医療の国際化、世界でのそのすさまじい勢い(日経新聞記事)

2009-11-23 19:30:34 | Weblog
医療の国際化、世界でのそのすさまじい勢い
                       11月23日、東京通訳アカデミー

さて、すべての分野に於いて国際化が激しく進んでいることの象徴とも思われるのが、わが国で鎖国的な代表例と思われてきた「医療の分野」における最近の劇的な変化でしょう。
もちろん、未だほとんどの医療施設が深い鎖国の眠りの中に有ることは事実ですが、これを打ち破る勢いの黒船到来にも例えられる大きな事柄が、太平洋の荒波に面した海岸・千葉県鴨川市で起こっています。(1853年のペリーの黒舟到来後、150有余年を経過していますが…)
フランスで始まった「国境なき医師団」の活躍が世界中に知られ行き渡り、ノーベル平和賞まで授与された事実は私たちの記憶にも新しいことですが、そのこととは趣旨や原因・内容等は全く異なりますが、今度は、安くて良い医療を求めてやまない人たち自身の移動が、国境線を大きく超えて地球を半周・1週もする勢いとなりつつあることを、下記資料として掲載の日経新聞の記事が詳しく伝えています。

しかし、この記事中の随所に明記してあるように、医療の国際化推進に於いては、患者と医療機関との間の言葉の橋渡し役を務める医療通訳士の活躍が欠かせません。
その任務を遺憾なく遂行するためには、医療通訳士の能力として、特別に優れた語学力と共に医学的な素養も相当広範囲にわたって必要とされます。
そこで、医療通訳士の学校「東京通訳アカデミー」は、①特定非営利活動法人 日本通訳案内士連合の支援を基に、②国際文化交流推進団体のCoolJapanaExpo株式会社、③派遣と職業紹介事業のCool World Expo株式会社、 そして④通訳技能の検定試験等を行う一般社団法人日本教育者セミナーなどからも大きな支援を得ながら、現在、英語の医療通訳士講座と中国語の医療通訳士講座とを開講し、受講生の全員が公私ともどもに熱心に学習に取り組んでいます。
そして、来年の早春の時期に第1期卒業生・技能試験合格者を輩出予定です。
しかし、まだまだ人数的には極めて少なく、今後の全国での高まる需要に対応するには、更に生徒募集や教育体制にも改善と工夫を加える必要があります。
どうか、医療の国際化推進と医療通訳士の養成に、皆様方のご理解とご支援をよろしくお願いします。
以上

資料

国境越える医療ビジネス
(日経新聞2009年11月21日付)
医療の分野で国境を越えて海外から患者を受け入れるビジネスが本格化してきた。
特に、積極的に取り組んでいるのが、タイ、インドやシンガポール・韓国などのアジア勢。
急速な高齢化をにらみ、国際医療ビジネスを成長産業と位置づけ、官民を挙げて受け入れ体制の整備を急いでいる。

約700人の医師を抱えるタイのバンコク病院。患者に薬を手渡す窓口では、クラシック音楽が流れ、高級ホテルの雰囲気を演出しているかのようだ。この病院の患者は、約2割が外国人だ。米国やアラブ首長国連邦など世界各国や地域から訪れる患者に対応するため、約15カ国語の通訳を常駐させている。
バンコク病院の売り物は、欧米並みの医療技術と割安な治療費、高度なサービスだ。医師の7割近くは、欧米などで研修や教育を受け、全員が英語を話す。入院病棟はすべて個室で食事も3種類から自由に選ぶことができる。ソムアッツ院長は、「一般企業と同じように顧客の要望にキメ細かく対応している。」と話す。
タイの大手医療機関が外国人受け入れに舵を切ったのは、1997年のアジア危機で新規顧客の開拓を迫られたのがきっかけである。そして、2001年の米国同時テロ以降は、米国などに長期滞在して治療を受けるのが難しくなった中東の富裕層が訪れるようになった。
このような医療ツーリズムを推進する政府の支援もあり、2008年に受け入れた外国人患者数は、136万人にも上る。
この大規模な医療ビジネス(メディカルツーリズム)でタイ国を追い上げるのがインドである。ニューデリー近郊にあるメダンタ病院のトレハン会長は、「心臓手術ならタイの半額以下で提供できる」と鼻息が荒い。
メダンタ病院は、東京ドーム4個分の敷地に45の手術室と約1600の病床を備える。想定する患者は、ネパールなど周辺国や中東の富裕層達である。入国ビザの取得支援や空港への送迎、通訳手配などのサービスも整えた。
インド政府も観光省が今年7月に主要な国際空港に外国人患者の専用の入国審査窓口を設置するように提案するなど、受け入れを支援している。
美容整形が有名な韓国も医療ツーリズムの誘致に動き始め、今年の5月には、韓国政府は、治療目的で滞在する外国人を対象に専用ビザの発給などを開始するとともに、医療機関には、外国人患者を誘致する活動を認めた。
ソウル市内の病院にはハングル語と共に、日本語や中国語の看板を掲げるところも登場。
美容整形に加え、健康診断やガンの治療といった幅広い分野で外国人患者を呼び込む努力をしている。

