◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

今日の秀句/4月21日~30日

2017-05-01 09:26:19 | Weblog

4月30日(2句)

★林に聞ゆ初音の輝ける/河野啓一
「輝ける」には初音を聞き届けた作者の生き生きした嬉しさが読み取れる。これからは鶯もよい声で鳴いてくれるだろう。(高橋正子)

★一人旅若葉の故郷へ向かいけり/古田けいじ
一人で故郷へ旅をする。故郷は今、若葉に照り輝いている。心やすらかな故郷への旅だ。(高橋正子)

4月29日(2句)

★たんぽぽの綿毛は軽き風を待つ/多田有花
たんぽぽの絮毛は軽い風でもすぐに飛んでいく。絮が飛ぶには軽い風でいい。かるがるとした晩春の野が明るい。(高橋正子)

★インターホン紫雲英を摘んできましたと/川名ますみ
紫雲英を摘んで来た嬉しさがインターホンの音に表れているようだ。野の紫雲英をはやく見せてあげたいはやる気持ちそのままのインターホン。(高橋正子)

4月28日(2句)

★その朝に晴れ晴れとして芽吹き山/多田有花
上五の「その朝に」の「その」は、作者にとって意味のある朝。その意味のある朝、晴れ晴れとした芽吹きの山が見晴らせた快さによい結果になる思いが見える。(高橋正子)

★さえずりや気散じの歩を図書館へ/小口泰與
「さえずり」を聞き、気散じの歩が図書館へ向かう。気散じの歩は、どこへ向かってもよいが、図書館へ向かう、すっきりとした気分が佳句となった。(高橋正子)

4月27日(3句)

★花楓幼児の声のよく通る/谷口博望(満天星)
私の住んでいる横浜郊外の日吉の町はずれにも「花楓」が群れ咲くところがある。慶応大学のグランド等の施設があって、若者たちの姿を見て散歩を楽しんでいる。(高橋信之)

★花水木風平らかにエントランス桑本栄太郎
「エントランス」の風景がいい。風の「花水木」がいい。町内の散歩道の街角に見る風景だ。(高橋信之)

★明るくて芽立の山に降る雨は/多田有花
「芽立」が明るければ、「降る雨」も明るい。「山の風景」も明るい。眼に触れるすべての風景が明るく、嬉しい風景だ。(高橋信之)

4月26日(3句)

★架け橋は肩幅のみや山桜/小口泰與
花見も様々である。作者が見えてくる。その姿も気持ちも読み手に伝わってくる。(高橋信之)

★緑にも匂ひは有りぬ若葉かな/廣田洋一
「若葉」の匂いだが、「緑」の匂いを嗅いだ。深いところを感じ取ったのだ。俳句ならではの深いところを、である。(高橋信之)

★風吹けば風に新樹の冷えにけり/桑本栄太郎
「新樹」との一体化を作者は感じた。俳句である。(高橋信之)

4月25日(2句)

★げんげ田の一枚残る住宅地/多田有花
住宅地となる前はのどかな田園風景が見られたところだろう。その風景を思い起こさせるように一枚のげんげ田が残っている。げんげ田の残るうれしさ、げんげを植えた農家の思いも読める。(高橋正子)

★眼前を翡翠飛んで日の暮るる/谷口博望(満天星)
小鳥のなかでも羽色の美しさ、その行動のスマートさは魅力だ。翡翠に出会って、今日が終わる。いい一日の終わりだろう。(高橋正子)

4月24日(3句)

★輝ける芽吹きの山に身を浸す/多田有花
自らの実感がある佳句。句の冒頭に「輝ける」を置き、作者の実感を明らかにした。(高橋信之) 

★古き種まだ生きてると撒きにけり/廣田洋一
中七の「まだ生きてる」に作者の思いを読む。嬉しい「思い」だ。(高橋信之)

★桜蘂降るや並木をバスに乗り/桑本栄太郎
「桜蘂」、「並木」、「バス」、と続き、読者に語り掛けてくる語りがある。日常生活の中での「語り」がある。日常生活の中にあって、日常生活を超えるところがあって、それがいい。(高橋信之)

4月23日(2句)

★ほのぼのと霞桜の昼下がり/多田有花
桜咲く昼下がりの、眠くなりそうなほどの陽気。だが、「ほのぼの」なので目がしっかりと昼下がりを見ている。(高橋正子)

