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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

理想を現実にする力

2017-05-20 18:49:03 | 読んだ本
佐藤天彦 2017年4月 朝日新書
前回から将棋つながり、羽生さんの本と同時に買った。
その羽生さんを、こともあろうに名人戦で破って、戴冠した天彦名人の棋書ぢゃない本。
(こともあろうにというのは、持ち時間が短い棋戦なら若手が一発入れるかもしれないが、二日制で羽生の堅塁を抜くのはまだ無理ではと思ってたから。)
こういうのは、っていうのは、棋士とかスポーツ選手とかにビジネスに強引につなげるような筋道で書かせたんぢゃないかというような本は、あんまり興味はなかったんだけど。
でも天彦名人のものの考え方って、これまであんまり耳にしたことないような気がしたんで、ひとつ読んでみようと思った。
たとえば、天彦名人といえば、なんといっても、奨励会で次点二回とったのにフリークラス入りを選ばなかったっていう経歴がすごいからねえ。
どの棋士も、三段リーグにだけは戻りたくないって言うのに、そこに居残るのはどういう判断だったのか、そこに何か隠された真実があれば知りたいと思ったが。
本書によれば師匠のコーヤンの意見だったようで、本人はどっちでもよかったようなこと書いてるので、ちょっと拍子抜けした。
天彦名人の将棋に関しては、よくわからないんだけど、勝ちを急がず、局面を複雑化させることを厭わない、っていうイメージがあるが。
将棋の勉強法については、プロになってからあらためて棋譜並べをして、クラスが上がんない期間でも、基礎固め・土台づくりをして実力を養ってるという意識があったようで。
かっこいいのは、
>私は、努力に比例した見返りが必ずあるという考えは持っていません。(p.150)
というところかな。そういう考え方には賛成。
あと、とても感心したのは、
>私が奨励会時代やプロになってなかなか芽が出なかったときに実行していたのが、そのつらい瞬間を人生全体から俯瞰して見る、ということでした。(p.192)
ってとこ。
>そう考えると、仮に八十歳で寿命が尽きるときに自分の人生を振り返ったとしたら、三十歳のときのしんどい出来事もきっと懐かしい思い出になるような気がするのです。(p.193)
って、そういう二十代、ふつういないと思う。
本日は、最後の電王戦で、ソフトと戦っているけど、いま現在かなり苦戦の模様。がんばってください。
コンテンツは以下のとおり。
第1章 すべては理想を持つことからはじまる
第2章 劣勢をはね返す逆転の心がまえ
第3章 奨励会を生き抜くということ
第4章 名人を生んだ低迷期の過ごし方
第5章 勝負は感情で決まる―天彦流メンタル訓練法

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