表紙・一勝画

01・北国の春風未だ厳しかり・鴻風

>(発句)東日本の太平洋側も、大雪の日本海側も、そして北海道も。
なべて北国は春風までも未だまだ厳しい。
02・廃家の庭にまんさく咲けり・紀子
>(脇句)北国の寒さを捨て、温かな南国や働きやすい大都会に住む場所を
求めて家郷を捨てた。その廃家にまんさくの花が咲きだした。
03・さだかにはあらねど初音かと思ふ・花惠

>(三句)廃家からは鳥の声も聞こえる。今啼いたのは確かに鶯の初音だ
と思ったが。万作の花が咲き鶯も啼きだした。春が来ているよ。
04・禁煙区域で払ふ罰金・一勝

>(四句)鶯の初音を聞き、ゆったりとした気分になったら、一服吸いたくなって、
火をつけたらここは禁煙区だったよ。罰金は痛いよ。
05・真夜中の回転木馬照らす月・有亭
>(五句)今日も大勢の人が遊びに来てくれた。罰金を払っていた人は可哀そうに。
明日も大勢の人が遊びに来ることだろう。
06・聞こへてきさうジンタの響き・利久

>(折端)ファンタステイックな遊園地の眞夜中。何処からかジンタの響きも
聞こえてくる。もう春もすぎ夏が感じられる夜だよ。
07・青空に泳ぐ千匹鯉おぼり・朋子

>(折立)季節も春から夏に移った。川幅いっぱいに千匹もの鯉のぼりが
泳いでいる。子供たちが両手をあげて子供の日を謳歌している。
08・粽食べつつ母を迎へに・鴻風

>(二句)鯉のぼりを見上げている間に夕方になってしまった。お母さんが
帰ってくる時間だ。駅まで迎えに行こうよ。
09・子どもらは白詰草の首飾り・千枝

>(三句)此処は花の定座である。お母さんを迎えに行く子供らの首には
白詰草の首飾りが揺れている。
10・夢の浅瀬を跳んで行きたし・江梅

>(四句)子供頃には大きな夢がある。その夢に向かって子供達は浅瀬を
跳んでゆくのである。浅瀬が意外と深みでもあるのだ。
11・糸切れしままの風鈴ぼくの家・清月

>(五句)風鈴の舌の糸がならない。帰ったらつけてやろう。これも小さ
な夢かもしれない。「父の家」は「ぼくの家」でもあるのだ。
12・酒のさかなは訳ありの品

>(六句)ぼくの家には父も母もおじいちゃんもおばあちゃんも、兄も姉
も弟も妹もいるんだ。お父さんの酒のつまみにはね・・・。
13:夏の恋三段論法割愛す:夕花

>(七句)知り合い、食事をし、手を握りなどと言う恋につきものの、三
段論法は一切省略した恋。こんな恋をできる人に私はなりたい。
14:自販機で買ふカルピスウオータ:利久

>(八句)恋の営みの終わったあとの口の渇きには、カルピスウオーター
を買うに限る。あすは夏の月の満月だ。月がきれいである。
15:窓からの月光に吠え木彫熊:亀庵

>(九句)木彫熊も時には月に向かって吠えたくなることもあるのだ。窓
から差し込む月光を見ていると北海道が思い出されるのである。
16:日付変はりし深夜の帰宅:薫子

(十句)今日も旦那の帰りが遅い。どこで飲んだくれているのか。熊に
食われて死んでも知らないんだから。帰ってきたよ。
17:故郷へ行く道すがら夾竹桃:良子

>(十一句)たまには故郷に帰って墓参りでもしないと、ご先祖さまが
「お前らも早く来い〜」と呼んでいる気がしてならないよ。
18:海辺を走る一両電車:清月

>(折端)故郷までは海辺を走る一両電車に乗らないと行かれないのだ。
とちゃんも、かちゃんも元気でいるだろうなぁ〜
19:秋色にマラソン人の駆抜けり:有亭

>(折立)どこか秋の色が濃くなってきた。秋はスポーツの季節である。
オリンピック出場を目指して走っているのだが。
20:スカイツリーの蒼穹を突く:花恵
(二句)35000人が走る東京マラソンだ。4年かかって完成された
スカイツリーも青空に突き刺さるように耀いている。
21:稲刈りへアクアラインをひた走る:薫子

