亀の啓示

18禁漫画イラスト小説多数、大人のラブコメです。

美月と瑛子と、そしてシン⑤

2017-07-29 17:27:26 | 美月と瑛子と、そしてシン
「とうとう明日で終わりだね。」


美月は俺にぴったりと寄り添ってくれる。

「さみしい。会えないの。」

「ふふふ。そうだろう?俺だって寂しいさ。」

「また、あそんでね。」

「もう。可愛いな。」

俺は美月のほっぺたにキスした。

「きゃん。」

美月は驚いたようだったがすぐに笑った。

「ま。いいか。もうだめだよ?」

上々だ。美月は俺を好きだ。きっと。

あの男の次に。


頭を撫でながら、耳元で囁く。

「ふふ。あいしてるよ。」

ちょっぴり耳にキスをヒットさせながら、
からかってみた。

「あん。だめっていったでしょう。」

俺の頭をぺちんとはたいた。

「ありがとう。美月。お前のお陰で
一ヶ月しっかりできた。」

「そんなことない。シンちゃんの力だよ。」

明日は、中学の理科の研修会が入っていて。

美月は朝も学校には入らずに直行直帰だ。




最後の日、高校の理科教師数名が
飲みに行かないかと誘ってくれた。

俺の教科は数学だったのに、
準備室に出入りしてる間にすっかり理科色に
染まってしまったのだ。

美月がいれば言うことなかったが。

みんなにお世話になった。

これが終わって大学に戻れば、今度は論文が。

一時でも忘れたい。今夜は飲むぞう。

「カンパーイ!」

「シンちゃんには残念なお別れ会だよな。」

「そうそう。美月がいないんだから。」

坂元先生も、牛島先生も口々に俺をからかう。

「まあ。あいつが居たら、もっとよかった
かもしれませんけど。」

「なになに?松尾くんて、美月ちゃんのことすきなのお?」

大森先生は両サイドにしか髪の残ってない、
小太りの波平みたいな人だ。

美月も懐いていた。

抱きついて。腕を組んで。

笑いながら寄り添う。

「ぼくも30若かったら、美月ちゃんは
好きになっちゃったかな。」

意外な一言が出る。

「俺も美月ちゃんにはぽ~っとしたことある。」

え?牛島先生も?

「でもうっしーは、酒で潰そうとして
痛い目あったんだよ。」

「坂元先生も教えてくださいよ!」

美月はひどく酒に強い。
酔ったことないんじゃないかなあ。

「でも、酔ってぐるぐるになったうっしーには
優しかったじゃないか。美月。」

「ああ。膝枕してもらった。気持ちよかったなあ。」

「美月は弱きものにはやさしい。」

坂元先生はある定理を証明したかの
ように言い放った。

なんか、俺って何だろうか?と思う。

美月には俺は本当に「弟」なのか?

「愛」はあるのか?

「同情」なのか?

酔った時やさしいのは、同情。

大森さんにやさしいのは、いたわり。

「坂元先生には?美月、やさしいですか?」

俺が見ている分にはこの二人、特別なことは無い。

「俺は、兄貴。残念ながらそんだけだ。」

美月は坂元先生を兄と思って甘えている。

それだけなのだと。

「残念なんですか?」

俺が小声で言うと、坂元先生も小声で返す。

「あたりまえだろ。自慢の肉棒で突きまくりたい
位は思ったことあるぜ。」

「へ?」

「あはははは!冗談だよ、冗談!」

あれ、冗談じゃねえぞ。ぜったい。

「俺も若い頃は、セックスする女には困ったことねえよ。」

「また坂元先生。武勇伝ですか?」

牛島先生が合いの手を入れる。

「美月が俺の前に現れてから、女運はめちゃくちゃだ!
ちっともかからねえ。」

「奥さんゲットしたじゃないですかあ。」

「うっしー!男と生まれて、女房一人で
打ち止めでいいのかよ!!」

あ。なんか坂元先生、酔ってる。

「ばか。浮気なんか出来ないくせに。」

「なんだとう?」

俺もいっしょに振り向いた。
坂元先生も驚いていた。

「美月。」

「いよ。」

美月は坂元先生のすぐ後ろに立っていて、
肩にそっと手を乗せている。

「男は酔っ払うと大きく出るね。おばかさん。」

「美月い。内緒、内緒な!!」

美月は坂元先生と俺の間に座った。

「どうせ、こんな中じゃ酔えないんでしょ?
賞平くんが脱線しないように見ててね。」

「あ、ああ。」

俺はコンパにしろ、飲み会にしろ、酔わない。

本当に気を許した友達数人としか、
酔っ払うまで乱れたりしないのだ。

美月には、死ぬほど酔わされたわけだが。

美月は大森先生の方へ行ったり、
牛島先生の横に行ったり。

ひとしきり挨拶すると戻ってきた。

「おうい。美月。シンちゃんとキス位した?」

酔ったおっさんが露骨にセクハラをしてくる。

「なんだ?賞平くんもしてほしいかね?」

「えっ!!」

俺は『賞平くんも』に反応し、

坂元先生は『してほしい』に反応して
真っ赤になった。

「そんなことするわけないでしょう?ばかだね。」

俺は胸がドキドキして、くらくらと
めまいがしそうだった。

もう一回したい。舌を絡めたい。
吸いあって感じたい。はうう。

体中にキスして感じるところを舐めてやりたい。

はうううう。

「そこですごい勢いで反応してる君。ほら。」

美月が冷酒の入ったグラスを差し出す。

「少しは飲んでからにして。
酒で誤魔化してくんないと。」

「そ、そうだな。」

「したんだろう?」

そこへ坂元先生が真顔で割り込む。

「もう。賞平くん、ひつこいよ。」

あしらって席を立った美月。

「したんだろう?」

今度は俺に狙いを定めたみたいだ。

「しました。舌は入れさせてもらえなかったけど。」

「…マジ??」

思ったよりもうろたえてる坂元先生だった。

「なんか。美月は思ったより上手く
自分の中で整理つけてるみたいです。
ホントは指を舐めて感じさせちゃったんだけど。
泣かれて困ったな。」

「え?美月指が性感帯なの?」

「ええ。ああん、はああんってすごかったあ。ふふふ。」

「よく殴られなかったなあ。」

「へへ。その後ですよ。キスさせてもらったの。」

「なんだよお、そりゃあ。」

坂元先生はすごく気にいらなそうだ。
さすがよっぱらい。

「みずきいい。俺にもきすさせろおお」

「はいはい。」

そういいながらも、美月は抱きついてくる
坂元先生の顎をとって斜めに捻り上げた。

顎が変形して見える。

「美雪ちゃんがいなけりゃ、
チュウくらいしてあげるのに。」

美月は坂元先生の頭を撫でた。

横にころりと転がすと、坂元先生は
すうすうと寝息を立て始めた。

「かわいいでしょ。酔っ払いって。」

「あ、ああ。」

「あたし、ずっと酔っ払いをしらふで
見続けてきたから。なんかかわいくって。」

「俺も酔っ払ったらなに言われてるかわかんないよね。」

「そうだね。気をつけたほうがいい。」

俺たちは笑った。





俺は美月を家の前まで送った。

最初で最後だ。きっと。

「美月。また、会って。」

「うん。でももうキスはしないよ。」

「…そうなの?」

「だって。舌、入れたくなっちゃったら。
いやだもん。」

俺はうれしかった。
なっちゃったんだ。あのとき。

「バイバイ。」

美月は俺のほっぺたにキスしてくれた。


そのあと、美月と二人っきりで会うのは、
娘の学校の二者面談になる。


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