◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋信之

3月21日~31日

2017-03-21 10:46:05 | Weblog

3月31日(5名)

●多田有花
あわあわと風に揺れおり柳の芽★★★★
見上げれば真昼の光はくれんに★★★
たけなわの春の香りが森に満ち★★★

●小口泰與
牡丹の芽暁にひそかにほぐれそむ★★★

梅と桃咲きて水面を明るくす★★★★
梅と桃が同時に咲くところ。梅と桃が水面が映っているのか、水面の傍に梅と桃があるのか、その両方とも水面の明るさは印象に残る。一度に春の来たうれしさが読める。「水面を明るくす」がいい。(高橋正子)

榛名富士あけぼの色に桃の花★★★

●廣田洋一
遺跡の地霊も見守る桜咲く★★★
山城や遍路姿とすれ違う★★★

お遍路の青き目もゐる札所かな★★★★
四国に住んでいた時は春先からお遍路を日常見かけた。なかには、青い目の外国人の遍路も混じっていて、特に違和感はなかった。遍路は西国遍路、四国遍路などがあって、個人的にはいろんな思いがあって遍路をするのだが、同行二人の遍路は平和を思う。(高橋正子)

●谷口博望 (満天星)
木の芽風土鳩のとまる鯱瓦★★★
武士道を語り告ぎたる桜かな★★★
糸桜峠三吉詠みし河★★★★

●桑本栄太郎
雨降れば雨に映え居る花菜かな★★★★
学校の花壇をかこみ雪やなぎ★★★
さへづりの影に小枝の揺れにけり★★★

3月30日(5名)

●谷口博望(満天星)
辛夷咲くトワイライトの大通り★★★★
辛夷が咲く夕暮れの大通り。「トワイライト」が都会の大通りを洒落た雰囲気にしている。少し憂いを帯び、少しロマンチックな夕暮れだ。(高橋正子)

春寒の小げらコツコツ幹登る★★★
春寒のお日様一瞬顔を出す★★★

●多田有花
春しぐれ眺めつコーヒーをいれる★★★
落椿よけて歩きし山の道★★★

春の山小枝を拾う楽しさよ★★★★
有花さんは、小枝を燃やしてお湯を沸かしたり、ご飯を炊いたりできるごく小型のストーブを手に入れらたようだ。春山には小枝がたくさん落ちている。必要な分を拾って湯を沸かしコーヒーを飲んだりするのも楽しい生活だ。「拾うたのしさよ」となる。(高橋正子)

●小口泰與
紅梅や窓の立居に山ありて★★★
奔流の湧くや岸辺の蕗の薹★★★★
佇みて杏の花の中に居り★★★

●桑本栄太郎
古草や襤褸となりし野の風に★★★
山茱萸の光り放射や午後の庭★★★★
うつし世に愁い眼や蛍烏賊★★★

●廣田洋一
お遍路もかくやとばかり城めぐり★★★
城跡に見事散りたる椿かな★★★★
彦根城天守の前に水戸の梅★★★

3月29日(5名)

●谷口博望(満天星)
轟ける春告鳥や瀬戸遥か★★★★
轟ける春告鳥や飛行機雲★★★
野地すみれ巫女の顏なる厳島★★★

●小口泰與
十百の雀夕日の枝垂れ梅★★★
日に一度来るバス停や松の花★★★★
日に一度しか来ないバスを待つあいだ、私が、つい、することと言えば空を見上げることだ。そんなときには、日に輝く松の花が目に入る。この句もそんな様子だろう。(高橋正子)

湯の街の灯ともし頃や花あんず★★★

●多田有花
海望む頂にはやつつじ咲く★★★★
初花やいつもの峰のいつもの樹★★★
風に揺れ開くおくての八重紅梅★★★

●桑本栄太郎
水滴の青ざめいたる土佐みづき★★★
からし菜や天井川の土堤高く★★★★
野良生えのからし菜。天井川の土手に高々と育ち、空に触れて、勢いが良い。元気な様子は見てい快い。(高橋正子)

