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音律と響きの不思議・①・吹奏楽を聴いて思ったこと

2006年10月28日 | 音楽
先日、吹奏楽の演奏を聴く機会がありました。

自分の中学生の頃を思い出して、とても懐かしい気持ちになりました。

私の出身中学校はクラブ活動が盛んでした。吹奏楽部もその例に漏れず、
放課後練習は毎日、土曜日は弁当をもって夕方まで、日曜日は朝から夕方まで。
夏休み・冬休み・春休みは、土日関係なく朝から夕方まで。
本来休みと決められているお盆と正月にも休みを一部返上して・・・といった毎日でした。
給食がなかったので、母はそれこそ365日お弁当を作り続けてくれたのです。母は本当に大変だったなあ、今更ながらにありがたいと思います。



吹奏楽にロングトーン(ひとつの音を長く伸ばす)はつき物です。
全員でB♭(シ♭)の音をロングトーンで吹いていると、F(ファ)やD(レ)の音が聴こえてくることがよくありました。
その当時は友人達と「誰も出していないよね?」「不思議だね」と話しながら、その3和音の響きの美しさにひたっていました。


ひとつの音には必ず倍音が含まれています。
音の高さは波長で決まります。ある音の2分の1の波長の音ならば、1オクターブ高い音となります。
例えば、ドの音にはド・ソ・ド・ミ・ソ・シ♭・ド・レ・ミ・ファ♯・ソ・ラ・・
が含まれています。

ピアノで低音のド(じゃなくてもいいですが)の音を、ぺダルを踏んだままフォルテで弾き、しばらくするとハ長調のⅠの和音(ドミソ)の響きが聴こえてきます。これが倍音の響きです。


吹奏楽でロングトーンの時に聴こえてきたのも、この倍音だったのです。


それまでもピアノは習っていました。しかし、このロングトーン体験が、音や音楽というものに興味をもった最初の一歩だったのだと、懐かしくまた大切に思うのです。





ところで、
音の調律の仕方にはいろいろな方法があります。
上で倍音について書きましたが、
ある音・・・仮にドとしましょう。ドの2分の1の波長の音は1オクターブ上のドです。
波長を3分の2にするとソになります。
4分の3でファ、5分の4でミ・・・以下続けてゆくとハ長調のドレミファソラシドの音階を作り出すことができます。
このように純粋に波長だけを基にした音律が純正調です。
純正調のドミソの和音はブレがなく美しい響きがします。
但しこの方法だと転調ができません。派生音(♯や♭)を作り出そうとすると、少しづつ誤差が生じてしまうのです。

そこで、1オクターブを平均に12に分けて調律する平均律が考え出されました。

平均律の場合、どの音も、純正調とは僅かずつずれがあるため、完全に透き通るような響きはしません。
しかし、それを補って余りある利点があります。音楽の幅を格段に広げることができるのです。
派生音を使う。黒鍵を使う。転調する。移調する。これらは7音(ハ長調ならばドレミファソラシド)だけではできません。


音を出すための方法はその楽器によって違います。
ピアノは弦をたたいて発音します。一回音を出すたびに(ひとつの鍵盤の)音の高さを変えることはできません。なので、ピアノは平均律音律の楽器です。
声は自分で高さを決めることができます。一音ごとに微調整が可能です。
吹奏楽器・・・私が吹いたことがあるのはホルンとサックスですが、息の強さで音の高さを変えることができるので、こちらも微調整が可能。
弦楽器も抑える位置で微調整ができますね。

微調整が可能な楽器の場合、必要な時には純正調の(あるいは最も美しい)響きで奏し、必要な時には誤差を修正し・・・と言うことができるのです。
それだけ、正しい音程を出すことが難しいわけですね。

ウィーン・フィルの奏者が、曲の中の個々の音が何調の何の和音の第何音かと言うことを常に意識して演奏しなければならない・・・と言ったということを、以前何かの本で読みました。あまりのすごさに目がくらみました。
ヘタレピアノ弾きの私には想像もつきません。




大学時代、音律に関する授業で、面白い実験がありました。
順にド・ソ・ミの音を聴きます。回数は2回。
最後の「ミ」だけは少し高さが違います。
さいごの「ミ」を純正調音律と平均律の2種類で鳴らすのです。
(この段階で、どちらが純正調か平均律かは知らされません)

