俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

9月21日(木)

2017-09-21 07:30:21 | ネット句会
★葛にさえ初花ありて匂うなり  正子
山野に自生し繁茂する、粗野な植物の葛だけに、初花としての可憐な初々しさがいっそう強く感じられます。紫紅色の花穂から漂う香りの芳しさに、秋の訪れを実感いたします。(藤田洋子)

○今日の俳句
窓越しの鳴き澄む虫と夜を分つ/藤田洋子
「夜を分かつ」によって、窓の外の虫音と内とが繋がって、しっとりと落ち着いた虫の夜となっている。「鳴き澄む」虫の声が透徹している。(高橋正子)

○茶の実

[茶の実/東京白金台・国立自然教育園]

★元日やお茶の実落ちし夕明り/渡邊水巴
★初秋の森にお茶の実の確と/高橋信之

 茶の花は9月から11月にかけて咲きます。昆虫などによって花粉受粉し、ほぼ1年後の秋に種子が熟し、地面に落ちます。1つの実の中に1粒から5粒くらいの種子が入っています。翌年の春に発芽しますが、種子が乾きすぎると発芽しにくくなります。種子が落下した後、すぐに取り、直まきにするのが簡単です(秋まき)。なお、現在では茶の繁殖は、ほとんどが挿木によって行われています。昔は茶の種子から油を採り、食用や洗髪に利用していた地域がありました。また、家紋としてデザインされ、40種類以上の茶の実紋が生み出されるなど、茶の実は、日本人の生活と密接に関わってきました。
 チャノキ(茶の木、学名:Camellia sinensis)は、ツバキ科ツバキ属の常緑樹である。チャの木、あるいは茶樹とも記される。単にチャ(茶)と呼ぶこともある。原産地は中国南部とされているが確かなことは分かっていない。
中国や日本で栽培される1m前後の常緑低木(学名 : Camellia sinensis)。インド・スリランカなどで栽培される変種のアッサムチャ(学名 : C. sinensis var. assamica)は8 - 15mにも達する高木になる。ここでは基本変種を中心に記述する。
栽培では普通は1m以下に刈り込まれるが、野生状態では2mに達する例もある。幹はその株からもよく分枝して、枝が混み合うが、古くなるとさらにその基部からも芽を出す。樹皮は滑らかで幹の内部は堅い。若い枝では樹皮は褐色だが、古くなると灰色になる。
葉は枝に互生する。葉には短い葉柄があり、葉身は長さ5-7cm、長楕円状被針形、先端は鈍いかわずかに尖り、縁には細かくて背の低い鋸歯が並ぶ。葉質は薄い革質、ややばりばりと硬くなる。表面は濃緑色でややつやがある。その表面は独特で、葉脈に沿ってくぼむ一方、その間の面は上面に丸く盛り上がり、全体にはっきり波打つ。花は10-11月頃に咲く。花は枝の途中の葉柄基部から1つずつつき、短い柄でぶら下がるように下を向く。花冠は白く、径2-2.5cm、ツバキの花に似るが、花弁が抱え込むように丸っこく開く。果実は花と同じくらいの大きさにふくらむ。普通は2-3室を含み、それぞれに1個ずつの種子を含む。果実の形はこれらの種子の数だけ外側にふくらみを持っている。日本の地図記号で茶畑を表す記号はこの果実を図案化したものである。


◇生活する花たち「露草・なんばんぎせる・玉珊瑚(たまさんご)」(東京白金台・自然教育園)
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