「情の民族」である日本人として言いたい。慰安婦は、戦死が待つ戦場に赴く兵士が客となり、切なく哀しい短い時を過ごした女性たちだ。内地で死んで帰れと送り出されたある兵士は、戦地で初めて「あんた、死んだらあかんよ」と彼女に言われて泣いた。
 名も伝わらない彼女達は、生還しなかった250万将兵の何人かに、戦地で情のある言葉をかけて優しく慰めてくれた。その優しくつらい人生を思い、心より亡くなられた方々のご冥福を祈る。 *リンクは来栖
 *上記事の著作権は[産経新聞社『正論』8月号]に帰属します
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「慰安婦」包囲網を突き破れ!正論8月号 「この度し難き鉄面皮…朝日新聞の頬被り」西岡力 2013-07-08 | 読書 
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【右傾化でなく「普通の国」化だ】田久保忠衛 / 「戦前化/軍国主義化/右傾化」~うんざりする用語 2013-05-24 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉 
 杏林大学名誉教授・田久保忠衛 「右傾」化でなく「普通の国」化だ
 産経新聞2013.5.24 03:25 [正論]
 ≪米中韓が手組み対日非難?≫
 太平洋地域全体に繰り広げられた巨大な魔術に目を見張っているところだ。21世紀最大の課題は中国の軍事的膨張であり、価値観をともにする2期目のオバマ米政権と日韓両国の新政権が、その中国と平和裏にいかにいい関係を続けていくかだと思っていた。ところが、あっという間に、諸悪の根源は、安倍晋三内閣閣僚を含めた日本の政治家の靖国神社参拝や、「侵略の定義」に関する安倍首相のコメントや、他の政治家の慰安婦発言になってしまった。日本に対し米中韓の3カ国が手を組んで非を鳴らしている構図である。
 4月末に、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ウォールストリート・ジャーナルの米3紙と、英紙フィナンシャル・タイムズなどが一斉に、安倍批判の社説を掲げ、コロンビア大学のジェラルド・カーティス教授は、朝日新聞紙上で憲法96条改正反対を主張し、自民党の改憲案は時期尚早だと批判した。
 5月には、作家の大江健三郎氏らが代表する護憲の「九条の会」が、安倍政権の狙う第9条改正は「絶対に許せない」とのアピールを出した。カーティス教授の発言は慎重だが、日本の護憲派や中韓両国と口裏を合わせたような米英などの粗雑な議論には辟易(へきえき)する。
 中でも、悪質なのはフィナンシャル・タイムズ紙であった。「日本の同盟国である米国ですら、容易ならざる事態を引き起こしてしまったのではないかと困惑している」と断じ、「問題は靖国が天皇崇拝の狂信的カルトと救い難いほど結びついていることだ」と書いた。型にはまった決まり文句を繰り返すだけだ。
 日本人が死者の霊にどう対面しているかの理解は、悲しいほど乏しい。三島由紀夫とも親交のあった英国人でニューヨーク・タイムズ紙東京支局長だったヘンリー・スコット・ストークス氏が、日本人の思考に敬意を込めて書いた記事を、この英紙の社説子は読み返したらいい。
 ≪米3紙安倍批判は改憲ゆえか≫
 占領基本法ともいうべき現行憲法には、大規模自然災害、外国からの攻撃、内乱、大規模サイバー攻撃に対応できる緊急事態条項が欠けていることぐらいは、外国の記者も当然知っているだろう。新しい憲法の前文には、独立国日本の国柄を明記し、世界で政治的に安定している立憲君主制を謳(うた)い、独立自存の道義国家を目標に据え、認知されていなかった自衛隊を軍にする-、産経新聞の「国民の憲法」要綱こそは、平和のための憲法だろう。これに対する直接の言及はないが、前述の米3紙の安倍批判が改憲批判に直結しているのは明らかだ。
 本欄で前に紹介したと思うが、私には痛切な経験がある。読売新聞が「憲法調査会」を発足させた1992年を機に、各政党や組合その他の団体で憲法論議が盛り上がった。民社党の支援団体「民社党と語る会」(関嘉彦会長)も、民間の有識者を集め、私が座長になって報告書を取りまとめた。
