◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋信之

4月21日~30日

2017-04-22 06:03:42 | Weblog

4月26日(5名)

●谷口博望(満天星)
穂の麦や武士道今も美しき★★★
脇役の吹けば飛ぶ様花楓★★★
医学部の片隅に咲く朴の花★★★★

●小口泰與
うぐいすや梢下枝を選ばずに★★★
架け橋は肩幅のみや山桜★★★★
蜂飼の放ちし蜂の喰われけり★★★

●多田有花
風強く葉桜大いに騒ぎけり★★★★
小枝焚きコーヒー入れる日永かな★★★
ラケットを持ってコートへ夕長し★★★

●廣田洋一
早緑の伸び伸び光る暮の春★★★
早緑や明るくそよぐ春の庭★★★
緑にも匂ひは有りぬ若葉かな★★★★

●桑本栄太郎
風吹けば風に新樹の冷えにけり★★★★
からし菜の中州占めゆく蛇行かな★★★
暮れかぬる音無き窓の甘き雨★★★

4月25日(5名)

●多田有花
げんげ田の一枚残る住宅地★★★★
住宅地となる前はのどかな田園風景が見られたところだろう。その風景を思い起こさせるように一枚のげんげ田が残っている。げんげ田の残るうれしさ、げんげを植えた農家の思いも読める。(高橋正子)

のどかさの草に寝転ぶ男かな★★★
春深し生れし蜻蛉の翅光る★★★

●満天星
春愁や読み直したく「司馬遼」を★★★
眼前を翡翠飛んで日の暮るる★★★★
小鳥のなかでも羽色の美しさ、その行動のスマートさは魅力だ。翡翠に出会って、今日が終わる。いい一日の終わりだろう。(高橋正子)

ひたすらに花豌豆をヌートリア★★★

●小口泰與
逝く日まで見事みごとや花吹雪★★★
黒猫や雉の鋭声を聞きなせり★★★
激つ瀬に虻の羽音を聞き分くる★★★★

●桑本栄太郎
<教会葬にて>
電飾の遺影ほほ笑む薔薇の花★★★
讃美歌と薔薇に嗚咽や友送る★★★
白ばらの献花哀しき友送る★★★★

●廣田洋一
水柱地球儀廻し夏近し★★★★
人魚姫宙に舞ひける春暑し★★★
白つつじ花の街道なしてをり★★★

4月24日(5名)

●多田有花
春たけて日ごと輝く山の色★★★
輝ける芽吹きの山に身を浸す★★★★
自らの実感がある佳句。句の冒頭に「輝ける」を置き、作者の実感を明らかにした。(高橋信之) 

晩春やみなさみどりに燦々と★★★

●満天星
水子抱き乳をあらはに松の花★★★
ひとしきり鷭の番を蓮田にて★★★
遠眼鏡赤き口開け烏の子★★★★

●小口泰與
乾びたる鴉の声や春落葉★★★
外に出づや血染めの如き落椿★★★
交じりたる唐くれないの桜かな★★★★

●廣田洋一
鉢植の赤く揺れたる花苺★★★
ハウスにて低く垂れたる花苺★★★
古き種まだ生きてると撒きにけり★★★★
中七の「まだ生きてる」に作者の思いを読む。嬉しい「思い」だ。(高橋信之)

●桑本栄太郎
ベランダの鉢に風来る葱坊主★★★
お迎えのママが来て居りチューリップ★★★
桜蘂降るや並木をバスに乗り★★★★
「桜蘂」、「並木」、「バス」、と続き、読者に語り掛けてくる語りがある。日常生活の中での「語り」がある。日常生活の中にあって、日常生活を超えるところがあって、それがいい。(高橋信之)

4月23日(5名)

●多田有花
ほのぼのと霞桜の昼下がり★★★★
桜咲く昼下がりの、眠くなりそうなほどの陽気。だが、「ほのぼの」なので目がしっかりと昼下がりを見ている。(高橋正子)

