俳句日記/高橋信之

高橋信之(愛媛大学名誉教授・俳句雑誌「花冠」創刊者)

4月4日(月)

2011-04-04 16:18:01 | 今日の俳句
★いく匹も蝶遊ばせて樹の空間   信之
伸びやかな樹々のあいだの空間に何匹もの蝶が飛びまわっている。春の季節を感じるとともに少しばかり童心に帰る心地が致します。 (河野啓一)

○今日の俳句
はるばると黄砂飛び来て吾が門に/河野啓一
中国大陸からの「黄砂」を詠んで、「吾が門に」という焦点が絞られ、その焦点からの広々とした自然を見ている。(高橋信之)

◇生活する花たち「ユリオプスデージー・すみれ・クリスマスローズ」(横浜日吉本町)
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4月3日(日)

2011-04-03 16:03:11 | 今日の俳句
★さくらさくらさくらさくらてのひらに   信之
桜の花が持つ柔らさを全て平仮名で記し、破調とも思われながらきっちり17文字の定形に納め、そして僅かに「てのひらに」で止め、自己の立つ位置を示し、無限とも思われる落花にただ無心にひたる事によってその美、その自然の驚愕とも思える営みを余すこと無く詠い切っている。花鳥風月の美と風情を詠う時、有心は無心につながると言う事であろうか?(桑本栄太郎)

○今日の俳句
我が身より影出て動く春燈に/柳原美知子
作者の句には、やさしくて、芯のある母の姿を見ることが出来るが、家庭と職場を離れての秀句に作者内面の充実を知って嬉しい。(高橋信之)

◇生活する花たち「すもも・椿・すずらん水仙」(横浜日吉本町)

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4月2日(土)

2011-04-02 15:59:26 | 今日の俳句
★ござ敷いてその上に花影を置く   信之
平成二年の作だが、この年の夏には、家族でドイツを訪問することになっていた。その春に、愛媛大学のドイツ語教室の先生方と、わが家の裏手の桜の下で花見の宴を開いたときの作で、桜の下に茣蓙を敷いた。敷いたばかりの茣蓙には、満開の桜の影が映ったというのである。このときは、子どもたちも嬉しくて、到着の遅れたライネルト先生を迎えるのに息子は、自転車で家の周りをぐるぐる廻ったり、一年生であった娘も「ごちそうにさくらの花びらふってくる」の句を作り大変喜んだ。急逝された土屋明人先生が、博多の明太子と「緑川」というお酒を持ってこられたりと、思い出深い花見であった。今、その花影は、いんいんとして作者の胸にあることであろう。(高橋正子)

○今日の俳句
蒲公英の数本は吾が影へあり/祝恵子
私の好きな句である。控え目であって、優しく、観察の眼に深いところがあるのは、恵子さんらしい。(高橋信之)

◇生活する花たち「桜・馬酔木・曙つつじ」(横浜日吉・鯛ヶ崎公園)

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4月1日(金)

2011-04-01 15:55:17 | 今日の俳句
★囀りの強き一声して去れる   信之
今、去った声は、繁殖期の雄の命をかけた宣言なのでしょう。きれいな音色だ、うららかだ、と言われる囀りも、鳥は、その一声のため全身をいっぱいに震わせています。ひと鳴きの強い意志に、気持が引き締まります。 (川名ますみ)

○今日の俳句
道ひろく春山絶えず正面に/川名ますみ
病床にあっても、内面の強さを持ち続けていることを嬉しく思う。明るさがあり、意志の強さがある。こうした俳句への姿勢は、物事を絶えず真っ正面から見ているからである。(高橋信之)

◇季節の花「はくれん・馬酔木・たんぽぽ」(横浜日吉本町)
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3月31日(木)

2011-03-31 07:15:11 | 今日の俳句
★春灯へ丸い口開けている湯呑   信之
春になり、湯呑みの醸し出す風情も移ろいます。湯呑みと言えば丸いものですが、春灯に向かって口をあけているという見方が楽しいです。(高橋秀之)

