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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

臆病な共犯者

2017-03-20 18:58:22 | 読んだ本
E・S・ガードナー/井上一夫訳 昭和59年 ハヤカワ・ミステリ文庫版
原題は「THE CASE OF THE NERVOUS ACCOMPLICE」という1955年発表のペリイ・メイスンシリーズ。
たまに読み返すと、ひまつぶしにはちょうどいい、考えるより先に話が進んでってくれるようなとこあるから。
今回の依頼人は、不動産周旋業者の夫人で、夫が不動産投資の相談にのってる女と浮気してるんで、取り戻したいんだという。
離婚問題は取り扱わないというメイスンに、そうぢゃなくて、ある会社の株を買って、急遽重役会議に出席して、そこの議論をむちゃくちゃにしてくれればいいんだという。
引き受けたメイスンは、シルヴァン傾斜地開発会社ってその会社の株主になって、重役会議で依頼人の夫のからんでる土地開発問題をひっかきまわし、うまくいかないようにする。
その件が頓挫すれば、夫は浮気相手と仲たがいをして、自分のところに帰ってくるだろうというのが依頼人の狙い。
一方、メイスンが立ち入ってきた会社のほうでは、メイスンが常識はずれな金額で株を買ったということで、あの土地に何があるのだろうかとざわざわしだす。
そんなことしてるうちに、依頼人がくだんの土地で、人が殺されているのを見つけてしまい、警察にも届けずメイスンのところへ駆け込んでくる。
状況としては彼女が疑われてもしょうがないんだが、弁護を引き受けるメイスンは、依頼人が現場近くから乗ったタクシーの運転手に顔をおぼえられてるかもしれないので、もういちど同じ車に乗って同じ額を払うようなシチュエーションをつくるといった策を弄する。
秘書のデラに、ホントに依頼人を弁護するのかと問われたメイスンは、
「弁護士の第一の義務は、依頼人を守ることだよ。デラ、ものごとの軽重をわきまえなければならない。たとえば、危篤の病人の病床に急ぐ医師の場合を考えてごらん。おそらく医者はあらゆる交通法規を犯すだろうが、危急の場合はそれもやむをえない。(略)」
なんてことを言う。
物語の後半で、探偵ポール・ドレイクから「わたしが弁護士だったら、こっちに嘘をついた人間の弁護士にはならないね」と言われたときも、メイスンは、
「それでは、あまり依頼人は来ないだろうな。とくに刑事事件ではね。」
と意に介さない。
そんなこんなで依頼人は捕まってしまい、不利な状況で予審が始まる。
宿敵のハミルトン・バーガー地方検事は
「法律上の華々しい議論や、派手な反対訊問、芝居気たっぷりの演説などの手続きが必要となってくると思われます。(略)かかる無用の芝居気を除くように致したいと思います」
と冒頭でメイスンに敵意をむきだしにするんだが、こともあろうに判事まで
「本予審廷においても、巧妙にして非常に狡猾な法の曲解が曲解者の意図の見えすく、限度をこえたものと認められた実例もいくつかあることは事実です」
だなんて言って、メイスンに警告じみたことを言う。
そう言われたからか、メイスンはほとんど反対訊問をしないどいて、判事を心配させるんだが、最後にやっぱりドカンと爆弾を落とすような反対訊問をして、検事側証人を窮地に追い込み、この予審では被告の釈放を勝ち取る。
しかし、依頼人にさらに不利な証拠や証言が集められた状態で、本チャンの陪審法廷が開かれることになる。
だけど、ここでもメイスンは最初は反対訊問をそれほどしないどいて、やっつけるべき証人が出てきて、それに対する反対訊問をするタイミングのときに夕刻の休廷にうまく持ち込む。
公判中の一晩のあいだに、新しい反撃材料を探すのは、このシリーズのお手の物。
新聞にも、メイスンが何か隠してる切り札を出すはずだ、みたいな記事がのるもんだから、翌日の法廷は劇的な展開見たさの傍聴人がいっぱいになってたりする。
そんななかで、メイスンははったりを効かしたワナをかけ、真犯人を見つけ出す。
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