【安保法案閣議決定】よく分かる新しい安保法制Q&A

2015-05-15 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

2015.5.14 21:42更新
【安保法案閣議決定】よく分かる新しい安保法制Q&A
 政府が14日に閣議決定した安全保障関連法案は、自衛隊の役割を大きく変える。その内容、背景、意義をQ&A形式でまとめた。

Q 安保関連法案が成立すれば何が変わるのか
A 柱になるのは集団的自衛権の行使を限定容認した点だ。密接な関係にある国が攻撃されれば、政府は「存立危機事態」に当たるかどうかを判断する。日本の存立や国民の権利が危うくなるケースのことで、これに該当すれば自衛隊は他国軍と一緒に戦うことができる。
Q なぜ政府は集団的自衛権を行使できるようにするのか
A 在日米軍は日本を守るために活動するが、米軍が攻撃されても自衛隊は一緒に戦うことができなかった。そんな事態が実際に起きれば日米同盟は立ちゆかなくなる恐れがある。集団的自衛権を行使すべきだという議論は昔からあった。
Q 安倍晋三首相が望むから安保法制を整備するのか
A 安倍首相は安保法制に熱心だ。とはいえ、自民党内には集団的自衛権の行使を主張する人が多い。民主党政権の野田佳彦元首相も行使容認が持論だった。
Q 昔から議論があったのに、なぜ今なのか
A 日本の安全保障環境が大きく変わったからだ。北朝鮮が核・弾道ミサイル開発を行い、中国は経済成長に伴う軍拡を続けている。しかも中国は領土拡張を狙う野心を隠していない。米国はアジア太平洋地域を重視する政策を進めているが国防費を削減しており、日本の役割を拡大して一緒に東アジアの平和を築こうと呼びかけてきた。
Q 日本は米国の言いなりになっているのか
A そうではない。日本は相応の責任を負うので、米国もアジア太平洋地域の平和に責任を持ち続けてほしいということだ。だからこそ、自衛隊と米軍がどのように協力するかを定める「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)も4月27日に改定した。
Q 存立危機事態でなければ米軍を守れないのか
A 存立危機事態のような有事でなくても、警戒監視活動や自衛隊と共同演習中の米軍が攻撃を受ければ防護できる。ただ、自衛隊の武器使用は控えめにしなければいけない。
Q 「控えめ」とは
A たとえばピストルを持っている武装集団にミサイルを撃ち込むことはできない。ピストルにはピストルで対応する。また相手が逃げたら追いかけてやっつけることはできない。
Q 自衛隊は地球のどこでも活動できるのか
A 確かに集団的自衛権の行使には地理的制約がない。ただ、外国が攻撃されても、日本の存立が危うくなるようなケースでなければ日本は集団的自衛権を行使できない。そんな事態が頻繁に起こることは考えられない。
Q 自衛隊は「地球の裏側」に行けるということか
A これまでも自衛隊は「地球の裏側」で活動できた。日本から遠く離れたアフリカの南スーダンやカリブ海の島国のハイチでも国連平和維持活動(PKO)に参加している。
Q それでも今までの自衛隊は一人の戦死者も出さなかった
A 新しい安保法制でも海外に派遣される自衛官の安全確保のための仕組みはある。ただ、これまでの自衛隊は危険な任務を避けてきた。イラクで人道復興支援活動を行った際はオーストラリア軍などに警護を頼んだ。国際平和のために派遣されているのに、危険な任務はやらないのであれば諸外国からは責任ある態度とはみなされない。PKO協力法を改正して治安維持任務も行えるようにする。
Q PKOでも集団的自衛権を行使するのか
A しない。PKOやPKOに似た人道復興支援活動では武力行使を行わない。だから活動地域で停戦合意がなくなれば自衛隊は撤退する。海外で誘拐された日本人を救出する際も、その国の政府が責任をもって自衛隊受け入れを認めない限り、自衛隊は救出作戦を行えない。反政府勢力に出くわして戦闘に巻き込まれることを避けるためだ。
Q 外国軍への後方支援を行うときも集団的自衛権は行使できないのか
A 日本や国際社会の平和を守るために戦っている外国軍を後方支援する場合、近くで戦闘行為が始まれば自衛隊は撤退する。
Q ピンチになった仲間を見捨てるのか
A 憲法9条があるので、そうならざるを得ない。ただ、仮に外国軍への攻撃が存立危機事態に当たれば自衛隊はそのまま後方支援を続けられる。

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