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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

横しぐれ

2017-06-18 18:31:39 | 読んだ本
丸谷才一 1990年 講談社文芸文庫版
ことし1月だったかな、古本屋で買った、丸谷才一の短編集。
1992年の三刷だけど、以前の持主の'95って書き込みがあるよ。
収められてるのは四編。
「横しぐれ」
国文学研究者の「わたし」が語る中編。
町医者だった父が、亡くなる前に話した戦前に四国に旅したときの思い出話、そのとき出会ったという乞食坊主について、息子は山頭火だったのではないかと想像する。
話上手でうまいこと酒をおごってもらった坊主は、横しぐれという言葉にえらく感心して去っていったという。
横しぐれという言葉については、源頼政がある歌合のときに用いたところ、判者の藤原俊成が「優にもきこえすやあらむ」とか咎めたという由来があるという。
語り部の「わたし」は、
>さういふ正統思想、古典趣味、保守主義と決定的に対立する何か直接的なもの、露骨なもの、粗野なものを、この「横しぐれ」といふ言葉は持つてゐるのだ。(p.67)
と分析しているが。
どうでもいいけど、巻末に「文庫版のためのあとがき」っていうのがあって、著者がこういう題材をこういうふうに書きたかったと解説したりしている。
書きたいことを書きたいように書けるんだから、やっぱ、うまい。
「だらだら坂」
若いときにした喧嘩の記憶のひとりがたり。
戦後五年目の道玄坂近辺で、刃物をもってカネをたかるゴロツキ三人と喧嘩した話。
「中年」
新聞社につとめる四十男の話。
死んだ姉の思い出や、兄は自分のことを故郷を捨てた裏切りものだと怨んでいたのだと気づいたことなどが、物語の流れのひとつ。
もうひとつの織糸は、、むかし家庭教師として勉強を教えてやったことのある、今は新劇俳優の男の結婚にまつわる相談にのること。
「初旅」
新宿に住む高校三年生になる有吉が、母と叔母に頼まれて、家出をしたらしい従弟の啓一を探しにいく。
手掛りははっきりしないが、盛岡の牧場で働きたがっていたというので、ひとり汽車に乗って盛岡へ旅することになる。

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