古草の土手となりたり引き込み線★★★

●廣田洋一
桜の芽黄ばみ膨らむ並木かな★★★
霞みたる湖を横切る舟一そう★★★★
霞みたる湖を見下ろす小谷城★★★

3月28日(5名)

●谷口博望(満天星)
五輪数え開花宣言広島に★★★
轟ける春告鳥や天の声★★★
花辛夷頭上舞ひたる鴎かな
花辛夷頭上を舞える鴎かな★★★★(正子添削)
辛夷の花から空を舞い飛ぶ鴎が姿が連想されるのも妙味。辛夷が咲き、空を鴎が舞う。穏やかな景色だ。(高橋正子)

●多田有花
春の坂のぼる新興住宅地★★★★
善哉を作りて食べる春の頂★★★
春林を抜け海見える頂へ★★★

●小口泰與
遅き日を徒渡りたる釣師かな★★★★
また一羽翔る雀や枝垂れ梅★★★
ゆっくりと脈拍打つや遠柳★★★

●廣田洋一
子雀や米粒撒きてざるを伏せ★★★
鳩の横チョンチョン歩く雀の子★★★
雀の子乳母車よけ飛び立ちぬ★★★★

●桑本栄太郎
水滴のつぼみ煌く木の芽雨★★★
淀川の鉄橋アーチや草青む★★★★
草青む光景としてどこか懐かしさを呼ぶ。「鉄橋のアーチ」と「草青む」の取り合わせがあっさりしていい。(高橋正子)

踏切りの遮断機長し紫木蓮★★★

3月27日(5名)

●小口泰與
ひこばえや女士が継ぎたる七代目★★★★
噴煙のあけぼの色や草青む★★★
眼うらに雪解浅間の風の音★★★

●多田有花
船いくつも散りばめ春の大阪湾★★★
風に鳴る心地するなり紅馬酔木★★★
鶯を聞きつつ家を出る朝★★★★

●谷口博望(満天星)
稀勢の里と辛夷
稀勢の里辛苦のあとの花辛夷★★★★
辛夷咲く艱難辛苦稀勢の里★★★
満開の辛夷の花や稀勢の里★★★

●桑本栄太郎
街中の菜園支柱や花ゑんどう★★★★
街中の菜園に植えた豌豆が花をつけている。まださほど伸びていない豌豆はかわいい花を咲かせ、支柱がたてられた。五月の収穫が楽しみな明るい風景だ。(高橋正子)

雨の日のつぼみを解く紫木蓮★★★
水滴のつぼみ煌く木の芽雨★★★

●廣田洋一
薔薇の芽やほどけて葉とはなりにけり★★★
田子の浦富士は見えねど春の海★★★
春の海雲を写して白光り★★★★

3月26日(7名)

●谷口博望(満天星)
やわらかにもくれん開き天女降る★★★
オペラ座の顏なき声の初音かな★★★
望遠のピンクの嘴や河原鶸★★★★

●小口泰與
水底の影の速さや芦の角★★★
テンカラ師雪代山女影はやし★★★
棚田から棚田へ春の水しげき★★★★
四国松山在住の頃よく高知へ出掛けた。山越えの小旅行で、棚田の風景を楽しんだ。(高橋信之)

●多田有花
はくれんの日ごと空へと花開く★★★
菜の花の灯点すごとし川べりに★★★
春の田の彼方に朝の淡路島★★★★
いい風景だ。「春の田」に「淡路島」を取り合わせたのだ。私の先祖は徳島で、私は大阪生まれなので、「淡路島」には、それなりの思いがある。(高橋信之)

