よしジーのたわ言

快フィットネス研究所 所長 吉井 雅彦(よしジー)の思いつくまま、気の向くままのブログです。時々まじめな内容有り!

心の除染

2017年08月13日 | うんちく・小ネタ
東日本大震災、原発事故から6年と半年が過ぎようとしています。

本の紹介です。

『「心の除染」という虚構』、黒川祥子著、集英社インターナショナル発行

副題には「除染先進都市はなぜ除染をやめたのか」とあります。

今回の原発事故の放射能の影響で、多くの市町村が避難を余儀なくされています。

その中の一つ、福島市の北東に位置する伊達市での様子を紹介した本です。

この3月の避難解除になった飯館村などは全村避難を余儀なくされた異常事態については多くを報道されています。

伊達市は、事故後しばらくして、スポット的に放射線量が高い地区があることが分かり、同じ地区であっても線量が高く出た家ごとに避難を勧めるといった「避難勧奨地点」となりました。

家の数か所の基準点の線量を測定して基準以上なら、避難勧奨となりました。

勧奨というのは「避難してもしなくてもどちらでもいいよ」というものです。

この避難勧奨地点に指定されると、全村、全長避難している他の市町村同様、損害賠償金が支払われます。

指定されなければ出ません。

これによって、これまで仲良く暮らしていた地区、町内がいがみ合うようになりました。

市の職員の家だから、役職の家だから指定されたんだといううわさが蔓延したそうです。

この本に紹介されている一つの話では、当初から家の周りの線量が高いことを心配して毎日家の周りを水で洗い流していた(除染していた)家では、指定測定の時に線量が低くなっており、結局指定されなかったとか。

行政の対応が遅い、悪いことを指摘して活動していた住民は、そのうち異端児として見られるようになってしまったと書かれています。

学校においては「モンスター・ペアレント」です。

小学校の全校避難を懇願していた親は、そこの先生に「これ以上騒いでいると、子供も含めていじめられますよ!」と注意された逸話が紹介されています。

この本の題名にある「心の除染」は伊達市長の言葉とのことですが、きれいに洗い流す除染ではなく、臭いものには蓋をする行為だと著者は指摘しています。

本当のことを知りそれに対して真摯に対応してほしい住民と、混乱をなるべく避けたい行政側の大きなギャップが悲劇を生じました。

ここには放射線の影響が明確になっていない事実があるからです。

ご存知のように、当初年間20ミリシーベルトまで大丈夫だと公言していたのが、その後1ミリシーベルトに引き下げられました。

どうやら、1ミリシーベルトにしておけば、騒いでいる人も納得するだろうというあたりから出てきた基準のようです。

したがって、何かあると元の20ミリシーベルトが顔を見せるのです。

結局この低放射線の影響は30年後になってみないと分からないのです。

やっぱり低い基準にしておけばよかったと後悔したくないと、将来がある小さな子供を持つ親は考えます。

しかし低い基準を採用するとお金と時間がかかる。

そこで行政側は二の足を踏むのです。

あいつで避難解除されていますが、そこの住民の中にはまだ時期尚早だという意見が多くあります。

でも国は上の方(甘い)の基準を横目で見つつ、「早く元の暮らしに戻ってほしい」ときれいごとを並べ立てています。

ところが現実は、解除された市町村で2割も満たない人しか戻らない、戻れない現実があるのです。

この本を読むと、そのあたりの心情が、後天的に培われていった様子が理解できます。

この、国、行政が取ったきた施策がよかったのか、悪かったのか?

結論は、事故30年後、つまり23年と半年後に出るのです。
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