メキシコの隅っこ

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手作りトルティーヤ

2008-06-07 12:20:37 | 食べ物・飲み物
チャヤの写真を撮らせてもらった民家というのが、ですね、
メリダ旅行でウシュマルとかに行くツアーに参加したんですが、
そのツアーガイドさんが、「伝統的マヤ民家」を見せてあげよう、という話を持ち出し、
まあこれ、ぶっちゃけ、ツアーを組んでる会社とは別口にコッソリ、
ガイドさんの身内とかなんだろうな、とは思いましたけど、まっいいか。

マヤ民家自体は、私はよそでも見てるし泊まってるし、
写真は別に撮らなかったんですけど、
手作りトルティーヤだけは、普段から見ていても写真はなかなか撮れないので、
このチャンスにばっちりと。



手前のお椀に入ってる白いものが、トウモロコシの挽いた粉をこねた「マサ(塊)」で、
それを適量手に取ってクルクルと丸めて、両掌でパンパンとたたいて広げます。



そして、右手にある鉄板の上で焼いて、出来上がり。

食べさせてもらいましたけど、ちょっと生焼けだった。
まあいきなり(でもないのかも)大勢のガイジンが押しかけてきたら、しょうがないか。

訊いてみたところ、この家族は大人子供含めて8人で、一日2kgくらいのマサから
トルティーヤを作る、とのことでしたけど、
まあその数字にどのくらいの信憑性があるのかは、やや疑問。
8人分としてはちょっと少ない気はします。

このマサは、トルティーヤ屋さんでも売ってます。
私も、メキシコに来てすぐに飼い始めたオウムがまだ幼くて、
何を食べさせたらいいのかわからず、人に訊いたら、このマサを食わせろと言われました。
マサを買ってきて、こういうふうに手で叩いて作る方法、
二枚の鉄板をカスタネットのように合わせてそのあいだで平らにする方法、
それからトルティーヤ屋さんで全自動の機械で作られるトルティーヤを買ってくる方法、
いろいろあります。
その人の技量と暇とに合わせて、ってことですね。

その昔、シティの大学に通ってたころ、校内にある屋台のタコスをよく食べたんですが、
そこのトルティーヤは鉄板ではさんで平らにする方式で作ってました。
それがまた見事に、満月のごとく真ん丸なんですよね。
あの鉄板に、何か仕掛けでもあるのかな、と日本人の友人たちと言い合ってたんですが、
そんなものはなくて、ただ一日に何百と作ってる人なので、
たぶん丸める段階で完璧な球形になっているのでしょう。
それを鉄板にはさむと、これまた完璧な円形に。
まあこれも、こだわる人とこだわらない人の差はあると思いますが。

トルティーヤ屋さんの、ブリキでできたあのレトロな機械、
一度とっくり観察して写真も撮りたいと思うんですが、
うちはそうそういつもトルティーヤを食べるわけではないので、
お馴染みの店というのもなくて、言い出せずにいます。
マサを作るための大きな釜に、セメントを混ぜる要領でぐいんぐいんとかき混ぜるもの、
それを人が適量(頭くらいの大きさに)取って、トルティーヤ機の口に押し込むと、
それがベコベコの筒を通りながらぺったんこにされ、丸く切り取られ、
クッキーのかたどりをしたあとのように、余った部分はまた下に落ちて
まとめてこねられ、また次のルーチンへ、という流れ、だと思います。
この機械発明したのは誰なんだろう、とかちょっと考えちゃいますね。

ちなみに、この細い枝を立てただけの壁(と言っていいのかどうか……)は
ユカタン地方では割とよくあって、
寝起きするところはしっかりとした泥の壁ですが、
ここのように作業をするだけのところはこんなです。
風通しがよくて、適度に明るく、かつ影にもなって、ちょうどいいんでしょう。



