花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

ヴァランタン・ド・ブーローニュ《荊冠のキリスト》。(追記あり)

2017-09-18 22:26:47 | 西洋絵画

大人の休日作戦で横浜美術館のライブラリーに行った。そこでの収穫は、謎がまた増えたことだった(^^;

以前、拙ブログ<山梨県美術館「バロックの巨匠たち」展を観た(2)>で、ヘンドリック・テル・ブリュッヘン《荊冠のキリスト》について「らしくない」と疑問を呈した。

テル・ブリュッヘン《荊冠のキリスト》(1614年頃)ヨハネ・パオロ2世美術館

上記画像は下記リンク先より。 

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Brugghen_Crowning_with_Thorns.JPG 

さて、横浜のライブラリーでチェックした某雑誌に、ニューヨークとパリで開催された「Valentin de Boulogne」展のレヴューが載っていた。

参考:Valentin de Boulogne 展

http://www.metmuseum.org/exhibitions/listings/2016/valentin-de-boulogne

http://www.louvre.fr/expositions/valentin-de-boulognereinventer-caravage

ヴァランタン・ド・ブーローニュ(Valentin de Boulogne,1591- 1632)はフランス人画家で、ローマでカラヴァッジョやカラヴァッジェスキの影響を強く受けている。

某雑誌レビューでは展覧会に出品された《荊冠のキリスト》(1613-14年)(元ルーヴル美術館所蔵・現在は個人蔵)が紹介されていた。

参考に下記の動画をご覧あれ。動画のすぐ冒頭に出てくるのがヴァランタン・ド・ブーローニュ《荊冠のキリスト》である。(動画の10分ぐらいのところにも出てくる)

https://www.youtube.com/watch?v=4kjU7YpmU6U

参考としてだが、その同ヴァージョンのレプリカと思われる作品↓もある。

http://www.sothebys.com/en/auctions/ecatalogue/2016/old-masters-collection-a-alfred-taubman-n09458/lot.20.html 

レヴューによれば、ローマでのヴァランタン・ド・ブーローニュはフランス人グループよりも北方の画家たち(ドイツやネーデルラント)のグループに属していたらしい。テル・ブリュッヘン、バビューレン、ホントホルスト…ユトレヒト派からの影響は否めない。 

さて、山梨県美術館で観た作品はテル・ブリュッヘン作品と表記されていたが、果たしてテル・ブリュッヘンがブローニュ作品を模写したということなのだろうか??オリジナルがテル・ブリュッヘンだということなのだろうか??? 美術ド素人の謎(疑問)がまた増えてしまったのだ(・・;)

追記:上記に挙げたサザビーズのサイトを良く読んだら(汗)、このオークション出品作がMETとルーヴルの展覧会に出展されたようだ。(某雑誌の表記は「Private collection; exh. Muse’e du Louvre, Paris」だったのだけど「exh.」の意味って「元」ではないの??)

で、やはり!!。山梨県美術館で観た作品は、元Edward Speelman所蔵であり、テル・ブリュッヘンによるコピー作品とされていたらしい、が、「この帰属をもはや維持することはできない」とのこと。ようやくスッキリしたわ!!(^^)v

「The obvious success and popularity of the composition is attested to by the fact that two copies are known: one was formerly with Edward Speelman, as by Terbrugghen, though this attribution can no longer be upheld; another was sold in Venice, at Semenzato, December 15, 1985, lot 115.

Please note that the loan of this painting has been requested for the monographic exhibition dedicated to Valentin de Boulogne to be held at the Metropolitan Museum of Art, New York beginning in October 2016, and continuing at the Musée du Louvre, Paris.」



最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
画家名の同定 (山科)
2017-09-20 20:43:28
この時代の絵は、履歴がはっきりしているもの、X年にYYがZZ教会のために描いた、とかいうものでない限り、サインなしの絵を様式で判別してYYの作品だとする場合が多いのではないかと思います。
 模写というより「帰属」の問題?それに一人の画家、一つの工房が同じ絵を複数描くことは、普通のことでしたしね。
プラドのラトゥール展カタログに掲載されている「もとラトゥール作ということになっていた作品」の図版をみていても唖然とすることが多いし、、、あれフリックの聖母の教育は失格してたのか?ともおもうところでした。
このポーランドのヨハネ=パウロ二世美術館は、どうも鑑識に問題がるという噂は多いようです。
山科さん (花耀亭)
2017-09-22 02:50:07
確かに帰属問題は難しいですよね。工房では人気のある同主題作品を量産するし、他の画家が模写する場合もあるし、美術ド素人の私にはお手挙げの世界です(^^;;
ラ・トゥール展図録にも色々出ていますよねぇ。カラヴァッジョも結構(?)作品が多いですし(^^;
あそこのコレクション...私的にテル・ブリュッヘン好きなもので、自分でもシツコイかも?と少々反省しております(^^;;
EXH (山科)
2017-10-04 08:47:06
>「exh.」の意味って「元」ではないの??)

exhibited inですね。

ルーブル美術館で展覧されたことがある。
という記述です。

まあ、箔つけですね。

ルーブルも展覧するときは一応検査するでしょうから、あまりひどいものがでるということはないと思いますが。。。
山科さん (花耀亭)
2017-10-05 00:55:33
ご教授ありがとうございました!!!
なるほど「exhibited in」だったのですね(^^ゞ 。勉強になりましたです。
それにしても、さすがルーヴルのネームバリューって大きいのですねぇ(^^;;

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。