●廣田洋一
春雨やふくらむ木の芽落ち着かせ★★★★
春の雨音も立てずに道濡らす★★★
止みしかと思へば未だ春の雨★★★

●河野啓一
二人して歩みし春野この先も★★★★
若き日の思い出である。季題の「春野」がいい。その「春野」に続き、「この先も」と置いて一句を収めた下五がまたいい。(高橋信之)

好き好きに柄を振りかざしサクランボ★★★
ハッブルの星の誕生春の雲★★★

●桑本栄太郎
剪定の切り口白し木の芽張る★★★★
春光の甍かがやく山陰路★★★
その中に一木ありぬ桃の花★★★

●川名ますみ
夕まぐれ辛夷の白の尚白し★★★★
季節感をしっかり捉えた句だ。下五の「尚白し」が効果的で、作者の詩情が読み手の心に届いてくる。(高橋信之)

お堀辺に緋寒桜のいろ散り敷く★★★
芽柳に川面のひかり弾みおり★★★

3月25日(3名)

●小口泰與
よそ者入れぬ郷人蕨山★★★★
花辛夷耳に通うは風と鳥★★★
黄水仙風に向き合い向きむきに★★★

●廣田洋一
工事用宿舎たたみて山笑ふ★★★★
冬場、山に道を通す工事であったのだろうか。寒冷に耐えての工事が無事終わり宿舎をたたんだ。「山笑ふ」に自然の大きさが読める。(高橋正子)

露天湯に身体横たへ山笑ふ★★★
富士を背に丹沢の山笑ひけり★★★

●多田有花
ときおりの風が散らしてゆく梅花★★★
春の宵生食パンの甘さかな★★★
鶯の声するなかに干し物を★★★★
鶯の声がはっきりと聞こえるうるわしい日。清潔に洗われた干し物に鶯の声がこだまするようだ。(高橋正子)

3月24日(4名)

●小口泰與
鎖樋遊ぶが如き春の雨★★★
孫娘かかるものかも春嵐★★★
朝かげの竹藪に鳴く匂鳥★★★★
「匂鳥」は「鶯」のことで、「竹藪」に「鶯」の取り合わせ。上五の「朝かげ」に作者の詩情がある。(高橋信之)

●多田有花
駆けるもまた楽しきことよ春の山★★★★
作者の駆け行く姿がありありと眼に浮かび、読者も「楽しきことよ」との思いを共有する。(高橋信之)

伊予柑むく芳香周囲に撒き散らし★★★
樹のありしところは空に彼岸過★★★

●廣田洋一
帰り来る夜道に香る沈丁花★★★★
上五の「帰り来る」がいい。作者の詩情がそこにある。(高橋信之)

雨打ちて香強まる沈丁花★★★
老ひらくの恋をしたるや沈丁花★★★

●川名ますみ
春宵をゆく銀髪のウィッグで★★★
桜の芽空の青さを弾き起つ★★★
春の空正面を向き待ち合わせ★★★★

桑本栄太郎
春風や畝のマルチの波打てる★★★
眠くなるような日射しや春の雲★★★
山膚の明暗しきりに春日影★★★★
<3月24日分の投稿を間違えて、「御礼」の欄に>

3月23日(5名)

●多田有花
頂に着けば初蝶飛び立ちぬ★★★★
春の森木を切る音の響きおり★★★
散る梅の隣で晩生の開きゆく(原句) 
散る梅の隣で晩生の梅開く★★★(正子添削)
すっと読んだとき「晩生」がわかりにくい。「開きゆく」の「ゆく」によって、句のイメージが止まらない。という理由で添削。(高橋正子)

