中川智正死刑囚 昨年公表手記は「再発防止に役立てて」(2017年3月20日で地下鉄サリン事件から22年)

2017-03-19 | オウム真理教事件

オウム中川死刑囚 昨年公表手記は「再発防止に役立てて」
毎日新聞2017年3月18日 11時50分(最終更新 3月18日 12時16分)
■地下鉄サリン事件22年 遺族「なお検証を」
 サリン製造の経緯などをまとめた手記を昨年公表した元オウム真理教幹部の中川智正死刑囚(54)が今月、弁護人を通じて毎日新聞の取材に応じ、「同種事件の再発防止や研究に役立ててほしかった」と執筆した理由を明かした。20日で地下鉄サリン事件から22年。事件の風化を懸念する遺族から「手記で分かった事実もある。検証すべきことはまだまだ多い」との声が上がっている。
 中川死刑囚は地下鉄・松本両サリン事件など11事件に関わったとして殺人罪などで2011年に死刑が確定し、東京拘置所に収監されている。昨年10月にサリン製造や事件の背景をまとめた手記を科学誌に公表した。確定死刑囚との面会は厳しい制限があるため、毎日新聞が弁護士を通して執筆理由などを尋ねたところ、弁護士経由で回答が届いた。
 中川死刑囚は08年、後にオウム真理教に関する考察をまとめた元米海軍長官と拘置所で面会。この時、生物兵器開発の理由や成功した条件を聞かれた。「それまで、そんな質問を受けたことがなかった」と驚き、以降も科学的事実を残そうと面会に応じたという。今回の手記執筆も、毒物研究の世界的権威で特別面会人でもある米コロラド州立大のアンソニー・トゥー名誉教授の勧めで決断した。
 裁判の場では十分に説明できなかった思いもある。「質問者も科学やテロ対策の専門家ではなく、その方向の話を厳密にすることは不可能でした」と振り返り、「裁判は法的な真実を糾明する場であって全ての真実が明らかになる場ではない」とも説明した。手記には法廷で話せなかったことも記したという。
 地下鉄事件で駅職員の夫を亡くした高橋シズヱさん(70)は手記の印象を「事実を伝える最後のチャンスと思ったのかもしれない」と語る。内容次第では遺族を傷付ける恐れはあるものの「死刑が確定した途端、(加害者の)情報がなくなる現状は納得できない。裁判が終わり、立場が変わった今だからこそ語れることや検証できることもある」と訴える。高橋さんらは確定死刑囚との面会も法務省に求めている。
 中川死刑囚は北朝鮮の金正男(キム・ジョンナム)氏殺害事件で、猛毒の神経剤VXが検出されたとするマレーシア警察の発表前に、正男氏がVXで襲撃された可能性に言及する手紙を獄中からトゥー氏に出していた。【近松仁太郎】
■地下鉄・松本両サリン事件
 いずれもオウム真理教による無差別テロ事件。松本サリン事件は1994年6月27日夜、長野県松本市の住宅街でサリンがまかれ、8人が死亡、約590人が重軽症となった。サリンの威力を試し、教団関係の訴訟を担当する裁判官の官舎を狙ったとされる。事件が解決しない中、教団は95年3月20日朝、東京・霞ケ関駅に向かう地下鉄3路線の5車両内でサリンを散布し、乗客や駅員ら13人が死亡、約6300人が負傷した(地下鉄サリン事件)。警察の強制捜査回避が目的だったとされる。
■手記は専門誌16年11月号に掲載 サリンの生成過程詳述
 中川智正死刑囚の手記は専門誌「現代化学」(東京化学同人)の2016年11月号に掲載された。全6ページ。冒頭と結びで「心よりお詫(わ)び申し上げます」と被害者や遺族に謝罪している。
 前半は医師としてサリン製造に関わった経緯を紹介。化学反応式も使ってサリンの生成過程を詳述した。
 後半は事件が起きた背景を説明した。教団元代表の松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚(62)については「宗教団体を犯罪組織にした点で、犯罪者。自分を深く信頼している者を選んで殺人や化学兵器の製造などを命じた」と記した。
 一連の事件は科学者ら高学歴の信者が中心になったが「教団が殺人を犯すなどと思って入信した者は皆無」と振り返り、「危険な宗教やテロ組織に入ってしまう背景と、後にテロを実行する背景は区別すべきではないでしょうか」とまとめている。
 
 ◎上記事は[毎日新聞]からの転載・引用です
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オウム中川智正死刑囚「金正男氏殺害はVX」マレーシア警察による発表(2017/2/24)前に米国の毒物学者に手紙出す
◇ 「オウム麻原彰晃」の主治医だった中川智正死刑囚 化学専門誌に初手記 『現代化学』2016/11月号
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◇ 暗雲、今も 地下鉄サリン20年 (1)事件の教訓得たか サリン製造した中川智正・土谷正実死刑囚らに面会

    

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◇ オウム裁判終結 2011/11/18 中川智正被告の母「わが子を(死刑で)失い、少しでもご遺族の気持ちに近づくことができれば」
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