 そのころニューヨーク・タイムズは「日本には平和を選ばせろ」との見出しで社説を書いた。タイトルもさることながら、内容は高飛車で、(1)日本は「平和憲法」に手を付ける必要はない(2)第9条は米国が命じて書き取らせたものだ(3)日本の右翼政治家たちは尻込みしている大衆を前進させようとしている-といった、読むに堪えない無礼な表現が羅列されていた。
 関会長と私は、同紙東京支局責任者に会い、日本の改憲の動きに社説がいかにひどい偏見を抱いているかを冷静に説明した。戦前に戦闘的自由主義者といわれた河合栄治郎直系の思想家でもあった関会長は、用意してきた英文を相手に手渡し、投書欄でもいいから掲載してほしいと要請した。
 ≪オバマ政権を信じたいが…≫
 忘れたころに、この反論が載ったことを知ったが、これでは誰も読むはずがない。押しなべて、米紙の論調は少しでも日本が「普通の国」に動こうとすると、「戦前化」「軍国主義化」「右傾化」という、うんざりする用語を羅列して批判を繰り返してきた。今回の安倍批判も例外ではない。
 オバマ政権は、歴史認識を常に外交問題化しようと企(たくら)み、虎視眈々(たんたん)とあらゆる機会を狙ってきた隣国に軽く乗るようなことにはならぬと信じたい。が、米政府関係者からはすでに首を傾(かし)げたくなる発言が伝えられている。これでは日本の親米論者にも動揺が走る。
 日米関係に暗雲が漂い始めた昭和初期、駐中国米公使(現在の大使に相当)だったジョン・ヴァン・アントワープ・マクマリー氏は、米国が反日、親中に流れていく傾向に反対して覚書を本省に送ったが、日の目を見なかった。戦後、ソ連の軍事的増大に対抗する形で「強い日本」を望んだのはジョージ・ケナン氏だった。
 オバマ政権は、明日の日本を担う健全な政権を肯定的に捉えるのか、距離を置こうとするのか。マクマリーやケナン不在のままで、歴史は繰り返されるかもしれないのである。(たくぼ ただえ))
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【阿比留瑠比の極言御免】護憲派の親米ぶりに感心する
産経新聞2013.5.2 11:32
 熱心な護憲派ほど、ときに極端な米国追従主義者に思える。彼らがいかに「アメリカ いいなり もうやめよう」(共産党のポスター)と主張しようとも、米国製の憲法を後生大事に押しいただいている姿をみると説得力は薄れてしまう。
 「(現行憲法は)連合国軍総司令部(GHQ)の憲法も国際法も全く素人の人たちが、たった8日間でつくり上げた代物だ」
 安倍晋三首相がこう指摘する通り、憲法が事実上、占領中にGHQに押し付けられたものであるのは今では多くの人が知っている。
 ところが戦後長く、憲法が米国主導でつくられたことに言及するのはタブーとされ、「押し付け論」を口にすると「右翼だ」「反動だ」と袋だたきに遭った。
 本当のことを言ってはならないという「閉(とざ)された言語空間」(文芸評論家の江藤淳氏)が日本全体を覆っていたのだ。その原因はGHQによる巧みなマインドコントロールである。
 GHQは占領下の日本で、「中国に対する批判」「戦争犯罪人の正当化および擁護」「占領軍兵士と日本女性との交渉」など30項目の検閲指針を設け、厳しい言論統制を実施した。
 その項目の一つが「連合国最高司令官・司令部(SCAP)が憲法を起草したことに対する批判」だ。その結果、「日本の新憲法起草に当たってSCAPが果たした役割について一切の言及」も禁じられた。
 GHQは同時に「出版、映画、新聞、雑誌の検閲が行われていることに関する一切の言及」も不許可としたため、国民は検閲が実施されていることもろくに知らないまま、憲法は日本人がつくったと信じ込まされたのである。
 「新憲法は今は『押し付けられた』という言い方をされているが、そのうち必ず尊重を受ける」
 米誌「ニューズウィーク」の外信部長だったハリー・カーン氏は同誌の1947(昭和22)年6月23日号で予言していた。首相も著書にこう書いている。
 「アメリカは、自らと連合国側の国益を守るために、代表して、日本が二度と欧米中心の秩序に挑戦することのないよう、強い意志をもって憲法草案の作成にあたらせた」
