昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

風に揺れる蛹  最終

2017年06月19日 | 日記

女子大生の通報で警備員が駆け付けると、テーブルに突っ伏したまま動かない一人のサラリーマンと思しき男がいた。鼻先に手をかざすと、呼気は感じる。脈もある。

警備室に救急車の要請を依頼。伸ばしたままの男の手を脇に寄せ、床に寝かせる。身元の確認をとジャケットを探る。が、携帯とハンカチしか見当たらない。

バッグの中を確かめようとする。テーブルの上、バッグの手前には、食べようとしたところだったのか、弁当を包んだハンカチの結び目が解かれている。

とその時、一陣の風が吹き込み、白い影がテーブルから舞い上がった。

素早く捕らえ手にすると、一片の紙だった。

手から取り出し皺を延ばす。メモのようだ。そこには女性の字で、こう書かれていた。

 

繁さん

 

何処でお弁当召し上がってるんでしょう?

会社は辞めることにしたんですか?構いませんよ。生活の心配はいりません。

これからどう生きるか、二人で相談しましょうね。  ひとみ

               ………終了………

              Kakky(柿本洋一)

  *Kakkyの個人ブログは、こちら→Kakky、Kapparと佐助のブログ

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