>(三句)今年もアクアラインに車を走らせて稲刈りに行こう。それにして
も便利になったよ。今年は10月にマラソン大会もあるよ。
22:最後尾でも間に合へばいい:千枝

>(四句)今年の稲刈りも我が田だけ取り残された感じもするが、いいじ
ゃないかたとえ最後尾であっても間にあえばそれでいいんだよ。
23:金婚の屏風をひらく良夜かな・一勝

(五句)間にあったよ。今日は両親の金婚式なんだ。息子として遅れた
らなんと云われたことか。金屏を開いてこれから祝賀の宴だ。
24:祝ひの膳の鮮やかな色:紀子
(六句)金婚式の祝いの膳だから鮮やかな朱色がいい。振り返るとお前
にも随分と苦労をかけて来たもんだ。いいよな。夫婦だもの。
25:赤い羽根つけて駆け込む新幹線:清月

(七句)最後尾でもいいと参加した金婚式だったが、帰りは新幹線で帰ろう。
俺も北海道新幹線には乗れないで死んで行くのか。
26:峰を並べる大和三山:弘務

(八句)車窓からは大和三山の耳成山・香具山・畝傍山が見える。万葉
の時代からたくさんの歌に詠まれた山々である。弁当を食うか
27:一時間一本のバス彼岸花:千廣

(九句)山から来るバスは1時間に1本しかないのだ。だから乗り遅れ
ないためには、1時間前から来て待っているんです。
28:夫婦して飲むワンカップ酒:美秋

(十句)彼岸参りで、お墓にお供えした酒を下ろして墓前で夫婦してい
ただく。これが死者への最大の供養である。温かな秋の日。
29:不揃ひの磴百段紅葉山:江梅

(11句)せっかく此処まで来たんだ。酒の勢いを借りてあと百段の磴を
登ろうじゃないか。紅葉の名所と言われる山があるんだ。
30山ガールのスタイル満点:薫子

(12句)わしらは不揃いの石坂を一段ずつ登っているのに、山ガールは
颯爽と軽々しく登って行くよ。わしらにも若い時はあったのだ
名残の裏
31:影ふたつ路地より消えし風の盆:利久
(一句)いつの間にか二人の影が消えているけれど、何処にいったんだ
い。今夜は風の盆で胡弓の音も切なく聞こえるではないか。
32:知らせあひたるメールアドレス:千枝
(二句)二人の影が消えたかと思うと、メールアドレスの交換をしてい
たんだ。まずはメルアドの交換から恋は始まるのだ。
33:落葉焼く煙一筋西の空:弘務
(三句)場面は変わって初冬の景である。毎日降る落葉に感慨をこめて
燃やすのだがひとすじの煙は西空へと流れる。この香煙を友への手向けとしよう。
34:冬田道行くスキップの子等:有亭

(四句)西空にはすでに一番星も出ている。家々には冬の灯りがともり
始めた、スキップをしながら帰ろう。お母さんが待っている。
35:寒菊やまとふ光を励みとし:鴻風

(五句)寒菊には独特の雰囲気がある。この寒菊を俳句会の主宰なら、
寒菊を取り巻く光耀くたくさんの人に励まされているのだ。
36:一歩一歩の足を踏みしめ:千廣

(挙句)寒菊は枯れても、一人一人が一歩一歩足を踏みしめて俳句の道
を進んで行って欲しい。「句写美」が終刊になろうとも。
俳句の道は世界へと通じているのだ。満尾

01・北国の春風未だ厳しかり・鴻風

>(発句)東日本の太平洋側も、大雪の日本海側も、そして北海道も。
なべて北国は春風までも未だまだ厳しい。
02・廃家の庭にまんさく咲けり・紀子
>(脇句)北国の寒さを捨て、温かな南国や働きやすい大都会に住む場所を
求めて家郷を捨てた。その廃家にまんさくの花が咲きだした。
03・さだかにはあらねど初音かと思ふ・花惠