★鮎放つ瀬尻の川音(かわと)変わりけり/小口泰與
鮎を放つと瀬音が変わる。敏感にそれを感じた。鮎の匂いが立ちあがってきそうだ。(高橋正子)

4月22日(3句)

★みな違う色みずみずし木の芽山/多田有花
山に木の芽が芽吹く。木々の芽吹きの色は少しずつ違って、微妙な色の重なりは、水彩画のような風景を見せる。それが「みずみずし」である。「みずみずし」に気持ちが表れていて、共感する。(高橋正子)

★草むらに浮き立つ色の薊咲く/廣田洋一
草むらの緑と、薊の色は好対照。春も酣の野の景色が眩しいほどだ。(高橋正子)

★いにしへの島の神々躑躅咲く/谷口博望 (満天星)
神域の躑躅が燃え立つようで印象深い。臼田亜浪の「死ぬものは死にゆく躑躅燃えてをり 」を思い出す。(高橋正子)

4月21日(3句)

★にしんそば食べる穀雨の頂で/多田有花
一般的に魚の干物は焼いて食されるが、身欠きニシンは米の研ぎ汁に1週間ほど漬けて戻した後、煮物や甘露煮などに加工して食べることが多い。柔らかく煮含めた身欠き鰊を具とした「にしんそば」は京都や北海道西部の名物となっている。(高橋信之)

   嵐山
★風光るトロッコ嵯峨の駅に立つ/桑本栄太郎
風光る「嵐山」をうまく捉えた佳句。芥川作品に「トロッコ」がある。芥川作品の中では中期(大正11年、1922年)に書かれたもので、芥川はこの年の一月に、彼の名作の一つである「藪の中」を発表し、その二か月後に発表されたのがこの「トロッコ」である。蜘蛛の糸や杜子春などとならび、少年向けの作品。(高橋信之)

★祈ることひとつ芽吹きの並木道/川名ますみ
祈ることは「ひとつ」の、ただそのことだけ。木々が芽吹く並木道を通りながら、木々の芽吹きに希望を託して心からの祈りの句(高橋正子)

◆◆◆

★桜散る空に吹きあぐ花びらも/高橋信之
一陣の風に今散ったばかりの桜の花びらが青空へと舞い上がる美しい情景が目に浮かび、花の季節に名残を惜しまれるお気持ちが伝わってきます。(柳原美知子)

★桜散る斜面にもまた桜色/高橋句美子
空に満ちる桜と斜面をも桜色に埋め尽くす落花、桜色に染まる季節の感動が生き生き
と伝わってきます。(柳原美知子)

★シャボン玉追い掛けている姉いもと/祝恵子
虹色のシャボン玉が風にゆらゆらと飛んで
いくのを追いかける仲良しの姉妹の微笑ましい景は、絵本を見るようです。(柳原美知子)

コメント (21)
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4月21日~30日

2017-05-01 09:25:11 | Weblog

4月30日(7名)

●谷口博望(満天星)
海匂ふ原生林や木通咲く★★★★
人声に木の上見れば河鵜かな★★★
学徒碑のそばに可憐な花かりん★★★

●多田有花
高枝より下がり初めにし藤の花★★★
森すぎる風が教える夏近し★★★★
急速に光の失せて春雷来★★★

●小口泰與
春炬燵居るは子犬と猫ばかり★★★
黄帽子の一列に行く春田かな★★★★
声は皆利根川(とね)に鍛えし新入生★★★

●廣田洋一
藤の花匂ひかぎける女の子かな★★★★
池渡る橋の藤棚風誘ふ★★★
春光や島の茶屋にて茶を喫す★★★

●河野啓一
黒潮の流れ豊かに青岬★★★
胡瓜もみピョンと飛び出す明石蛸★★★

竹林に聞ゆ初音の輝ける★★★★
「輝ける」には初音を聞き届けた作者の生き生きした嬉しさが読み取れる。これからは鶯もよい声で鳴いてくれるだろう。(高橋正子)

●桑本栄太郎
玉の井に春の雨降る荷風の忌★★★
竹林に赤き入日や竹の秋★★★
さわさわと葉擦れの音や新樹冷ゆ★★★★

●古田けいじ
平和歌集読みつつ春の一人旅★★★
一人旅若葉の故郷へ向かいけり★★★★
一人で故郷へ旅をする。故郷は今、若葉に照り輝いている。心やすらかな故郷への旅だ。(高橋正子)