外には犬が、内には猫が、おこぼれを探してました。

これだけ見せてもらって(プラスアルファでチャヤも)、
ゾロゾロと入った観光客20人ほどから、それぞれかなりのチップをもらって、
まあはっきり言ってボロい商売やってんなあ、と思いましたけど、
(うちのダンナの一日の稼ぎに相当するだけ稼いでたような気がします)
こちとらいかにメキシコ在住であっても観光客の身には違いなく、
まあこれで、質素な暮らしをしてる人たちの懐が潤うなら、それもいいか、
と思いつつ、周りの同じような家を見ると、
やっぱり何となく釈然としないところもありながら、結局観光業の促進に協力してきたのでした。


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
改良 (カイマン)
2008-06-07 12:49:42
私が初めて見せてもらったときは木で出来たプレスで、なるほど昔ながらなんだって思ったんですけど、平らになったあと剥がしやすいようにビニールシートを敷いてるのがしっくりしませんでした。昔はバナナの皮でも敷いてたんでしょうか。
タコス☆ (あやたろう)
2008-06-08 05:48:00
たらふく食べて帰って来ました。
それで、いつものレストランで食べた時に感じた事。
今までよりも、トルティーヤの枚数が減ってた・・・って、
これはやっぱし原料のとうもろこしや小麦の大きな
値上がりのせいでしょうか。

それにしても、この「まんまる」は職人技ですね~☆

あ☆そうそう。
ちょうどサッカーやってましたが、メキシコの国内リーグ
かなんか?でしょうか。
緑のユニフォームのチームが勝って、トロフィー持って大喜び。
その後のTVのニュースでは、スタジオに選手たちが
呼ばれて興奮冷めやらぬって感じでインタビューを
受けてました。
言葉もよぅわからんのに、TV見ながら、亀さんを思い
出しておりました♪
トルティーヤ製造機 (Azul)
2008-06-08 13:00:23
自動のトルティーヤ製造機を発明したのは、ファウスト・セロリオという人らしいですよ。1947年の話です。子供の社会の宿題で調べさせられので。今は、"Tortilladora Celorio"という名称で、販売されているのですが、HPには「この機械は、以下の国々で使われています」とあり、意外なことに、その中に日本が入っていました。(http://www.tortilladoras.com/esp/sobnos.php) トルティーヤ製造機の歴史がわかります。
なるほど~ (亀)
2008-06-10 09:26:52
>カイマンさん
木製のって、さすがに私は見たことないな、ダンナも知らないって言ってるな、と思ってたんですが、
この日曜、珍しくバルバコアのタコスを食べに行こうって話になって、
道端の屋台だけどすごく人気のあるところに行ったんですよ。
そしたら、そこで使ってました、木製のトルティーヤプレス。
下駄みたいに二本の歯がついた上下でした。
やっぱりビニールシート使ってました。
ビニールがなかったころは……どうしてたんでしょうねえ。
トウモロコシの粉をうんとまぶしたりしてたんでしょうか。
バナナの葉っぱなら使ってたかもですね。
でもカイマンさんのおかげで、木製tortilleriaに注目することができました、感謝です!

>あやたろうさん
またまたカンクーンにいらしてたんですね~!
タコス、おいしかったですか。
でもそうなんですよ、メキシコ人の主食なのに値上がりで、
確かに枚数減ってると思います。
ファミレスなんかだと、3枚くらいしか来なかったりして、
まあ言えば追加してくれるんですけど……。なんかなあ。
で、サッカー、それ、国内リーグの決勝戦ですよ!!!
そうかぁ、あの試合、あやたろうさんも見てたのか!
緑と白の横縞チーム、サントス・ラグーナっていいます。
そこが優勝したんですよね。
半年前はカンクーンのチームが優勝して、すごい騒ぎだったと思いますよ、そちら。
サッカーもメキシコ文化の一部、そのうちまたチャンスあったら見てみてくださいね!