●谷口博望(満天星)
柔らかく花びら開く紫木蓮★★★★
たんぽぽや昔を偲ぶ舫ひ石★★★
芽吹きたる被爆ユーカリ七十年★★★

●廣田洋一
通りがけ振り返り見る八重椿★★★
八重椿少し枯れては落ちにけり★★★★
落椿打ち重なりてくづれざる★★★

●小口泰與
廃線となりし狭軌やつくつくし★★★
鈍色の枕木へ雨辛夷咲く★★★
さえずりや回転扉より女学生★★★★

●桑本栄太郎
耕され畝の揃いぬ春の畑★★★★
冬の間手入れしない田や収穫を済ませた畑の土を起こし、植え付けの準備をするために耕された畑。整然とした畝が出来上がり、さっぱりとして春の光に輝いている。人の営みも見える明るい光景だ。(高橋正子)

鍬の音のもんぺ姿や花菜風★★★
大根の花に愁いの入日かな★★★

3月22日(5名)

●小口泰與
走り去る列車の尾灯春の雨★★★
春光や田ごとの水の満ちにける★★★★
よく見かける風景だが、「春光」といい、「田ごと」といい、「水の満ち」といい、どれもが春が来た喜びに満ちた言葉だ。俳句十七字の上五、中七、下五とうまく畳みかけていて、くどくないのがいい。(高橋信之)

五指で食ぶむすびや春の鳶の笛★★★

●多田有花
おだやかに大地潤す彼岸の雨★★★★
日常の身近な生活で見る風景だが、嬉しい風景だ。上五に置いた「おだやかに」が作者の思いを表して、読み手の心に響く。(高橋信之)

春昼のパンケーキ返し狐色★★★
門先で子らの縄跳び暮遅し★★★

●谷口博望(満天星)
てふてふの羽化さながらに辛夷咲く★★★
春霞寝釈迦のごとき厳島★★★★
蜷の髭太鼓叩いて珍道中★★★

●桑本栄太郎
うるむ眼のマスク美人や花粉症★★★★
ミモザ咲く日射しにけぶる鍼灸院★★★
芥子菜の天井川の入日かな★★★

●廣田洋一
枝先に朝日光らせ初桜★★★★
嬉しい「初桜」だ。作者の思いが中七の「朝日光らせ」に籠められている。写生の中に作者の「主情」が込められているのだ。(高橋信之)

初桜はにかみながら咲きにけり★★★
人気なき朝の公園初桜★★★

3月21日(5名)

●谷口博望(満天星)
甦る左遷の空や沈丁花★★★★
人生には左遷もありうる。「それもよし」と俄には思い難いが、あとから思えば、大きい宇宙から思えば、人間どうってことない。沈丁花がよく香る季節。(高橋正子)

石段のすみれ健気の頭をもたげ★★★
はくれんや吉祥天女舞ひ降りる★★★

●廣田洋一
引鴨や川辺の広き遊水池★★★
二羽揃ひ残る鴨らし水脈引きぬ★★★★
二羽揃っているのは番の鴨であろう。残る鴨が二羽揃って水を楽しんでいる。味わい深い句。(高橋正子)

春の鴨番で遊ぶ橋の下★★★

●小口泰與
雪山の耀う朝や未開紅★★★
榛名山(はるな)より春雲遊びかぎりなし★★★★
鳥ながれ花狂いたる丘の上★★★

●多田有花
赤子抱き梅花の下でお弁当★★★★
小枝焚き湯を沸かしおる彼岸かな★★★
春分の夜はまだ明けず午前五時★★★

●桑本栄太郎
まんさくの花びら惜しみなく坂へ★★★★
白木蓮の少し青ざめ風に咲く★★★
もくれんの夕日に淡き白さかな★★★
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1 コメント

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お礼 (多田有花)
2017-03-26 10:19:46
信之先生、「駆けるもまた楽しきことよ春の山」に
ご句評をいただきありがとうございます。
山に散歩にいったとき、平坦なところや下りで時々走っています。
リズムが変わり、おもしろいです。

正子先生、「散る梅の隣で晩生の開きゆく」を 
「散る梅の隣で晩生の梅開く」に添削いただきありがとうございます。
原句は、まとまっていない感じがありました。
こうすれば、句としてすわりがよくなる、とわかりました。

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