俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

3月29日(金)

2013-03-29 20:55:27 | Weblog
★山桜雲を呼びつつ咲き満つる  正子

○今日の俳句
残る鴨みずから生みし輪の芯に/川名ますみ
「残る鴨」なので、みずからが生んだ輪の中心にいるという事実が生きる。温んだ水が、しずかに輪を描き、その中心にいる鴨に、独りでいる意思が読み取れる。(高橋正子)

○山吹

[八重山吹/横浜緑区北八朔]        [白山吹/横浜日吉本町]

★ほろほろと山吹ちるか瀧の音/松尾芭蕉
★濃山吹墨をすりつゝ流し目に/松本たかし
★山吹や根雪の上の飛騨の径/前田普羅
★眼帯の朝一眼の濃山吹/桂 信子
★山吹や川よりあがる雫かな/斯波園女
★ちぎり捨てあり山吹の花と葉と/波多野爽波
★歩かねば山吹の黄に近づけず/酒井弘司

 ヤマブキ(山吹、学名:Kerria japonica)はバラ科ヤマブキ属(本種のみの一属一種)の落葉低木。黄色の花をつける。春の季語。低山の明るい林の木陰などに群生する。樹木ではあるが、茎は細く、柔らかい。背丈は1mから、せいぜい2m、立ち上がるが、先端はやや傾き、往々にして山腹では麓側に垂れる。地下に茎を横に伸ばし、群生する。葉は鋸歯がはっきりしていて、薄い。晩春に明るい黄色の花を多数つける。多数の雄蕊と5~8個の離生心皮がある。心皮は熟して分果になる。
 北海道から九州まで分布し、国外では中国に産する。古くから親しまれた花で、庭に栽培される。花は一重のものと八重のものがあり、特に八重咲き品種(K. japonica f. plena)が好まれ、よく栽培される。一重のものは花弁は5枚。
 シロヤマブキ(Rhodotypos scandens (Thumb.) Makino)もあるが別属である。日本では岡山県にのみ自生しているが、花木として庭で栽培される事が珍しくない。こちらは花弁は4枚。
 古歌にも好んで詠まれ、しばしば蛙(かはず)とともに詠み合わせられる。太田道灌と八重山吹の話はよく知られている。山吹色といえば、オレンジ色と黄色の中間色のことである。往々にして小判の色をこれにたとえる。(山吹色のお菓子・・小判の隠語)


◇生活する花たち「菜の花・片栗の花・山桜」(横浜・四季の森公園)

コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 3月28日(木) | トップ | 3月30日(土) »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お礼とコメント (川名ますみ)
2013-04-06 23:44:04
正子先生、「残る鴨」の句とご講評を、あらためて掲載下さいまして、ありがとうございます。当時を想い起こし、身の引き締まる心地です。

山桜雲を呼びつつ咲き満つる
雑木の中、仄かに赤い葉と咲く山桜は、今、空にある雲にも似た、やさしい色合いです。青空に春の雲を呼びながら、咲き継ぐ山桜。満開となった一樹の桜色に、遙かな天を想います。

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事