『5.5畳記』  鴨長葱 著

プチ世捨て人の痛い雑記by人生挫折オンリーの40代屁垂れフリーター

プチ世捨て人もビックリ!?

2016-12-24 15:36:43 | 読書
  図書館で本を借りて読みました。例によって外国人の日本滞在記です。今度の外国人はインド人のシャルマ氏です。題名は「喪失の国、日本」。著者はインドの調査会社の調査員としてインドの経済成長のための参考として、日本の調査を命じられて来日しました。1990年代前半に2年弱日本に滞在して日本に対して様々な感想を持ったようです。



  他の日本滞在記でもあるとおり、日本人は正直者で礼儀正しいという印象は持ったようですね。こういう記述を何度も読むと逆に外国に行くのが怖くなってしまいますね。まあ、相対的に日本人が他国の人と比べて正直で礼儀正しいだけで、日本人も腹の中では黒いことを考えたりしてることもありますね。



  上記の通り、日本を褒める記述もありますが、日本に関して理解に苦しんだり、辛らつな言葉を並べることもありますね。でもユーモアを交えて書かれていることが多いです。中でも「インド人もびっくり」のフレーズが出てくる日本のカレーについての記述は面白かったです。これに限らず、著者は読者を飽きさせまいとして、常に面白おかしく筆を進めようと苦心していると行間から感じとれる気がしました。


  著者はさらにサービス精神を発揮して、自身の恋愛感情まで披露してくれました。ここに出てくるスローチャナーというインド人女性はフィアンセがインドにいるのですが、著者は彼女を好きになってしまい、こんなお願いをしているわけです。彼女もそれを感じ取り、気の利いた返答をしています。後日彼女から箪笥の裏の文字を見たと連絡が来たようですね。

  
  後はカースト制が残るインドならではの視点もありましたね。例えば、インドではカラオケは普及しない、何故なら、歌を歌うのは下位カーストの人達で、そうじゃないカーストは歌を聴く方だ、という記述がありました。


  この本の結論としては、表題にもある通り、著者は日本を喪失の国と捉えました。具体的には、経済成長を重視したあまり、日本の伝統的な習慣や佇まいが失われてしまったというものです。京都を旅行して日本の伝統文化に感動した後、大阪に移動して失望してしまったという記述もありました。これは他の日本滞在記でも見られたもので、幕末に来日した外国人が明治時代になって再来日して西洋化した日本をとても残念に思ったという記述と似ています。


  グローバル化と称してアメリカのような貧富の格差が世界へ拡大し、殆どの人が消費文化に踊らされている先進国の現状を日本を通して感じ取り、インドも同じ道を辿ってもいいのか自問自答するようになり、最終的には著者はインドの先進国化に加担することから降りて、インドの伝統的な布を海外に輸出する貿易会社を経営することに方向転換しました。


  このようなインド人もいるのですから、伝統文化だけでも日本は世界の人の関心を呼ぶことが出来るという見方もできる気がします。資源の乏しい日本が背伸びして経済大国でいるよりも、2番じゃいけないんですか、どころか経済順位世界20位くらいに後退して、海外の資源や原子力に頼らず、質素に生活して伝統文化を重視した観光立国になるというのも一つの手かなぁと思いました。

 最後にこの本で驚いたことを書くと、訳者はインド旅行をしてこの本の原本をインドの古本屋で手に入れるのですが、その後立ち寄った町で訳者に声を掛けたのが偶然にも著者だったのです。9億分の1の出会いだと書いてありました。こんなこともあるのですね、ちょっと出来すぎだと勘ぐりたくなりますが。著者は現地語の原本を英訳してあげると申し出て、この日本語訳本が完成するに至ったようです。色んな面で面白かった本ですね。



<<追記>>

  アマゾンのレビューを見ましたが、訳者が著者を装って記述しているのではないかとレビューしている方がいましたね。もしかしたら、そうなのかもしれません。9億分の1の確率で作者と偶然出会ったというのがなかなか信じ難い話ですし。昔、図書館で借りたイザヤ・ベンダサンというユダヤ人の人が書いた日本論がありましたが、その著者も実は日本人だったらしいです。私はメディアリテラシーならぬ読書リテラシーをもっと身につけなければならないのかもしれません。まあ、仮に訳者=著者だとしても、読みやすくて面白かったですね、こういう感想を持ってしまうこと自体が情報操作しようとしている人の術中に嵌っているのかもしれませんが、汗。
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4 コメント

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Unknown (だめお)
2017-01-11 14:33:15
筋肉少女帯の「日本インド化計画」という歌が昔流行りましたが、日本文化の源流の一つがインドですから、インド化するのも一興かもしれません。
Unknown (ちょうそう)
2017-01-13 06:31:31
  日本もカースト制が強化されてきた感があります。私は最下層に分類されますね、涙。
Unknown (すずき はなこ)
2017-04-15 10:23:47
某芸能筋から聞いた話ですが、
昔、白洋舎の社長がインドから出航のクルーズ船に搭乗したとき、カースト制度のどん底の扱いを経験されたそうです。

恐るべしカースト制度。
Unknown (ちょうそう)
2017-04-16 17:46:27
>すずき はなこ さん

  そうなんですか!外国人はカースト制の下層にあたるのでしょうか?

  よく人生観が変わるからインドへ行け、なんて聞きますけど、外国人が下層カーストだとしたら、行きたくないですね、汗。

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