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地方自治の憲法

2005年05月15日 | マニフェスト
 今日の話題は、自治基本条例についてです。

 日本国憲法では、「国政は、国民の厳粛な信託によるもの」(前文)と記述されています。「信託」とは、信頼してまかせることを意味しますが、信頼してまかせる範囲は憲法の枠組みの中での話です。そういう意味で、政治家は選挙で当選したら何をやっても良いという訳ではありません。同時に、国民主権という原則から地方自治制度が設けられていますが、これは国が地方に権限の一部を委任しているという意味でありません。憲法第92条では、地方自治に関する事項は「地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める」と定められていますが、ここで言う地方自治の本旨(地方自治の基本)とは、「住民自治」と「団体自治」であり、そのよりどころは主権者である国民(市民)が「信託」やその他の方法によって治めるべきものだということです。ちなみに、「住民自治」とは、住民自らが自らの地域のことを考え、自らの手で治めていくことで、「団体自治」とは、地域のことは地方公共団体が自主性・自立性をもって、自らの判断と責任の下に地域の実情に沿った行政を行っていくことを意味します。

 昨今の地方分権の進展は、「明治維新、戦後改革に次ぐ『第三の改革』」とも言われています。そして、地方分権の推進によって「地域の行政は、地域の住民が自分たちで決定し(自己決定)、その責任も自分たちが負う(自己責任)という行政システムを構築」することや「全国的な統一性や公平性を重視する『画一と集積』の行政システムから住民や地域の視点に立った『多様と分権』の行政システムに変革」することが求められているのです。

 そうした中で、住民自治機構としての自治体政府に「信託」する際、地方自治版の憲法に該当するものが必要ではないかとの考えが出てきました。これが、自治基本条例と言われるものの本質ではないかと思います。




 では、自治基本条例では何を定めるべきなのでしょうか?

 まず、先日紹介した「何故憲法か」で論じられていることを例にとって言うと、なぜ地方自治に自治基本条例が必要なのかを明らかにし、自治基本条例の理念を受け入れることをそれ自体に宣言すると共に、この基本条例が市民全体の合意に基づくものであることを明確にする必要があるでしょう。

 その上で、地方自治の本旨に関する理念について確認すると共に、地方自治の本旨を実現するための方法や基本姿勢・理念ならびに具体的な制度を定める必要があります。

 より具体的には、次のモデルが参考になりそうです。 ▲(社)北海道地方自治研究所・自治基本条例研究会作成の北海道行政基本条例▲
 
 上記の試案について考え方などを示した自治基本条例研究会▲『北海道行政基本条例の構想』▲によると、地方自治体の運営が首長ないしは首長が統括する行政に権限が集中していることに鑑み、単に政治・行政の主権者としての権利だけにとどまらず、首長ないし首長が統括する行政に対する住民の権利を規定する必要があるとしています。それは「法律上は首長選挙のあとは、4年間のお任せ民主主義か極端な首切り民主主義しかなく、日常的な参加民主主義は全く保証されていない」という状況では、本来の住民自治ということからは不十分だからです。

 そこで、市民が「白紙委任」ではなく「責任・主体的参加」へと変えるためには、住民の知る権利(情報公開)、参加の権利、政策評価などが不可欠です。

 つづく
 
 
 参考文献:自治基本条例はなぜ必要か(著者:辻山幸宣)

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