>Azulさん
こちらにコメントいただくのは初めてでしょうか? ありがとうございます~。
参考URL、すごい~、この機械、特許とか取ってるんでしょうかねえ?
日本やドイツにまで、って、まあこれは数台かもですが、
さすがに中米諸国から南米までかなり行き渡ってますね。
やっぱりトルティーヤは庶民の生活に欠かせませんね。
この機械、どういう仕組みになってるの、誰が発明したの、と訊いてもまるで知らなかったうちのダンナに、
「学校の宿題でそういうの出なかったの?」と問い詰めましたが(笑、
ン十年前の話、まだこの機械もそんなに普及してなかったかもです。
離れ業 (忍者)
2008-06-10 20:21:21
モンクローバの製鉄所に行ったとき見た忘れられない昼時の光景
圧延工場で熱した鉄を徐々に薄くする工程の途中で高速で流れる熱い鉄板にバケツから材料を取り出し3人が手で丸くして置くと途中にも人が居て素早く裏返す丁度出来上がりの場所では二人が熱い手袋をして取り出す ノンビリと作業するメキシコ人がこんなに機敏な動作が出来るのか驚きました
我が工場でも初期にボデーの溶接現場で車の床をトーチランプで炙ってトルテイーヤを作っていた輩が居たそうですが残念ながら現場を見損ないました
>忍者さん (亀)
2008-06-15 03:53:26
メキシコ人のスムーズな流れ作業、そんなものが存在するのか!?
軍隊の行進でさえてんでバラバラ、まったくそろわないこの国で、
と思っちゃいますけど、でもやる人はやるんでしょうね……。
むしろインディヘナの血の濃い、貧しい人たちほど真面目で真剣で、
一生懸命仕事をする人が多いイメージあります。
トルティーヤ作りも似てますね、単調な仕事だろうけど、誇りを持って
ていねいに、心を込めて作る。
口ばっかり大きくて何もしない人がのし上がる中で、そういう人が地道に働いているんでしょうね。
しかし……
>車の床をトーチランプで炙ってトルティーヤを作っていた
というのは、何とも、あはは、想像できるようなできないような、微妙なところです。
物がなくても何でも利用して工夫してやっちゃう、ってのはありますもんね、
そういう頭のよさ、なんか大好きです。
シンクロ (chamoy)
2008-06-16 10:11:57
なんだかこちらにコメントさせてもらうの、お久しぶりの気がします。ちょうど先日ユカタン半島(主にQ.Roo)に出張していたのですが、私もここでの取るティーヤ作りの話をブログに囲うと思っていたところだったので、すごいシンクロです。
なんでユカタンのトルティーヤの話を囲うかと思ったのかと言うと、私がここで見たトルティーヤの作り方は今までみたことのない作り方だったからなんですが、それは台に置いたMasaを手のひらで押して円形にすると言うもの。ちなみに、こっち↓に書いているのでよかったらまたお立ち寄りを。
http://mexicana.blog45.fc2.com/blog-entry-266.html
亀さんのブログの中ではその作り方ではなく、通常の両手のひらでパンパンとたたきながら作るものなのですね。ユカタンでも違うのだろうか?トルティーヤひとつでもいろいろ興味深いものです。
>chamoyさん (亀)
2008-06-20 00:52:28
記事はすぐに見せていただいたんですが、お返事が遅くなってすみません!
マサを掌で押して広げる……うーん、と思い出してみれば、
確かにそんな方法を見たことあります!
どこでだったっけなあ……。
それもやはり、カイマンさんが言及しておられるビニールの上でやって、
それをクルクル回して均等に押せるようにしてたりしませんでしたか?
でもこれってやっぱり少数派ですよね?
今では両手で叩いて作る人もすっかり少なくなったような気がします。

そう言えば以前に紹介したパツクァロのレストランでのお姉さんは
トルティーヤとは言わないのかもですが、巨大なやつを、
腕まで使って作ってましたね。
http://blog.goo.ne.jp/kamegomatamago/e/0bad2e93248b659071be0ac8754fe0aa
こういう技術を持った人たちが、消えて行くのは残念なことですけど……。