酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

読書気分(29年8月)

2017-09-03 23:06:10 | BOOK



読書気分(29年8月)

抗がん剤中止で副作用が無くなって楽になるかと期待していたのですが、そうはうまくいきません。手足のしびれは消えそうにありませんし、体のだるさもそう変わりません。
それでもお腹の調子は改善し、本は少し楽に読めたのが救いです。

8月に読んだ本
川瀬七緒『フォークロアの鍵』
桜庭一樹『じごくゆきっ』
二宮敦人『最後の秘境 東京藝大―天才たちのカオスな日常―』
鈴木弥生子句集『大津』

☆川瀬七緒『フォークロアの鍵』
痴ほう年寄の心の奥の物語を聞き出し、論文作成を目論んでグループホームに入った大学生の羽野千夏。
有名私立高校に入学したが、不登校で退学を言い渡された立原大地。
前半は二人苦難の物語が並行して進む。
そして二人の話が交差したところから、おどろおどろしい新しい物語が・・・。
内容はかなり強引だが、小説と割りきれば結構面白い。民俗学的味付けが他の作品と一味違うところ。

☆桜庭一樹『じごくゆきっ』
女性作家らしい、細やかな心の動きが感じられる短編7編を収録。
ただちょっと世間からずれた人物が登場し、作者独自の世界があるので、素直に入れない読者もいるかもしれない。
私は前半のシュールな「ビザール」、SF的な少女アイドルの話「A」が面白かった。

☆二宮敦人『最後の秘境 東京藝大―天才たちのカオスな日常―』
奥さんが芸大生という作家が書いた東京芸術大学の裏話。美術を専門とする美校と音楽をやる音校の雰囲気や生徒の性格の違いなど内容は具体的。学内を巡ったり、生徒個人にインタビューして裏付けも十分。
ただもっとハチャメチャな話を期待したが、以外に真面目な芸大レポート。芸大に関心のある人にはお勧めだが、ミーハー的読者にはもの足りないだろう。

☆鈴木弥生子句集『大津』
箱庭に夕立をやる時刻かな
間仕切の向うは牡丹鍋らしき
玉三郎観にゆく髪を洗ひけり
風鈴の二階に鳴つてゐて眠し
雪うさぎ輪島の盆にかしこまる