◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

今日の秀句/4月11日~20日

2017-04-21 15:48:11 | Weblog

4月20日(3句)

★畑に吹く風の男(をのこ)や葱坊主/桑本栄太郎
葱坊主はいがぐり頭の男の子を思わせる。畑に吹く風を受ける、元気いっぱいの「風の子」である。たのしい句だ。(高橋正子)

★花吹雪の下で手を振る少年ら/多田有花
いい句だ。下五に置いた「少年ら」がいい。添削の必要がない。(高橋信之)

★山道の花大根や探鳥会/満天星
いい風景だ。「山道」「花大根」「探鳥」と、いい言葉が並んだ。(高橋信之)

4月19日(2句)

★燕飛ぶ雲ゆっくりと流る空/多田有花
「燕」と「雲」との対比がいい。広々とした空に春の動きがある。作者の快い発見だ。(高橋信之)

★花びらの散り敷く道を探鳥会/満天星
「花」と「探鳥」との取り合わせは、楽しい。「春が来た」喜びの句だ。生き生きとした喜びの句だ。(高橋信之)

4月18日(3句)

★疏水流る散りゆく花の真ん中を/多田有花
「真ん中」がいい。「花の真ん中」がいい。嬉しくなるのだ。(高橋信之)

★頬白や狐も出たる探鳥会/満天星
俳句の面白さだ。俳句の良さだ。(高橋信之)

★工場を囲みて赤き新芽かな/桑本栄太郎
「赤き新芽」がいい。「工場」に快い活気があって嬉しい。(高橋信之)

4月17日(3句)

★暖かや葱味噌煎の香ばしき/小口泰與
味噌味は、私の好物の一つだ。上五の季題「暖か」がいい。嬉しい春の季題だ。(高橋信之)

★音させて夕餉に浅蜊洗いけり/古田敬二
四国松山の海岸で浅蜊を獲った思い出がある。また就学前であった私が浅瀬で、バタバタともがいていたのを父が助けてくれた思い出もある。。父の膝下の深さに過ぎなかったが、その思い出は今も懐かしく鮮明に思い出す。若くして世を去った父の思い出である。(高橋信之)

★自転車の部活帰りや花は葉に/桑本栄太郎
下五に置いた「花は葉に」がいい。季題を見事に生かした。学校時代は、文武両道の生活を送っていたので、「部活」は懐かしい。野球、サッカー、バスケットボール等を楽しんでいた。(高橋信之)

4月16日(2句)

★ほんのりと蘂の赤きや花了る/桑本栄太郎
桜が咲き了るころ、花蕊が遠目にも赤く見える。蘂のほんのりとした赤さに花のおわりを思うのは、風流の一端。(高橋正子)

★水底に影を映して花筏/古田敬二
きれいに澄んだ水であろう。花筏の影が水底に映っている。花筏の桜色と澄んだ水の色を合わせ思うと、静謐な中にもほのかな明るさが心を占めてくれる。(高橋正子)

4月15日(3句)

★中天に陽来れば大きくいぬふぐり/古田敬二
中天の「太陽」と地上の「いぬふぐり」との対比である。張り合うことのできぬものの対比がいい。作者の内面の大きさを見た。(高橋信之)

★チューリップ八重の蕾の陽を包み/廣田洋一
小さいものが大きく、大きいものが小さく見えることがある。作者の内面の大きさによるのだ。(高橋信之)

★老農の太き十指や風光る/小口泰與
「老農」の人生の逞しさを詠んだ。中七の「太き十指」がいい。下五に置いた「風光る」が力強い。(高橋信之)

4月14日(4句)

★晴れやかに満開の桜見上げおり/多田有花
上五の「晴れやかに」がいい。晴れやかな日が日常にあるのが嬉しい。与えられたので、なお嬉しい。(高橋信之)

★畦川の水音高き花大根/小口泰與
「花大根」の優しい風景だ。嬉しい風景だ。(高橋信之)

★風頬に来て始まるや花吹雪/古田敬二
眼に見ることのできる嬉しさがあるが、肌に直に体感できる嬉しさは何よりも嬉しく思う。(高橋信之)

★外つ人の観光ガイドへ花の京/桑本栄太郎
いい風景を捉えた。「外つ人」を交え「花の京」は華やかに舞う。(高橋信之)

4月13日(2句)

★物を洗う桜を眺めつつ/多田有花
幾分早めかと思うが、桜の季節を区切りに冬物を洗って、冬と決別する。桜が散ればすぐにも薄暑。快い生活のテンポだ。(高橋正子)