飛騨川は若葉の山を映しけり★★★

4月29日(5名)

●谷口博望(満天星)
楤の芽や隠居の犀の悠々と★★★★
床の間の壺の青麦潔し★★★
ジャスミンや歯医者の前で引き返す★★★

●多田有花
春深き山の奥へと入りにけり★★★
たんぽぽの綿毛は軽き風を待つ★★★★
たんぽぽの絮毛は軽い風でもすぐに飛んでいく。絮が飛ぶには軽い風でいい。かるがるとした晩春の野が明るい。(高橋正子)

心地よき風が散らせる八重桜★★★

●小口泰與
花散るや未だ萌(きだ)さぬ葡萄の木★★★
夕映えを賜わる川や糸柳★★★
しゃぼん玉追いかくる子のころびけり★★★★

●桑本栄太郎
師と語る古語の事など昭和の日★★★
 き穂の風の酸葉やこころの穂★★★★
春雷を眠りの中に聞きにけり★★★ 

●廣田洋一
名を知らぬ花々咲きて春深む★★★★
花びらの一つ舞ひ来て池に落つ★★★
葉と共にぼってり咲きし八重桜★★★

●川名ますみ
囀の響くリズムに花弁散る★★★
インターホン紫雲英を摘んできましたと★★★★
紫雲英を摘んで来た嬉しさがインターホンの音に表れているようだ。野の紫雲英をはやく見せてあげたいはやる気持ちそのままのインターホン。(高橋正子)

春灯をゆっくり消して眠ろうか★★★

4月28日(5名)

●谷口博望(満天星)
花楓翼が生えて鳥になる★★★
うぶすなの満州いづこ春愁★★★★
走れない人工知能山笑ふ★★★

●多田有花
その朝に晴れ晴れとして芽吹き山★★★★
上五の「その朝に」の「その」は、作者にとって意味のある朝。その意味のある朝、晴れ晴れとした芽吹きの山が見晴らせた快さによい結果になる思いが見える。(高橋正子)

鳥の影葉桜の中に見え隠れ★★★
風に吹かれて夏近き頂に★★★

●小口泰與
さえずりや気散じの歩を図書館へ★★★★
「さえずり」を聞き、気散じの歩が図書館へ向かう。気散じの歩は、どこへ向かってもよいが、図書館へ向かう、すっきりとした気分が佳句となった。(高橋正子)

写真機を構ふる雉の機嫌かな★★★
繚乱の桜の中の鳥の声★★★

●廣田洋一
朝日浴び木の葉光れる夏近し★★★★
白きシャツネクタイ外し夏近し★★★
就活の学生群れて夏隣★★★

●桑本栄太郎
路面濡れ音無き雨の暮春かな★★★
春茱萸の色づき来たり通学路★★★★
遅き日や飴放りこむ虫押え★★★
<虫押え・・・空腹を一時的に押さえる食べ物。関西弁です>

4月27日(5名)

●谷口博望(満天星)
楓若葉三月ごと来るホスピタル★★★
朴の花北の空へと鳥の群れ★★★
花楓幼児の声のよく通る★★★★
私の住んでいる横浜郊外の日吉の町はずれにも「花楓」が群れ咲くところがある。慶応大学のグランド等の施設があって、若者たちの姿を見て散歩を楽しんでいる。(高橋信之)

●多田有花
葉桜となりすがすがし朝の雨★★★
明るくて芽立の山に降る雨は★★★★
「芽立」が明るければ、「降る雨」も明るい。「山の風景」も明るい。眼に触れるすべての風景が明るく、嬉しい風景だ。(高橋信之)

春暁のうすむらさきの山の際★★★

●小口泰與
花楓始発列車の女学生★★★★
繚乱の花海棠に粉糠雨★★★
風光る峠の鳥語聞き分くる★★★

●廣田洋一
紫木蓮背伸びせし花ぱたと落つ★★★★
子は一人五色揃へし鯉幟★★★
吊下り深呼吸せるドウダンツツジ★★★

●桑本栄太郎
花水木風平らかにエントランス★★★★
「エントランス」の風景がいい。風の「花水木」がいい。町内の散歩道の街角に見る風景だ。(高橋信之)