○今日の俳句
桜舞う天保山に船が入る/高橋秀之
作者は、大阪に生まれ、大阪で育ったので、大阪の良さを身に付けている。その俳句にも人間らしい暖かさがある。職場は、大阪港で、そこは、海の彼方へと大きな世界が広がっている。(高橋信之)

◇季節の花「きぶし・クリスマスローズ・すいせん」(横浜日吉本町)
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3月30日(水)

2011-03-30 07:14:13 | 今日の俳句
★仰ぎ見る樹があって空があって春   信之
陽光に満ちた蒼い空、間もなく芽吹きが訪れるであろう高木の樹冠。仰ぎ見る頭上はもうすっかり春の気配です。(河野啓一)

○今日の俳句
抜きたての大根ずしりと土の匂い/藤田裕子
句歴四十数年の作者だが、その作句態度が些かも揺るがない。句のすべてが明らかで、言葉に偽りがない。(高橋信之)

◇季節の花「馬酔木・れんぎょう・からすのえんどう」(横浜日吉本町)
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3月29日(火)

2011-03-29 07:13:04 | 今日の俳句
★桃咲くや日を昇らせている丘に   信之
桃の花は太陽が似合う。昇った日にかがやく桃の花がことに丘を明るくして、桃源郷のようである。(高橋正子)

○今日の俳句
遠ざかる風船は今空のもの/藤田洋子
俳句生活十七年を経て、その成長は明らかである。感性のみずみずしさは、作者生来のものであって、実家の父母を看取るという悲しい体験によって、作者内面の深みが加わった。(高橋信之)

◇季節の花「はくれん・雪柳・たんぽぽ」(横浜日吉本町)

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3月28日(月)

2011-03-28 07:08:11 | 今日の俳句
★芽吹く樹へつぎつぎ心遊ばせる   信之
雲ひとつない青空。やさしい陽ざしが降り注ぐ日に、ふと空を仰ぐと樹の枝に新しい芽吹きがあるのを見つけます。この句から自然に対する畏敬の念と命あるものに対する賛歌を感じ、自然と一体になっている作者の心情を読み取ることができます。(井上治代)

○今日の俳句
春の蕗提げしわれにも風が付く/高橋正子
正子さんの俳句の基本を指導したのは、川本臥風で、その先生が臼田亜浪なので、その影響を素直に受けた。自由であって、ものの本質を見ることを学んだ。さわさわと吹く風に深さを感じ取るように、句がさわさわとして深いのは、その成果なのである。(高橋信之)

◇季節の花「スズラン水仙・木瓜(ぼけ)・蕗の花」(横浜日吉本町)

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花冠5月号掲載作品

2011-02-28 12:13:26 | 今日の俳句
六郷の渡し
      高橋信之

 日本橋
春浅き日本橋を渡りけり
旅立ちに二月の高き空仰ぐ
春浅しここに魚河岸がありき
 品川宿
春旅の気ままさに煎餅を買う
木の家の下駄売る店の春曇り
 川崎宿六郷の渡し(多摩川)
川向うは宿場よ春の雲浮かせ
川渡り西へ西への春の旅
 神奈川宿
銀杏芽木欅芽木立ち吾もここに
寺多き町の通りが梅の香に
 日吉本町
桃咲くや日を昇らせている丘に
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花冠4月号掲載作品

2011-02-28 11:16:05 | 今日の俳句
寒の晴
          高橋信之

慶大日吉キャンパス三句
寒天のからりと晴れて並木の列
テニスコートの光と音と寒の晴
山の斜面の落葉へ朝日差してくる
熊野神社四句
高台に境内があり寒の晴
寒晴の風こころよし幣ひらひら
寒禽の啼きいて晴れの空を飛ぶ
さんさんと寒の陽が差し影を生む
金柑の金散らばって空の晴
折り紙の升に入って追儺豆
仰ぎ見る樹があって空があって春
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