◆自由な投句箱①/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋信之

2月21日~28日

2017-02-23 10:49:02 | Weblog

2月28日(5名)

●多田有花
充実といえるひと月二月尽★★★★
一月の落ち着かなさが過ぎ厳寒の二月が「充実の月」と言うのは、十分に共感できる。充実の月が過ぎ、うきうきとした春が来る。(高橋正子)

青空に囲まれている春の山★★★
梅東風に吹かれ海辺の発電所★★★

●小口泰與
鯉こくや浅間南面雪のひま★★★★
花冠の水煙時代の大会を小諸で開いたことがあったが、その時に、佐久の鯉こくを頂いた。若草の萌える季節を思いつつ雪の残る中でいただく鯉こくは何よりの馳走であろう。(高橋正子)

魔が差して足滑らせる雪の果て★★★
あれこれと心動かす春の宵★★★

●谷口博望 (満天星)
東風の瀬戸高速船の波しぶき★★★★
東風の瀬戸内海の光景が今も懐かしく思い浮かぶ。まさにこの通りの風景だ。波にもまれながらも、飛沫をあげて突き進む高速船が、小気味よい。(高橋正子)

寄せる波若布掻けたる長き棹★★★
浅利掘る瀬戸の磯辺やとんび舞ふ★★★

●廣田洋一
屋根雪を滑り落とせし東風吹きぬ
屋根雪を滑り落として東風吹きぬ★★★★(正子添削)

春雨に濡れたる屋根の黒光り★★★
春光や白き壁映ゆ赤き屋根★★★

●桑本栄太郎
<山陽新幹線車窓吟行>
ものの芽や揖保川さざれ石の原★★★
トンネルを過ぎて広島春の旅★★★
春日さすカルスト台地や山口に★★★★

2月27日(5名)

●谷口博望 (満天星)
相聞の馬酔木の花を掌に★★★
初桃や番の鴨が池の中(原句)
桃の花番の鴨が池の中★★★★(正子添削)
金縷梅や穴のあきたる烏瓜★★★

●多田有花
三月の足音近し髪を切る★★★★
下五の「髪を切る」は、女性の行為であろうが、生活に即したリアルな表現である。一句をしっかりと言い終えた。(高橋信之)

自転車を春の頂に据える★★★
春淡き本堂に入り龍を見る★★★

●小口泰與
春嶺の容やわかよ榛名富士★★★
片栗や棚田を満たす水奔る★★★★
上州のほうれん草や風の日日★★★

●廣田洋一
焼味噌に柚子を一滴田楽かな★★★
焼鳥と共に出される田楽かな★★★

田楽や辛口の酒酌み交わす★★★★
「田楽」には、懐かしい思い出がある。幼いころは、旧満州の寒い地方で育った。大連である。緯度は北海道の札幌と同じであった。雪はあまり降らなかったが、冷たい風が吹き荒れた。旧制中学3年の春に引き上げて帰った。私はまだ、未成年だったので、「酒酌み」交わすことはなかったが、父が酒好きだったので、「酒酌み交わす」風景が日常生活にあった。「田楽」は春の季語で、「木の芽田楽」等とよく使う。春先の田楽の味噌は甘め。酒は辛口で、きりっとしめたいものだ。高橋信之)

●桑本栄太郎
<二人目の孫一歳の誕生祝い>
新幹線”のぞみ”は西へ春の旅★★★
ものの芽の山川つづく車窓かな★★★★
一升餅背負い歩めば風光る★★★

2月26日(5名)

●谷口博望 (満天星)
喉通る鶯餅と茶の香★★★★
「鶯餅」と「茶の香」との取り合わせは、特に目新しいものではないが、日本人の誰もが思い出せば、嬉しくなる。
上五の「喉通る」は、実にリアルであり、俳句ならではの写実を感じさせ、いい俳句だ。作者の日頃の精進を嬉しく思う。(高橋信之)

もてなしの和服姿や梅茶会★★★
ひーふーみー河津桜の咲きにけり★★★

●多田有花
梅が枝のつくるトンネル歩きけり★★★★
この句は軽い句である。そして、いい句だ。秀句であると、言ってよい。(高橋信之)

枝払われすっきり立てる二月の杉★★★
青空へ銀ねずの艶ねこやなぎ★★★

●小口泰與
魚影の奔る早瀬や雪解風★★★★
まんさくや雪には為らず里の雨★★★
海猫渡る毎夜冷たき足の裏★★★

●廣田洋一
注文の球根届き春めきぬ★★★★
読み手も嬉しくなる句。下五の「春めきぬ」が嬉しいのだ。私の好きな句。(高橋信之)

春めくや花粉予報の始まりぬ★★★
プランターの雑草抜きて春めけり★★★

2月25日(5名)

●谷口博望 (満天星)
白昼夢隣の庭の枝垂梅★★★
藤の莢弾けて揺るる余寒かな★★★★
透き通る梧桐の莢や冴返る★★★

●多田有花
山めぐり靴より落とす春の泥★★★★
山めぐりでよく見かけるが、印象深い風景だ。作者の体験があって、リアルだ。これが俳句なのだ。(高橋信之)

朝の雨宿し白梅匂いけり★★★
春昼の沖にくっきり小豆島★★★

●小口泰與
犬ふぐり利根の川幅自ずから★★★
釣人の面へ羽音やひらた虻★★★
猫柳風の中にて光帯び★★★★

●廣田洋一
捨畑の枯草そよぐ東風吹けり★★★★
波の音少し静まる東風の浜★★★
夕東風の灯り見ながら帰り道★★★

●河野啓一
うららかや詰所の看護師透る声★★★★
「うららか」である。療養中の身には嬉しい看護師の「透る声」だ。(高橋信之)