桜蘂降るや舗道の錆の色★★★
すかんぽの赤き穂が伸ぶ入日かな★★★

4月26日(5名)

●谷口博望(満天星)
穂の麦や武士道今も美しき★★★★
脇役の吹けば飛ぶ様花楓★★★
医学部の片隅に咲く朴の花★★★★

●小口泰與
うぐいすや梢下枝を選ばずに★★★
架け橋は肩幅のみや山桜★★★★
花見も様々である。作者が見えてくる。その姿も気持ちも読み手に伝わってくる。(高橋信之)

蜂飼の放ちし蜂の喰われけり★★★

●多田有花
風強く葉桜大いに騒ぎけり★★★★
小枝焚きコーヒー入れる日永かな★★★
ラケットを持ってコートへ夕長し★★★

●廣田洋一
早緑の伸び伸び光る暮の春★★★
早緑や明るくそよぐ春の庭★★★
緑にも匂ひは有りぬ若葉かな★★★★
「若葉」の匂いだが、「緑」の匂いを嗅いだ。深いところを感じ取ったのだ。俳句ならではの深いところを、である。(高橋信之)

●桑本栄太郎
風吹けば風に新樹の冷えにけり★★★★
「新樹」との一体化を作者は感じた。俳句である。(高橋信之)

からし菜の中州占めゆく蛇行かな★★★
暮れかぬる音無き窓の甘き雨★★★

4月25日(5名)

●多田有花
げんげ田の一枚残る住宅地★★★★
住宅地となる前はのどかな田園風景が見られたところだろう。その風景を思い起こさせるように一枚のげんげ田が残っている。げんげ田の残るうれしさ、げんげを植えた農家の思いも読める。(高橋正子)

のどかさの草に寝転ぶ男かな★★★
春深し生れし蜻蛉の翅光る★★★

●満天星
春愁や読み直したく「司馬遼」を★★★
眼前を翡翠飛んで日の暮るる★★★★
小鳥のなかでも羽色の美しさ、その行動のスマートさは魅力だ。翡翠に出会って、今日が終わる。いい一日の終わりだろう。(高橋正子)

ひたすらに花豌豆をヌートリア★★★

●小口泰與
逝く日まで見事みごとや花吹雪★★★
黒猫や雉の鋭声を聞きなせり★★★
激つ瀬に虻の羽音を聞き分くる★★★★

●桑本栄太郎
<教会葬にて>
電飾の遺影ほほ笑む薔薇の花★★★
讃美歌と薔薇に嗚咽や友送る★★★
白ばらの献花哀しき友送る★★★★

●廣田洋一
水柱地球儀廻し夏近し★★★★
人魚姫宙に舞ひける春暑し★★★
白つつじ花の街道なしてをり★★★

4月24日(5名)

●多田有花
春たけて日ごと輝く山の色★★★
輝ける芽吹きの山に身を浸す★★★★
自らの実感がある佳句。句の冒頭に「輝ける」を置き、作者の実感を明らかにした。(高橋信之) 

晩春やみなさみどりに燦々と★★★

●満天星
水子抱き乳をあらはに松の花★★★
ひとしきり鷭の番を蓮田にて★★★
遠眼鏡赤き口開け烏の子★★★★

●小口泰與
乾びたる鴉の声や春落葉★★★
外に出づや血染めの如き落椿★★★
交じりたる唐くれないの桜かな★★★★

●廣田洋一
鉢植の赤く揺れたる花苺★★★
ハウスにて低く垂れたる花苺★★★
古き種まだ生きてると撒きにけり★★★★
中七の「まだ生きてる」に作者の思いを読む。嬉しい「思い」だ。(高橋信之)

●桑本栄太郎
ベランダの鉢に風来る葱坊主★★★
お迎えのママが来て居りチューリップ★★★
桜蘂降るや並木をバスに乗り★★★★
「桜蘂」、「並木」、「バス」、と続き、読者に語り掛けてくる語りがある。日常生活の中での「語り」がある。日常生活の中にあって、日常生活を超えるところがあって、それがいい。(高橋信之)

4月23日(5名)

