亀想天涯(きそうてんがい)

11カメ達との日々

魂の機関車

2016-01-07 19:57:00 | 日記

ガタン!ゴトン!
ガタガタゴトンゴトン!
僕は汽車に揺られていた。
電車での移動は大好きだ。
自動車の長距離移動は、
運転しないといけない。
それはそれで、爽快でもあるけれど、
電車の揺れは
心地好い眠気を誘う。
赤ちゃんの揺りかごみたい感じで。

ガタン!ゴトン!
電車ではなくて、
汽笛が鳴っているから、
蒸気機関車に乗っているのかしらん?
乗客は僕だけらしい。
何処へ行くのだろう?
車窓を流れ去る景色は
ザアザアと降る雨模様。
窓ガラスは雨粒が凍りついている。
その冷気と窓の隙間から
冷たい風が吹き込む。
すきま風は冷気で空気を凍らせ
身体が痛いくらい冷えきっている。
なんで、ずぶ濡れなんだろう?
余計に冷えるじゃないか?

ガタン!ゴトン!の音が
段々大きくなる。
鼓膜まで響くように。
汽車はトンネルに潜ったようで
俄に薄暗くなる。
冷えて痛み感じる爪先に何かがあたる。
黒く平べったい楕円形の石ころみたいな……

ウラシマさん?
こんな寒いとこにいたら
ダメでしょう?
手を伸ばして
ウラシマさん抱き抱えようと
屈したら
座席の間に転がり落ち
その弾みでか
窓が跳ね上がり、
冷たい雨が吹き込み
顔も髪も濡らす。

ガタン!ゴトン!
雨粒が頻りに顔にあたり
息が出来ない……!
ガタン!ゴトン!
ガタン!ゴトン!
ガタン!ゴトン!

起き上がり目を開けると
湯槽の中だった。

先日、4日。
夕方、カメ達のケースを洗っていて、
眠ってしまったようだ。
ナルコプレシー。
最近、また頻発。
多分、二時間は眠っていただろう。
浴室の扉は開いていて、
敷居の向こうに
サクヤ君、ナナヲ君、マルタ君、
カホル君、
敷居を登ろうと
ガタン!ゴトン!としていた。
ウラシマさんは、浴室に入ってきていて、
湯槽の端でこちらを見上げていた。

やっとの思いでシャワーの水を止め、
湯槽から這い出て
ウラシマさん抱きあげ、
「呼び戻してくれたの?」
「ありがとう」
ガタン!ゴトン!
音経ててくれた皆、
床に座り込み
這いつくばり
カメ達抱え
「ゴメンね」

ナルコプレシー発症の間隔が短い。
そろそろ、こっちへ来い
なのかな?
でも、多分、
十のカメ達は
僕を引き止めたのかもしれない。
僕は大丈夫。
大丈夫と自らに言い聞かすのではなく、
大丈夫と思いたい、
大丈夫と自らをコントロールするでもなく、
十いるカメ達の甲羅撫でながら、
大丈夫
大丈夫
大丈夫
浴室前にいたカメ達が部屋へ向かい
1体づつ入っていった。
部屋は明るく暖かだった。

今年に入り
目眩が度々。
冬から春にかけての頃は、
子供の頃から体調崩しやすくて苦手。
今年は年明け早々、春の陽気で、
身体も反応したのかもしれない。

僕は、
僕にはカメ達がいる限り
大丈夫。




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