 ところが、ここまで好き勝手にされても、いまだに「押し付けではない」と言い張る護憲派が政界には少なくない。時代や国際環境の変化に目もくれない彼らには、「どれだけ米国製品が好きなのだろうか」と感心させられる。
 ちなみに、4月25日に発足した憲法96条改正に反対する超党派議員連盟「立憲フォーラム」の役員名簿には、次のような豪華メンバーの名前が連なっていた。
 菅直人元首相(顧問)、江田五月元参院議長(同)、岡崎トミ子元国家公安委員長(同)、近藤昭一元環境副大臣(代表)、水岡俊一元首相補佐官(副代表)、辻元清美元国土交通副大臣(幹事長)…。
 さぞかし、米国の教えを真面目に守ってきた親米派ばかりなのだろうと推察する。(政治部編集委員)
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石原慎太郎著『新・堕落論』 新潮選書2011/7/20発行
p47~
 しかし我々が敗戦から65年という長きにわたって享受してきた平和は、他国が願い追求努力して獲得してきた平和とはあくまで異質なものでしかありません。それは敗戦の後、この国の歴史にとって未曽有の他者として到来したアメリカという為政者が、あのニューヨークタイムズの漫画に描かれていたように、彼等にとっては異形異端な有色人種の造形した日本という、危険な軍事力を備えた怪物の解体作業の代償としてあてがったいびつな平和でしかありません。
 ドイツは敗戦後連合軍の統治下、国是として2つのことを決めました。1つは新生再建のための国家規範となる憲法はドイツ人自身が決める。2つは戦後のどいつにおける教育はドイツ人自身が決めて行う、と。我々に人がやったことはドイツと正反対のものでしかなかった。
 我々は、他人が彼等の目的遂行のために造成しあてがった国家の新しい規範としての(~p47)憲法と引き換えに、自らの手で造成に努めることなしに、いや、努めることを禁じられた囲われ者へのお手当としての平和を拝受してきたのでしかありません。
p48~
 平和は自ら払うさまざまな代償によって初めて獲得されるもので、何もかもあなたまかせという姿勢は真の平和の獲得には繋がり得ない。(以下略)
p49~
 戦後から今日までつづいた平和の中で顕在したものや、江藤淳の指摘したアメリカの手によって『閉ざされた言語空間』のように隠匿されたものを含めて、今日まで毎年つづいてアメリカからつきつけられている「年次改革要望書」なるものの実態を見れば、この国がアメリカに隷属しつづけてきた、つまりアメリカの「妾」にも似た存在だったことは疑いありません。その間我々は囲われ者として、当然のこととしていかなる自主をも喪失しつづけていたのです。
 未だにつづいてアメリカから突きつけられる「年次改革要望書」なるものは、かつて自民党が金丸信支配の元で小沢一郎が幹事長を務めていた時代に始まりました。
p51~
 あれ以来連綿とつづいているアメリカからの日本に対する改革要望書なるものの現今の実態はつまびらかにしないが、ならばそれに対して日本からその相手にどのような改革要望が今出されているのだろうか。国際経済機関に属している先進国で、こうした主従関係にも似た関わりをアメリカと構えている国が他にある訳がない。
 トインビーはその著書『歴史の研究』の中で歴史の原理について明快に述べています。「いかなる大国も必ず衰微するし、滅亡もする。その要因はさまざまあるが、それに気づくことですみやかに対処すれば、多くの要因は克服され得る。しかしもっとも厄介な、滅亡に繋がりかねぬ衰微の要因は、自らに関わる重要な事項について自らが決定できぬようになることだ」と。
 これはそのまま今日の日本の姿に当てはまります。果たして日本は日本自身の重要な事柄についてアメリカの意向を伺わずに、あくまで自らの判断でことを決めてきたことがあったのだろうか。これは国家の堕落に他ならない。そんな国家の中で、国民もまた堕落したのです。(~p51)
p52~
 ものごとの決断、決定にはそれを遂行獲得するための強い意思が要る。意思はただの願望や期待とは違う。その意思の成就のためにはさまざまな抑制や、犠牲をさえ伴う。