私には、一方は低く、一方は正しい高さに聞こえました。
しかし、私が低いと思った音が正しい高さで、私が正しいと思った音が高すぎると感じた人もいました。
ピアノ耳の私には、平均律が正しく聴こえたのに対し、
ヴァイオリンや声楽の人には、純正調音律が正しく聴こえたのです。
(もちろん、ピアノの人にも純正調が心地よかった人もいましたし、歌の人で、平均律が心地よかった人もいました。)

上で述べたとおり、和音を響かせる時、純正調のほうがブレがなくすきとおった響きがします。
合唱で、ドミソの和音を響かせた時、ミの音は少し低めにとると響きが良くなると指示されたときには、なるほどと思ったものです。
(続く。続きにはやっぱり「指輪」が出てくる予定←どうしてもそこに・笑)
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9 コメント

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いいないいな (ラッコ庵)
2006-11-01 20:06:04
みんな、音楽の話で盛り上がって・・・(イジケ~)
音楽は私の数ある弱点のひとつです。
倍音とか平均律とか聞いても???デス。
のだめちゃん、尊敬していマス。

>ドの2分の1の波長の音は1オクターブ上のドです。
そ、そうだったのか~。
勉強すると面白そうですね。
音の森へようこそ♪ (kali)
2006-11-02 07:52:54
ラッコ庵さん♪
音楽は誰でも楽しめますよ~~
別に楽器演奏にこだわらなくても、歌うことも聴くこともみーんな音楽ですもの。

でも、この記事、ちょっとわかりにくかったですね。ごめんなさい。
簡潔にわかりやすい文章を書けるようになりたいです。文章書くのって難しい・・・
以下、倍音と音の造りについて、ちょっと補足を・・・


音は、空気中を波型に伝わってきます。
縄跳びの紐を、片側を固定・片側を上下させるとグネグネができますよね。あんな感じです。
波の長さ=波長(仮に上のほうをグ・下のほうをネといすると、グネグネグネグネグネグネ・・・の最初のグと次のグの間の長さ)で音高が、波の形=波形(凸凹だとか滑らかだとか)で音色が決まります。

波長は長い方が音が低く、短い方が音が高くなります。

あるひとつの音の中には、いくつかの倍音が含まれています。
倍音と言うのは、ある音の2分の1・3分の1・4分の1・・・(以下続く)の波長の音です。
ある音が「ド」だとしたら、倍音は「ド・ソ・ド・ミ・ソ・シ♭・ド・レ・ミ・ファ♯・・・(以下続く)」になります。

で、これで波長(音の高さ)を決めちゃえば、きれいにハモるんですが、それだとどうやらくるいが生じるらしい。例えば、「ソファ♯ソラシソファレ♯ミ」なんてメロディーを作ったとすると、ファ♯やシやレ♯がとんでもない音になるらしいです。なんか、数学的にあわないらしい。デス・・・(声小さくなる・笑)

で、そうした狂いを解決するために、1オクターブを平均に12に分割したのが平均律なのです。


(なんか、もっとわかりにくくなっちゃったかも・・・)


別にこんなことを考えながらピアノを弾いているわけじゃないんですが、
突然思い出した&指輪にも(自分の中では)つながる部分があったので、記事にしてみました。

楽器演奏や歌や聴くことがあまり好きでない人でも、こうした数学チックなことだと面白い・・・と言う人もいますよね。
音楽の楽しみ方は人それぞれ、切り口もたくさんあるということで・・・(^^)
というわけで、ラッコ庵さんもご一緒にいかがですか♪
kaliさま (ラッコ庵)
2006-11-02 10:53:30
丁寧に教えていただき、ありがとうございます!!
でもわかるのは前半まで・・・。
その2分の1とかいうのは、物理的に波長(グラフで測った長さ)が2分の1ということなんですか?(って、すごくおばかなこと聞いてません?)

