many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

月と六ペンス

2013-11-06 21:58:18 | 読んだ本
サマセット・モーム/中野好夫訳 昭和34年発行・昭和63年改版 新潮文庫版
だいたい私の読書傾向ってのは、かたよってると思うんだけど、ときどきポツンと単発で持ってる本があったりして、これはそのひとつ。
単発でってのは、ある作家なりシリーズなりを追っかけて、いくつも読んだり続編もとめたり、ってんぢゃなく、それひとつしか読んでないだろうな、って意味。
当然、いまとなっては、何故にいつ読んだのかとかも忘れてたりする。
持ってるのは、平成4年の65刷だ、この文庫。
モームは、ほかに読んでないよ、たぶん。いや、まちがいなく、これひとつだな。
いわゆる世界文学の定番の名作って、意外と文庫でも持ってない、私。
これは、実際に読んでないってのがひとつと、学校通ってた時代に図書館で借りて済ましちゃってたってのがひとつの理由だと思うんだが。
しかし、これ平成4年に読んだ意味がわかんない、自分でも。
まあ、私の気まぐれな本の読み方はどうでもいいとして。
どんな話だか忘れてたんで、読み返してみた。
いつの話だか知らないけど、なんか退屈な出だしだな、なんて思ってたんだけど、主人公チャールズ・ストリックランドが家族をほっぽって家を飛び出したあたりから、俄然おもしろくなって、あとは勢いで読んぢゃった。
そうそう、ゴーギャンをモデルにしたって話だった。
株式仲買人が、あるとき憑かれたように、それまでの人生を投げ出して、絵を描かずにはいられないってことになるんだが。
ひょんなことからそれに関わりあっちゃった作家が語り部の役をつとめる。
で、主人公の描く絵ってのが、ちょいと変わった物の形の描き方や色づかいをしてるんで、どう見ても人生の選択間違ってんぢゃないのって言いたくなるんだが、自分の描く絵は凡庸だけど他の画家の才能を見抜くことについては卓見に富んでるパリに住む男が、これを支持する。
コメント
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