 現代の多くの日本人の人生、生活を占めているのは物神的(フェティシュ)な物欲、金銭欲でしかない。それはただ衝動的な、人間として薄っぺらな感情でしかない。そして日本の今の政治はひたすらそれに媚びるしかない。それもまた政治家としての堕落に他ならない。(略)
 ワシントンの消息通に聞けば、政権を構築しているワシントンの重要省の幹部たちは本音では、日本の財務省はアメリカ財務省の東京支店、日本外務省はアメリカ国務省の東京支店と疎んじてはばからないそうな。特に日本の外務省は、外交の基軸に日米安保を絶対前提(アプリオリ)として捉えているから、日米関係間のさまざまな摩擦に関しても、最後は安保条約に依る日本の安全への斟酌で腰がひけ、正当な主張をほとんどなしえない。
 それを証す露骨な例がありました。何年か前のニューズウィークの表紙一杯に、何のつもりでかアメリカの国旗星条旗が描かれていた。よく見ると、並んだ40幾つかの星の最後の星は小さな日の丸だった。本国でならともかく、この日本での版に、そうした絵をぬけぬけと描いて載せる相手の心情とは一体何なのか。語るに落ちる話だ。
  横田基地は「戦勝記念品」
 世界が時間的、空間的に狭小になったこの現代、航空機による往来は国家の繁栄のために欠かせぬものだから、まだまだ大きなビジネスチャンスがあると思われる日本や、育ち盛りの中国を含む東アジアへの往来のために日本の空をもっと開けろという声は世界中で高いし、現今の機材の飛行距離の能力からしても日本に有力なハブ空港が在るのが望ましい。現時点でも、日本への乗り入れを希望しながら待ちぼうけを喰わされている外国の航空会社は35もあります。しかし首都東京の中に日本で最長の滑走路を持ち、ただの兵站基地として日常殆ど使われていない厖大な横田基地を保有しながら(ちなみに横田基地がもっとも頻繁に使われたのはベトナム戦争の折、戦死したアメリカ兵の遺体を運び込み、日本の医学生を動員して死体の継ぎはぎをさせた時のことだ)、それを返還するという意欲は彼等には全く無いし、日本側にも国益のためにせめてもの共同使用を進める意欲もありません。
 専門筋だけが知っていることですが、横田を占有している米軍が、演習のためと称して民間機を排他している空域は成田や羽田、入間といった飛行場の管制空域よりもはるかに大きく新潟県にも及んでいて、ヨーロッパからロシア経由で日本に飛来する飛行機は日本を横断してそのまま真っ直ぐ成田に向かうことは出来ずに、その空域を迂回し一旦太平洋に出て成田に向かうしかない。
 最近になって東京都による横田の共同使用の働きかけの中で、日本の中で最も混雑している東京から大阪、福岡、さらにそれを延長して韓国のソウルに向かう最大幹線の西行線の管制がようやく緩和され、今まで往復1車線レベルだったものがなんとか2車線程度とはなりました。それによって飛行時間は10分ほど短縮されたが、それとて狭い幹線の中で正面衝突しかけた民間機が、互いに急上昇と急降下をしたため片方の乗客乗員が重傷を負う出来事があってのことだった。
 高速で飛ぶ飛行機の往来の時間が10分短縮されるというのは経済利益として多大なものだが、それを彼等は最近まで譲ろうとはしなかった。それも人命の危険においてようやくのことです。
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【国家的喪失】石原慎太郎 原爆被爆というトラウマからセンチメントに駆られて猿に戻ろうとしているこの国 2012-10-01 | 石原慎太郎
 石原慎太郎 国家的喪失
 産経ニュース2012.10.1 03:22[日本よ]
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米国メディア、日本の右傾化を批判/韓国と在米韓国系市民の巧みな影響受ける『ニューヨーク・タイムズ』 2013-04-26 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉 
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