でも楽典って面白そう。子供の音楽のテストの時、一緒に勉強して今さら「そうだったのかー」と感心しています。
英語でもリーダーより文法の授業の方が好きなタイプ。関係ないか。

コンサートには聴衆として参加したいでーす。
Unknown (leirani@crann)
2006-11-02 22:26:29
kaliさん、こんばんは。

メールがちゃんと行ってなかった?ようで、今頃冷や汗です。
行ってませんよね?すみません・・・

しかしうさぎしちゅうさんがすでにpdfで対応してくださったので、それが正解(私もうさぎしちゅうさんの楽譜とあわせたので♪)です。
ピアノ譜がまだならお送りしますね、pdfに取り込むのはちょっと大変なので。

音響、和音と倍音のことはとってもわかりやすくて、すばらしい!と読み、相方に朗読したのですが、相方は「全然わからん!」と(爆)
音楽が全くダメな人でも数学的物理的になら理解できるかと思ったのに(しくしく)
家で音楽を一緒にする人がいなくて寂しいです~
さ・さまはおやめになって・・・(あれぇ~) (kali)
2006-11-03 06:04:53
ラッコ庵さん♪

>その2分の1とかいうのは、物理的に波長(グラフで測った長さ)が2分の1ということなんですか?

そうそう、その通りです!!
大体目に見えない音を、目に見えるように表示すると言うこと自体が不思議でたまらないのですが、どうやらそういう魔法(爆)があるようです(ガンダルフが中つ国におよぼした力?・笑)。


上の説明では本当は正確ではないんです。「倍」ということの説明になっていないので・・

音楽辞典によれば(ごそごそ)
『倍音とは基音の振動数に対して整数倍の振動数を持つ上音をいう』
例えば1秒間に一回振動(波ができる)する音(目に見える形で表わすならば縄跳びの「グネ」)があったとして、その2倍(グネグネ)3倍(グネグネグネ)4倍(グネグネグネグネ)・・・(以下続く)振動する音が、倍音なんです。
1秒間にグネだったのが、グネグネグネグネになれば、グネグネグネグネ音の第1グと第2グの間の長さは、もとの音(グネ)の4分の1になりますよね。
波長が4分の1というのはそういうことだったんです。
倍音の「倍」は整数倍という意味です。
「グネグネグ」は倍音グネチームに入れてもらえません(笑)

もし、「グネ」がドだとしたら(実際は違います)
「グネグネ」は1オクターブ上のド
「グネグネグネ」はその上のソ
「グネグネグネグネ」はその上のド
・・・(以下続く)になります。

・・・もっとわかりにくくなっちゃったでしょうか・・・?
図に書くとわかりやすいんですが・・・
わかりにくかったらまたお話しくださいね~~~

>コンサートには聴衆として参加したいでーす。

わ~い5人になった~~(嬉)(←手が震度宇宙・・・て、なんて変換だ(←気に入ってる)・・・振動中)
ぎゃ・・・こちらこそごめんなさい(汗) (kail)
2006-11-03 06:25:33
leiraniさん♪

メール、来てなかったです。
ソフトに不備があったかも・・・こちらこそごめんなさい!!
もうひとつメアド書きますので、そちらでお願いしてもいいですか?
kuestenvorland716☆yahoo.co.jp(☆を@に変えてくださいませ)

倍音とかの説明って難しいですね~~楽典好きなんですけど(笑)
のだめの16巻(思うツボの森に結局さまよいこんでしまいました・笑)の、千秋先輩のハーモニーに関する夢見る講義を読んで、音楽って時々数学だよな~と思いました。

>家で音楽を一緒にする人がいなくて寂しいです~
それは同じです~~是非あわせましょう、あわせましょう(はあと)
私が送ったのは (うさぎしちゅう)
2006-11-05 00:24:04
「スペインの淑女」と「ぼくらは朝まで帰らない」の楽譜だけです~>leiraniさん。
LOTR関係のは、leiraniさんのが元本なので・・・。
それと別に私はピアノソロ&弾き語り譜を(弾けないくせに歌が知りたくて)持ってますので、ご希望でしたらお知らせください>kaliさん。
うさぎしちゅうさん♪ (kali)
2006-11-06 12:51:15
「スペインの淑女」と「ぼくらは朝まで帰らない」は、ト長調とヘ長調でてきとーな伴奏付けてみました。

指輪のピアノ譜は私もいくつか持っているので、後ほどアップしますね~
ダブっていないものでしたら、是非お願いします!!
leiraniさん♪ (kali)
2006-11-06 12:55:04
うさぎしちゅうさんから送っていただいたのは、「スペイン」と「ぼくらは」のコード付きメロディー譜なのですが、他にもピアノ譜をお持ちでいらっしゃる?お持ちでしたら拝見できたら嬉しいです~~~


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