★サイドカー片寄せてあり菜の花に/小口泰與
菜の花の咲く長閑なところに、サイドカーが止まっていて驚く。菜の花に魅かれて止めたのか、サイドカーに乗る人の心持に興味をそそられる。(高橋正子)

4月12日(2句)

★吉野山さくらを隠す霧が立つ/多田有花
吉野山に咲き満ちる桜、それだけでも圧巻の眺めであるのに、それを透かせるように霧が立ち上り幻想的な風景が現れた。感嘆ひとしきり。(高橋正子)

★雨降れば雨に解き居り紫木蓮/桑本栄太郎
花は咲くときを選ぶというより、自然の気温や日照などによって花の咲くときが来る。雨が降れば、雨の中に花開く。自然の摂理ではあるのだろうが、健気だ。(高橋正子)

4月11日(1句)

★結婚式の出雲大社や花曇り/桑本栄太郎
縁結びの神で知られる出雲大社。そこでの結婚式は古式ゆかしい華やかなものであろう。花曇りの空が、結婚式の厳かな中にもある華やかさを引き立てている。(高橋正子)
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19 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
御礼 (桑本栄太郎)
2017-04-12 19:12:51
高橋信之先生、正子先生
4月11日の今日の秀句に「結婚式の出雲大社や花曇り」の句をお選び頂き、嬉しい過分なるご句評も頂戴しまして大変有難う御座います!!。
甥の結婚式は、出雲大社北島国造館にて執り行われました。時折霧雨が降る花曇りの中、参加者全員「二礼四拍手一礼」で始まりました。花曇りながら、丁度この時に合わせたように桜が満開となり、二人の門出を祝していました。
御礼 (桑本栄太郎)
2017-04-13 20:20:56
高橋信之先生、正子先生
4月12日の今日の秀句に「雨降れば雨に解き居り紫木蓮」の句をお選び頂き、嬉しいご句評も頂戴しまして大変有難う御座います!!。
このところ菜種梅雨の雨模様でしたが、紫木蓮が至る所で紫の色を解くように咲き出しました。
季節の変わり目を知らせる春の雨は、とても情緒があります。
自由な投句箱 (桑本栄太郎)
2017-04-13 20:31:47
★二階より枝垂れ源平桃の咲く
★坂道を染めて哀しき花の屑
★式を終え学校帰りや花ゆすら

お礼 (多田有花)
2017-04-14 07:32:17
信之先生、正子先生
「吉野山さくらを隠す霧が立つ」を4月12日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
先週の土曜日に吉野山に行きました。
ときおり時雨のあるお天気で、それがかえって桜に情趣を与えていました。
御礼 (小口泰與)
2017-04-14 09:25:33
高橋信之先生、正子先生
4月13日の投句「菜の花」の句を今日の秀句にお選び頂き、その上、正子先生には素晴らしい句評をたまり厚く御礼申し上げます。これからもよろしくご指導のほどお願い申し上げます。
有難うございます。
御礼 (小口泰與)
2017-04-15 12:03:59
高橋信之先生、正子先生
4月14日の投句「花大根」の句を今日の秀句にお選び頂き、その上、信之先生には素晴らしい句評をたまり厚く御礼申し上げます。これからもよろしくご指導のほどお願い申し上げます。
有難うございます。
御礼 (桑本栄太郎)
2017-04-15 18:50:03
高橋信之先生、正子先生
4月14日の今日の秀句に「外つ人の観光ガイドへ花の京」の句をお選び頂き、嬉しいご句評も頂戴しまして大変有難う御座います!!。
先日、同窓会関西幹事会の打合せの為京都駅に集合しました。集合時間までかなり時間があり、観光ガイドセンターへパンフレットを貰いに行きましたが、外人観光客で溢れ返っていました。さすがに花の京都ならではと痛感しました。
お礼 (多田有花)
2017-04-16 07:27:14
信之先生、正子先生
「冬物を洗う桜を眺めつつ」を4月12日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
完全に寒さから縁が切れるのは、桜が散ってからかなと思います。
でも、明るい空と桜の花の色を見ると、もう冬の分厚い衣類は片付けたくなります。
お礼 (多田有花)
2017-04-16 07:30:34
信之先生、正子先生
「晴れやかに満開の桜見上げおり」を4月13日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
桜の美しさのひとつが「晴れやかさ」かなと思います。
青空の下の満開の桜ほど晴れやかなものはありません。
信之先生のご句評のとおり、「嬉しく」なります。
御礼 (廣田洋一)
2017-04-16 10:13:57
高橋信之先生
   正子先生

いつも懇切にご指導頂き有難うございます。
4月15日の秀句に「チューリップ八重の蕾の陽を包み」
をお選び頂き、その上信之先生には簡潔な句評を賜り誠に有難うございます。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。

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