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「官から民へ」の中身

2005年08月13日 | マニフェスト
 従来のように、公共をすべて官(行政)が担うべきだと考える時代は終わりました。官僚機構は、肥大化し硬直化した組織となっていると同時に、財政的に破綻状態となっていることから「大きな政府」から「小さな政府」への転換が求められているのです。また、多様化し益々増大するパブリックな要請に対して、すべて官が支えていくことはできないため、NPOも含めて多様な主体がその特性を活かして公共を支えるしくみが模索されています。

 そこで、官が行ってきた事業(施策)に競争原理を導入して効率的・効果的なものとしていくために、官の仕事を民間にまかせるという方向での改革が進んでいます。 
 しかし・・・だからといって、政府の郵政民営化法案が「官から民へ」の最善の策という訳ではありませんし、構造改革の本丸に位置づけられるような代物ではありません。
 
 政府が郵便貯金の限度額を増やしつづけてきたことから、現在の日本郵政公社は個人資産の1/4を抱える世界最大の金融機関となり340兆円ものお金を集めました。政府案では、この郵貯・簡保事業を民営化することが掲げられていましたが、民間企業となった際にこの膨大な資産を有効活用することができるのかどうかが不確実であり、もし失敗した場合には政府に莫大な損失が生じるといったことや、他の金融機関への影響はどうか、あるいは過疎地では唯一の身近な金融機関として存在していることから経営合理化で廃止された場合の影響はどうなるかなど、「民営化」の中身に問題が多い法案だったのではないかと思います。また、分社化された郵貯会社・保険会社が外資に買収されることも懸念されます。
   
 このような巨大化した金融機関を「官から民へ」というのではなく、郵便貯金の限度額引き下げや簡易保険の縮小などにより金融部門を縮小して巨大化そのものを是正していく現実的かつ確実な「官から民」の方針が民主党から出されたと報じられました。
 
民主マニフェスト、郵貯限度額を段階的に引き下げ (読売新聞) - goo ニュース 
民主、マニフェストに郵政改革案 公社は維持、郵貯縮小 (朝日新聞) - goo ニュース
 
 今まで、郵便貯金に1千万円に貯金していた人が700万→500万というように縮小されていけばその差額分が民間金融機関等に流れていきます。こうした政策によってお金の流れを「官から民へ」変えていくことも非常に有効な改革の方向です。

 構造改革を進める上で、「官から民へ」ということが唯一の方法ではありません。また同時に「官から民へ」の中身そのものも多様な方法・選択肢があることを理解していくことが必要だと思います。

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