>(三句)廃家からは鳥の声も聞こえる。今啼いたのは確かに鶯の初音だ
と思ったが。万作の花が咲き鶯も啼きだした。春が来ているよ。
04・禁煙区域で払ふ罰金・一勝

>(四句)鶯の初音を聞き、ゆったりとした気分になったら、一服吸いたくなって、
火をつけたらここは禁煙区だったよ。罰金は痛いよ。
05・真夜中の回転木馬照らす月・有亭
>(五句)今日も大勢の人が遊びに来てくれた。罰金を払っていた人は可哀そうに。
明日も大勢の人が遊びに来ることだろう。
06・聞こへてきさうジンタの響き・利久

>(折端)ファンタステイックな遊園地の眞夜中。何処からかジンタの響きも
聞こえてくる。もう春もすぎ夏が感じられる夜だよ。
07・青空に泳ぐ千匹鯉おぼり・朋子

>(折立)季節も春から夏に移った。川幅いっぱいに千匹もの鯉のぼりが
泳いでいる。子供たちが両手をあげて子供の日を謳歌している。
08・粽食べつつ母を迎へに・鴻風

>(二句)鯉のぼりを見上げている間に夕方になってしまった。お母さんが
帰ってくる時間だ。駅まで迎えに行こうよ。
09・子どもらは白詰草の首飾り・千枝

>(三句)此処は花の定座である。お母さんを迎えに行く子供らの首には
白詰草の首飾りが揺れている。
10・夢の浅瀬を跳んで行きたし・江梅

>(四句)子供頃には大きな夢がある。その夢に向かって子供達は浅瀬を
跳んでゆくのである。浅瀬が意外と深みでもあるのだ。
11・糸切れしままの風鈴ぼくの家・清月

>(五句)風鈴の舌の糸がならない。帰ったらつけてやろう。これも小さ
な夢かもしれない。「父の家」は「ぼくの家」でもあるのだ。
12・酒のさかなは訳ありの品

>(六句)ぼくの家には父も母もおじいちゃんもおばあちゃんも、兄も姉
も弟も妹もいるんだ。お父さんの酒のつまみにはね・・・。
13:夏の恋三段論法割愛す:夕花

>(七句)知り合い、食事をし、手を握りなどと言う恋につきものの、三
段論法は一切省略した恋。こんな恋をできる人に私はなりたい。
14:自販機で買ふカルピスウオータ:利久

>(八句)恋の営みの終わったあとの口の渇きには、カルピスウオーター
を買うに限る。あすは夏の月の満月だ。月がきれいである。
15:窓からの月光に吠え木彫熊:亀庵

>(九句)木彫熊も時には月に向かって吠えたくなることもあるのだ。窓
から差し込む月光を見ていると北海道が思い出されるのである。
16:日付変はりし深夜の帰宅:薫子

(十句)今日も旦那の帰りが遅い。どこで飲んだくれているのか。熊に
食われて死んでも知らないんだから。帰ってきたよ。
17:故郷へ行く道すがら夾竹桃:良子

>(十一句)たまには故郷に帰って墓参りでもしないと、ご先祖さまが
「お前らも早く来い〜」と呼んでいる気がしてならないよ。
18:海辺を走る一両電車:清月

>(折端)故郷までは海辺を走る一両電車に乗らないと行かれないのだ。
とちゃんも、かちゃんも元気でいるだろうなぁ〜
19:秋色にマラソン人の駆抜けり:有亭

>(折立)どこか秋の色が濃くなってきた。秋はスポーツの季節である。
オリンピック出場を目指して走っているのだが。
20:スカイツリーの蒼穹を突く:花恵
(二句)35000人が走る東京マラソンだ。4年かかって完成された
スカイツリーも青空に突き刺さるように耀いている。
21:稲刈りへアクアラインをひた走る:薫子