コンサルティング会社の米デロイトによると、医療ツーリズムの市場規模は、10年には1000億ドル(約9兆円)規模に拡大する見通しである。理由は、主にコストの安さだ。医療ツーリズムに詳しいジョセフ・ウッドマン氏によると、タイで心臓バイパス手術を受ける場合の基本的な費用は、200万円程度。米国の3分の1か5分の1になる。
米国では医療費の高騰もあって、2012年には治療を目的とする渡航する人が160万人にも達すると言われている。
もう一つの理由は、「新興国の医療水準の向上」である(東京医科歯科大学の川渕孝一大学院教授)。医療機関についての国際的な評価基準であるJCI認証の取得や設備の充実度、医師の経歴といった情報が、インターネット上で簡単に得られるようになったことも背景にある。
アジア各国の動きに背中を押されるかのように、日本でも外国人患者を受け入れる試みが始まった。経済産業省は、医療ツーリズムがサービス産業の活性化につながると判断し、医療機関や旅行会社などと協力して、年内をめどに医療ツーリズムの促進に向けた調査を開始する。
外国人観光客の増加を目指す観光庁も有識者らによる研究会を立ち上げた。
民間では、千葉県鴨川市の亀田メディカルセンターが、今年の8月に国内の医療機関で初めてJCI認証を受けた。「認証の取得で外国人患者の増加を目指す。」(ウオーカ―特命副院長)国際医療ビジネスに参入すれば、医療技術も高められると考えている。
外国人患者の誘致に取り組んでいる国は、東南アジアを中心に30カ国以上とみられる。
医療ツーリズムは、通常の旅行に比べて支出額が多く、外貨獲得の有力な手段にもなる。
「日本では医療を産業と考えることに抵抗がある」(国際医療福祉大学・開原成允副学長)が、ビジネスとしての医療を国家の成長戦略と位置付ける国も少なくはない。
実際に外国人患者の受け入れによる国際的な知名度を生かして海外に進出するケースも出てきた。バンコク病院がアブダビに病院を開設する予定の他、インドのアポロ病院グループは、中東やアフリカで医療機関のチェーン展開を計画中だ。欧米の医療技術を吸収したアジアが低コストを武器に、国際医療センターに成長する可能性もある。
(国際部・宮下奈緒子)
深読み推薦図書
① 「グローバル化する医療(医療ツーリズムとは何か)」多摩大学 教授 真野俊樹先生(岩波書店)
② 「メディカルツーリズム 国境を超える患者達」ジョセフ・ウッドマン氏(医薬経済社)

資料
① 「医療ツーリズム」・・・病気やけがの治療などを主な目的とする海外渡航を目指す。コストの安さ、待ち時間の短さなどが魅力となっているようだ。ガンや心臓病の手術といった本格的な治療から、美容整形、健康診断に到るまで対象範囲は広い。医療機関に長期滞在して治療を受けるだけではなく、家族・付添い人向けや完治後の保養の一環として、実際に現地での観光を組み合わせるケースもある。
医療ツーリズムへの取り組みは、タイやシンガポールなどの東南アジアが先行したものの、最近はインド・韓国の他に、メキシコやコスタリカ、ハンガリーといった国々までもが力を入れ始めている。

② JCI認証・・・米国イリノイ州に本部を置く国際的医療認証機関。ンした上で、医療水準や病院設備、職員の対応などを綜合的に判断したうえで、基準英とされ、を満たした医療機関に
対して認証を与えている。
「国際的なレベルで高度な医療サービスを提供できる医療機関」かどうかの第三者的な判定とされ、欧米の保険会社が保険を適用する際の目安にすることも多い。アジアや中東を中心に外国人患者の受け入れに取り組んでいる医療機関が積極的に取得している。
現在は、約40カ国・300前後の医療機関がJCI認証を取得している。

③ 治療目的で海外に渡る米国人の数
 2007年=約80万人
 2012年=160万人(予測)

④ 国別=外国人受け入れの主な治療の種類
 ()タイ・・・心臓病・整形外科・ガン治療・神経内科
 ()シンガポール・・・がん治療、心臓病、整形外科
 ()インド・・・心臓病・ガン治療・整形外科
 ()韓国・・・美容整形・人間ドック・ガン治療
 () ドバイ・・・がん治療・整形外科
 () ブラジル・・・美容整形・減量治療
 ()ハンガリー・・・歯科治療
()メキシコ・・・歯科治療・美容整形
()コスタリカ・・・歯科治療・美容整形
以上

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