先日お願いした、
水産庁の「巻き網漁業の許可改正に対するパブリックコメントの募集」に関して、
多くの皆様がコメントをして頂いたようです。
私達漁師も漁業協同組合も、国民の皆様に頂いている「権利」を勘違いし、浪費してきた結果が、現在の水産業の現状を招いたのではないかと反省をしております。
以下に私が提出したコメントの内容をお知らせします。
本当はこういうコメントの場合、理論づけて、具体的に意見しなければならないのでしょうが
感情的、私的なコメントとなってしまいます。ナンチャッテの意見なんでご了承願います。
長崎県対馬市で釣り漁業を行う漁師です。「遠く離れた外洋での出来事」では済まされない思いです。海は繋がっています。魚の命も繋がっています。そのような事から、この度の事案に強く危惧し、コメントいたします。
改正の趣旨説明に「安定的な水産物の供給」とあるがそもそも、各家庭の台所で「魚がたりない!」と叫ばれているのだろうか。
昨今、魚食離れが進み、水産物の過剰供給が問題化している。皆様は魚市場に水揚げされた魚が売れ残り転がっている現状を御覧になった事があるでしょうか?
巻き網漁業を始めとする漁法による過剰供給の結果、魚価安をまねき、例え漁獲しても経費さえ取れない厳しい漁家経営の現状がある。国、関係機関は漁船の大型化と漁獲量の増大を図るのではなく、少ない漁獲量で、高い利益を生む政策を進めるべきである。
繰り返すが、巻き網漁業の主要魚種であるアジ、サバ、マグロなどに代表されるように幼魚の漁獲と過剰供給は魚価安を招き、結果として負の連鎖の中で「不安定な漁業形態」が構築されてきた。更にそれを血税で助成してきた為、水産業、漁師は公的な助成無しでは経営が成り立たなくなってしまった。
絶対的な海洋資源の枯渇が進む中で、今後、徹底した資源管理を行い、「大きくして獲る」、この事の重要性、合理性はすでに、ノルウェーやニュージーランドで実証されている事で、この国の水産業を危惧する専門家の間でも盛んに叫ばれ、提言されている。
その様な中、「条件付き」、特例とはいえ、このような巻き網漁業に対する制度改正が行なわれようとしていることは到底黙認する事はできない。
「外洋での漁獲であるために沿岸漁民との調整は想定しない」とあるが、そのような論理が矛盾である事は周知の通りで、海は繋がっており、対象とされているカツオ類は広く回遊する魚種であり、回遊ルートが異なっているとは断定できない。又、漁獲量の統計が採られておらず、商品として市場に出ないため把握されていないが、海洋生態系の中では重要な種が漁獲、混獲されている現状も見過ごせない。このようなことから沿岸漁業への事前説明、意見交換などの調整は不可欠である。
未曾有の災害がこの国を遅ってから、一年を迎える。今も多くの被災者が苦痛の中で明日への希望も持てない暮らしを余儀なくされている。
国が提唱してきたエネルギー政策は様々な問題点を浮き彫りにし、国民が信じて疑わなかったものが揺るぎ破壊し、「国が言っている事、政策は間違いばかりではないのだろか、何も信じられない」と不安、憤りを顕にしている。
今こそ、水産行政においても、「継続的な資源の供給」、「次世代への豊かな海の恵みの継承」との視点に立ち、国民に「未来へ繋がる食の安定供給」の指針を示すべきではないだろうか。
安くても、幼魚でも獲れる物は獲るとの従来の漁業姿勢を見直すべきである。
今回の「巻き網漁業の許可改正」だけではなくすべての漁業法の改正に上記のような視点に立った改正を強く要望します。
対馬をはじめとした沿岸漁民も犠牲を惜しまず、水産資源の継続への努力をし、豊かな恵みを未来へ繋いでいけるよう努力するべきと考えています。