>(三句)今年もアクアラインに車を走らせて稲刈りに行こう。それにして
も便利になったよ。今年は10月にマラソン大会もあるよ。
22:最後尾でも間に合へばいい:千枝

>(四句)今年の稲刈りも我が田だけ取り残された感じもするが、いいじ
ゃないかたとえ最後尾であっても間にあえばそれでいいんだよ。
23:金婚の屏風をひらく良夜かな・一勝

(五句)間にあったよ。今日は両親の金婚式なんだ。息子として遅れた
らなんと云われたことか。金屏を開いてこれから祝賀の宴だ。
24:祝ひの膳の鮮やかな色:紀子
(六句)金婚式の祝いの膳だから鮮やかな朱色がいい。振り返るとお前
にも随分と苦労をかけて来たもんだ。いいよな。夫婦だもの。
25:赤い羽根つけて駆け込む新幹線:清月

(七句)最後尾でもいいと参加した金婚式だったが、帰りは新幹線で帰ろう。
俺も北海道新幹線には乗れないで死んで行くのか。
26:峰を並べる大和三山:弘務

(八句)車窓からは大和三山の耳成山・香具山・畝傍山が見える。万葉
の時代からたくさんの歌に詠まれた山々である。弁当を食うか
27:一時間一本のバス彼岸花:千廣

(九句)山から来るバスは1時間に1本しかないのだ。だから乗り遅れ
ないためには、1時間前から来て待っているんです。
28:夫婦して飲むワンカップ酒:美秋

(十句)彼岸参りで、お墓にお供えした酒を下ろして墓前で夫婦してい
ただく。これが死者への最大の供養である。温かな秋の日。
29:不揃ひの磴百段紅葉山:江梅

(11句)せっかく此処まで来たんだ。酒の勢いを借りてあと百段の磴を
登ろうじゃないか。紅葉の名所と言われる山があるんだ。
30山ガールのスタイル満点:薫子

(12句)わしらは不揃いの石坂を一段ずつ登っているのに、山ガールは
颯爽と軽々しく登って行くよ。わしらにも若い時はあったのだ
名残の裏
31:影ふたつ路地より消えし風の盆:利久
(一句)いつの間にか二人の影が消えているけれど、何処にいったんだ
い。今夜は風の盆で胡弓の音も切なく聞こえるではないか。
32:知らせあひたるメールアドレス:千枝
(二句)二人の影が消えたかと思うと、メールアドレスの交換をしてい
たんだ。まずはメルアドの交換から恋は始まるのだ。
33:落葉焼く煙一筋西の空:弘務
(三句)場面は変わって初冬の景である。毎日降る落葉に感慨をこめて
燃やすのだがひとすじの煙は西空へと流れる。この香煙を友への手向けとしよう。
34:冬田道行くスキップの子等:有亭

(四句)西空にはすでに一番星も出ている。家々には冬の灯りがともり
始めた、スキップをしながら帰ろう。お母さんが待っている。
35:寒菊やまとふ光を励みとし:鴻風

(五句)寒菊には独特の雰囲気がある。この寒菊を俳句会の主宰なら、
寒菊を取り巻く光耀くたくさんの人に励まされているのだ。
36:一歩一歩の足を踏みしめ:千廣

(挙句)寒菊は枯れても、一人一人が一歩一歩足を踏みしめて俳句の道
を進んで行って欲しい。「句写美」が終刊になろうとも。
俳句の道は世界へと通じているのだ。満尾