新しき道まっすぐに春深む★★★
囀や目覚めの朝のかたわらに★★★

●小口泰與
鮎放つ瀬尻の川音(かわと)変わりけり★★★★
鮎を放つと瀬音が変わる。敏感にそれを感じた。鮎の匂いが立ちあがってきそうだ。(高橋正子)

花どきの却って暑き朝かな★★★
せせらぎを醸す白鷺春落葉★★★

●廣田洋一
遠霞空と海とを繋ぎけり★★★★
狭き庭整地終えて夏近し★★★
小枝切りものは試しと挿し木せり★★★

●谷口博望(満天星)
四ッ辻の花と葉そよぐ花水木★★★★
探鳥や山の斜面に著莪の花★★★
川上へ芥流れて若葉風★★★

●桑本栄太郎
<JR京都線車窓>
ビル街の大阪駅や花水木★★★
からし菜の中州を覆い蛇行かな★★★★
すかんぽや田中に列の下校生★★★

4月22日(5名)

●多田有花
柴犬が春雨傘をひいてゆく★★★
稜線を仰げば空へ木の芽立ち★★★
みな違う色みずみずし木の芽山★★★★
山に木の芽が芽吹く。木々の芽吹きの色は少しずつ違って、微妙な色の重なりは、水彩画のような風景を見せる。それが「みずみずし」である。「みずみずし」に気持ちが表れていて、共感する。(高橋正子)

●小口泰與
鳥の来て花数へらす杏かな★★★
糸柳利根の川音(かわと)の立ちにけり★★★★
山鳥や黒雲かえす県境★★★

●廣田洋一
春深し茶飲み友達大切に★★★
花薊一本咲ける旅の空★★★
草むらに浮き立つ色の薊咲く★★★★
草むらの緑と、薊の色は好対照。春も酣の野の景色が眩しいほどだ。(高橋正子)

●谷口博望 (満天星)
いにしへの島の神々躑躅咲く★★★★
神域の躑躅が燃え立つようで印象深い。臼田亜浪の「死ぬものは死にゆく躑躅燃えてをり 」を思い出す。(高橋正子)

眼前を燕掠める被爆川★★★
青葉目に真白き鳩の対岸に★★★

●桑本栄太郎
<JR高槻~大山崎界隈>
すかんぽや田中に列の下校生★★★
キリンの絵描かれ園バス花は葉に★★★★
からし菜の中州覆いて水もなし★★★

4月21日(5名)

●多田有花
にしんそば食べる穀雨の頂で★★★★
一般的に魚の干物は焼いて食されるが、身欠きニシンは米の研ぎ汁に1週間ほど漬けて戻した後、煮物や甘露煮などに加工して食べることが多い。柔らかく煮含めた身欠き鰊を具とした「にしんそば」は京都や北海道西部の名物となっている。(高橋信之)

春筍やぽっと頭を出しており★★★
囀が囲む頂小枝焚く★★★

●小口泰與
山里の靄の彼方や糸柳★★★★
畦の雉鋭声ひと声それっきり★★★
身にかなう酒や目刺に独り言つ★★★

●廣田洋一
川の水今日も流れて春惜しむ★★★
褒められし腰の動作に春惜しむ★★★
春惜しむ園遊会の両陛下★★★★

●桑本栄太郎
<嵐山三景>
風光るトロッコ嵯峨の駅に立つ★★★★
芥川作品に「トロッコ」がある。芥川作品の中では中期(大正11年、1922年)に書かれたもので、芥川はこの年の一月に、彼の名作の一つである「藪の中」を発表し、その二か月後に発表されたのがこの「トロッコ」である。蜘蛛の糸や杜子春などとならび、少年向けの作品の一つとなっている。(高橋信之)

濁流の渡月橋ゆき春惜しむ★★★
入日落つ天の蒼さや春の闇★★★

●川名ますみ
祈ることひとつ芽吹きの並木道★★★★
祈ることは「ひとつ」の、ただそのことだけ。木々が芽吹く並木道を通りながら、木々の芽吹きに希望を託して心からの祈りの句(高橋正子)

どの枝も均しく芽組む大欅★★★
行く春や想い出はみな美しき★★★
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