酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

読書三昧(29年5月)

2017-06-01 22:23:33 | BOOK



読書三昧(29年5月)

医者から、とうとう使える薬がなくなったとの宣告。
まあ、あとは体力勝負。おいしいものでも食べて、のんびりしよう。

5月に読んだ本
山下澄人『しんせかい』
森晶麿『僕が恋したカフカな彼女』
恩田陸『錆びた太陽』
原田マハ『サロメ』

☆山下澄人『しんせかい』
第156回芥川賞受賞作品。
作者は、ドラマ「北の国から」を書いた倉本聰の主宰する富良野塾の二期生。入所からの生活をそのまま小説にしているように見えるが、作者いわくそうでもないらしい。
若くてとぼけた主人公に好感が持て、芝居の好きな私には内容的にも面白い。ただ芥川賞を受賞するほどの小説かと言われるとちょっと疑問。
ともかく人の名前がずらずら出てきて読みにくい。
独特の文体や自分を客観的に見る自分を登場させるなどを、味のある文章と見るかどうかは読み手の感性で違ってくるだろう。

☆森晶麿『僕が恋したカフカな彼女』
高校生の恋に無理やりカフカが入っている感じ。多少カフカに興味があるので、一応面白く読んだが、一般的にはどうなんだろう。ミステリー的な部分も意表をつかれることもなく、全体的にはまあまあかな。

☆恩田陸『錆びた太陽』
直木賞の「蜂蜜と遠雷」に次ぐ長編第一作という。
これが同じ恩田作品とは思えないすっとぼけた作品。原発事故汚染以後の制限区域を守るロボットたちのもとへ、人間の国税庁職員を名乗る風変わりな女性、財護徳子がやってくる。その目的は何なのか。最後まで明かされないまま話はすすむ。
中で徳子とロボットの噛み合わない会話が面白い。吉本の「のり」みたいなところもあり笑える。
内容は突拍子もないが、この作者の文章力と発想は抜群で最後まで引き付けられる。
軽いのりのまま終わるが、背景に原発の無駄、戦争のむなしさなども匂わせている。

☆原田マハ『サロメ』
またまた原田マハの美術もの。今回はオスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』の挿絵を書いたオーブリー・ビアズリーのこと。内容は主にその妹メイベルの目で描かれる。3人以外にも癖のある人物が登場し面白い。ただ作者のサロメへの思いが強くて、ドラマティツクに仕上げ過ぎたように私には思えた。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
読書三昧 (山茶花)
2017-06-02 10:53:07
お医者様は「使える薬が無くなった?」そう、自然治癒力に頼りましょうまめにお散歩もして足の弱った私は羨ましいです

読書三昧参考にしています 時間がたっぷりあるので今は「宮澤賢治コレクション1から3」を読んでいますが3の初めは怖かったです それではくれぐれもお身体ご自愛くださいませ 山茶花
読書三昧 (酢豚)
2017-06-03 20:48:35
山茶花様

ご無沙汰です。しばらく会えず残念です。

宮澤賢治といえば、通信で詩を勉強した懐かしい記憶が・・・。

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