●多田有花
ほのぼのと霞桜の昼下がり★★★★
桜咲く昼下がりの、眠くなりそうなほどの陽気。だが、「ほのぼの」なので目がしっかりと昼下がりを見ている。(高橋正子)

新しき道まっすぐに春深む★★★
囀や目覚めの朝のかたわらに★★★

●小口泰與
鮎放つ瀬尻の川音(かわと)変わりけり★★★★
鮎を放つと瀬音が変わる。敏感にそれを感じた。鮎の匂いが立ちあがってきそうだ。(高橋正子)

花どきの却って暑き朝かな★★★
せせらぎを醸す白鷺春落葉★★★

●廣田洋一
遠霞空と海とを繋ぎけり★★★★
狭き庭整地終えて夏近し★★★
小枝切りものは試しと挿し木せり★★★

●谷口博望(満天星)
四ッ辻の花と葉そよぐ花水木★★★★
探鳥や山の斜面に著莪の花★★★
川上へ芥流れて若葉風★★★

●桑本栄太郎
<JR京都線車窓>
ビル街の大阪駅や花水木★★★
からし菜の中州を覆い蛇行かな★★★★
すかんぽや田中に列の下校生★★★

4月22日(5名)

●多田有花
柴犬が春雨傘をひいてゆく★★★
稜線を仰げば空へ木の芽立ち★★★
みな違う色みずみずし木の芽山★★★★
山に木の芽が芽吹く。木々の芽吹きの色は少しずつ違って、微妙な色の重なりは、水彩画のような風景を見せる。それが「みずみずし」である。「みずみずし」に気持ちが表れていて、共感する。(高橋正子)

●小口泰與
鳥の来て花数へらす杏かな★★★
糸柳利根の川音(かわと)の立ちにけり★★★★
山鳥や黒雲かえす県境★★★

●廣田洋一
春深し茶飲み友達大切に★★★
花薊一本咲ける旅の空★★★
草むらに浮き立つ色の薊咲く★★★★
草むらの緑と、薊の色は好対照。春も酣の野の景色が眩しいほどだ。(高橋正子)

●谷口博望 (満天星)
いにしへの島の神々躑躅咲く★★★★
神域の躑躅が燃え立つようで印象深い。臼田亜浪の「死ぬものは死にゆく躑躅燃えてをり 」を思い出す。(高橋正子)

眼前を燕掠める被爆川★★★
青葉目に真白き鳩の対岸に★★★

●桑本栄太郎
<JR高槻~大山崎界隈>
すかんぽや田中に列の下校生★★★
キリンの絵描かれ園バス花は葉に★★★★
からし菜の中州覆いて水もなし★★★

4月21日(5名)

●多田有花
にしんそば食べる穀雨の頂で★★★★
一般的に魚の干物は焼いて食されるが、身欠きニシンは米の研ぎ汁に1週間ほど漬けて戻した後、煮物や甘露煮などに加工して食べることが多い。柔らかく煮含めた身欠き鰊を具とした「にしんそば」は京都や北海道西部の名物となっている。(高橋信之)

春筍やぽっと頭を出しており★★★
囀が囲む頂小枝焚く★★★

●小口泰與
山里の靄の彼方や糸柳★★★★
畦の雉鋭声ひと声それっきり★★★
身にかなう酒や目刺に独り言つ★★★

●廣田洋一
川の水今日も流れて春惜しむ★★★
褒められし腰の動作に春惜しむ★★★
春惜しむ園遊会の両陛下★★★★

●桑本栄太郎
<嵐山三景>
風光るトロッコ嵯峨の駅に立つ★★★★
芥川作品に「トロッコ」がある。芥川作品の中では中期(大正11年、1922年)に書かれたもので、芥川はこの年の一月に、彼の名作の一つである「藪の中」を発表し、その二か月後に発表されたのがこの「トロッコ」である。蜘蛛の糸や杜子春などとならび、少年向けの作品の一つとなっている。(高橋信之)

濁流の渡月橋ゆき春惜しむ★★★
入日落つ天の蒼さや春の闇★★★

●川名ますみ
祈ることひとつ芽吹きの並木道★★★★
祈ることは「ひとつ」の、ただそのことだけ。木々が芽吹く並木道を通りながら、木々の芽吹きに希望を託して心からの祈りの句(高橋正子)

どの枝も均しく芽組む大欅★★★
行く春や想い出はみな美しき★★★
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