綾線を軽く光らせ日は上る★★★
稜線の影の如くに春の雲★★★

2月24日(4名)

●多田有花
拭きあげし窓より春めく光入る★★★★
いい生活句だ。私の好きな句。(高橋信之)

雲東へ流れて春の播磨灘★★★
ガスレンジ清掃をする春めく日★★★

●小口泰與
妻の雛納戸深くに在りにけり★★★★
洗髪のついと乾くや雪解風★★★
絨毯につまずく老いの余寒かな★★★

●廣田洋一
菫咲く雨の雫を光らせて
「菫咲く」雨の菫の存在は軽いものではない。下五に置いた「光らせて」が軽いものではないのだ。(高橋信之)

採られざる赤蕪光る春の畑★★★
若き梅未だ枝垂れず紅き花★★★

●谷口博望 (満天星)
東風の波寄せては散りぬ瀬戸の磯★★★
凛々と雄木の銀杏や実朝忌★★★★
磯松へ波の砕けて実朝忌★★★

2月23日(6名)

●多田有花
冴返る空に金星光りおり★★★
順々に咲く梅日ごと愛で歩く★★★★
梅の開花は一度でなく、暖かくなる日ごとの温みにあわせたように、日々花を咲かせてくれる。歩けば、今日さいている梅の花に出会う。(高橋正子)

朝の雨春めく雨と思いけり★★★

●小口泰與
猫の棲む空き懐や春浅し★★★
芽柳や床体操の女学生★★★★
芽柳のしなやかさ、床体操をするしなやかな女学生。みずみずしい、やわらかな若さが通じ合う。(高橋正子)

アイホンへ指走りけり鳥雲に★★★

●廣田洋一
菫咲く雨のしずくを光らせて★★★★
緑の野紫加へ菫咲く★★★
菫咲く夢見し頃の妻偲ぶ★★★

●桑本栄太郎
丘上に詩歌給いぬ青き踏む★★★★
堰水の飛沫きらめき風光る★★★
巻上げのうなじ白きや春ショール★★★

●谷口博望 (満天星)
東風の波節理へ寄せて砕けたり★★★
曲りたる被爆九輪は春の色★★★★
被爆した九輪が春の色として目に映る。春めいた空に緑青色の九輪がゆがんだままに聳えている。祈られるべき九輪。(高橋正子)

残生の自分探しや辛夷の芽★★★

2月22日(6名)

●廣田洋一
たんぽぽや風が運びし庭に咲く★★★
蒲公英の飛ぶを見送る媼かな★★★
たんぽぽや妻の思ひ出湧き出づる★★★★
妻との思い出が具体的にはわからないが、たんぽぽが散らばり咲いている、野の風景が、さらさらとした光の中に浮かんでくる。(高橋正子)

●小口泰與
早春の鷺の動かぬ川辺かな★★★
春寒しあき部屋多き分教場★★★★
近き世は水あまねしか石鹸玉★★★

●谷口博望(満天星)
残生の自分探しの春山河★★★★
浮いて来ぬ観音様の春の鯉★★★
亀鳴くや暗殺といふ白昼夢★★★

●多田有花
ダウン着てテニスコートへ寒もどり★★★
春めく森に野鳥呼ぶ人遊ぶ人★★★
海望む頂にありし古巣かな★★★★

●桑本栄太郎
ものの芽の色めき立ちぬ日射しかな★★★
丘の上に詩歌給うや青き踏む★★★

びょうびょうと風の耳過ぐ揚ひばり(原句)
びょうびょうと風が耳過ぎ揚げ雲雀★★★★(正子添削)
風がびょうびょうと耳元を過ぎてゆく寒さながら、雲雀が空高く揚がっている。高らかな雲雀の歌声に一点の春が見つかる。イタリアでは、早春のことをかわいい春、小さい春とも言うと昨夜ラジオ深夜便で聞いた。(高橋正子)

2月21日(6名)

●小口泰與
千切れ雲触れればやわき猫柳★★★
風走るシャッター街の風車★★★★
巻頭と同人になる春の夢★★★

●多田有花
青空を背景に紅梅を写す★★★★
素直な句だ。その「素直な」写生がいい。「青空」と「紅梅」の唯それだけで、風格を感じさせる句だ。(高橋信之)

梅の咲く寺に響きし人の声★★★
紅白の梅青空に枝交え★★★

●廣田洋一
せせらぎの流れ早まり風光る★★★
女子アナのお腹ふくらみ風光る★★★
風光る初めてできた逆上がり★★★★
写生句であろうか。それとも思い出の句であろうか。いずれにしてもいい句だ。上五に置いた季題の「風光る」は、まさに「季」であり、「題」である。そして、それに続く「初めて」がいい言葉だ。作者の想いを載せた「いい言葉」なのだ。(高橋信之)

●古田敬二
七草になれずひそやかいぬふぐり★★★
猫車いぬのふぐりを踏まぬよう★★★
全身に森の春光俳誌読む★★★★

●桑本栄太郎
窓を開け春の吹雪の躍りけり★★★
蒼天の楽譜となりぬ銀杏芽木★★★
土くれの白き田面や風光る★★★★

●満天星
橡の木の芽吹く枝々体育館★★★
栴檀のひこばえ伸びる遊園地★★★★
碧空へ右往左往の辛夷の芽★★★
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1 コメント

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御礼 (廣田洋一)
2017-03-02 11:42:24
高橋正子先生

いつも懇切にご指導頂き有難う御座います。
2月28日の「屋根雪を滑り落とせし東風吹きぬ」の句の中7を「滑り落として」と添削頂き有難う御座います。
リズムが格段に良くなりました。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。

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